レンタカー事故と保険の深い関係

修理工場をしている「Jオート」様に、近所の知り合いの方がやってきました。自分の娘が自動車で事故をしたので修理の依頼と代車を貸して欲しいとのことです。

「Jオート」の社長は、娘さん(A子さんとします)と話したことはないが、お母さんとは顔見知りだったため、事故車の修理とレンタカーの貸渡しを行いました。

レンタカーを借りに、訪れたA子さんに社長は少し世間話をしたあと「返す時はガスを満タンにして返してね。運転気を付けるようにね」と言ってレンタカーのキーを渡します。レンタタカーに関するその他の説明はありませんでした。

免許取り立てのA子さんに少し不安を覚えていた「Jオート」社長のもとに、 その日の夕方電話が入ります。ある損害保険会社の代理店主からです。

電話の内容は、「堤防でカーブ時に大きく反対車線に膨らんで走行してきた対向車と私のお客さんの運転する車が接触した。対向車は止まらずに去ってしまった。お客さんの控えたナンバーを調べたら「Jオート」所有の車両だとわかったので連絡しました。

お互い走行していたから両者に過失があるが、車線をはみ出して走行してきたA子さんの方に7割過失がある。幸い運転手にケガはないので安心です。お互いの保険を使用して直しましょう。」

当て逃げ、そして無保険車

話が本当であれば「当て逃げ」ですね。過失が1割増してA子さんの過失は8割です。「Jオート」の社長は事実確認のためA子さんの携帯に連絡します。しかし、何度掛けても留守電になります。

その後、お母さんの方に掛けるものの娘は帰ってきてないとのこと。近所だったためお母さんは「Jオート」に駆けつけ、社長と代理店主にすみませんと謝ります。

次の日になりようやくA子さんから「Jオート」に連絡が入り、事実確認をしたところ、「よくわからないけど当たったような気がする・・・」。車を持ってきてもらうと右フロントから側面にかけてこすった跡があります。やはり 接触していました。

更に聴けば、A子さんは自動車保険に加入していないとのこと。結局、「Jオート」は自車の自動車保険を使用して自分と相手の車両を修理することになりました。

まあ、損害保険代理店をやっていると、最近ではよくある話です。

しかし、実際に当事者になれば振り上げたコブシをどこに振り下ろしたらいいかわからない状態になってしまいます。車両保険を使用すれば3等級ダウンで翌年からの保険料は跳ね上がりますから。

その後、事故の対応をA子さん側の代理店として行うわけですが、A子さんとなかなか電話がつながらない。留守電を入れても折り返しがない。あきれますが、電話がつながらないことには、説教のしようがない。

ほとほと困ってA子さんのお母さんに、このまま電話つながらないと、「事故相手も対応が遅いと怒り出しますよ」と言った翌日、ようやく電話が来て、今後の対応の仕方と事故を起こした時の対処の仕方、自動車を運転する上での社会的責任を説明したわけです。

絶対的確認事項

自動車関係の事業をしていると、付いて回るのが自動車保険です。レンタカー事業を営む場合

  • 免許証の提示と写しの提出
  • 利用者が加入している自動車保険証券写しの提出※
  • 自動車保険の内容の確認(免許証の色、車両保険の保険金額、車両の入れ替えが行われているか等)

は必ずしてくださいね。

※利用者が事故を起こした際に自社の自動車保険を使用する場合は必要ありませんが、等級を確認することで事故をよく起こしている人かどうかの判断材料になります。

車両保険の注意事項

車両保険は借り受ける利用者さんが加入している自動車保険で決められている保険金額が上限となりますので注意が必要です。

例えば、利用者さんの自動車に掛けている車両保険の金額が30万円。レンタカー車両の評価額が100万円とします。利用者さんの保険を使ってレンタカーの修理をする場合、利用者さんの車両保険金額である30万円までしか保険会社から支払われません。

全損事故の場合は差額70万円を実費で支払うことになります。自社の自動車保険を使用したくない場合は、利用者さんに1日単位でも加入できる自動車保険に加入してもらうことをお勧めします。