運転代行業で開業する方へ
一番星系行政書士の川合智士です。今日は「運転代行業」についてのコラムです。
先日、名古屋からはるばる山梨県の親友の家に遊びに行ったときのこと。
親友の知り合いの方たちと居酒屋風お寿司屋さん(安くてうまかった)で飲み、カラオケに行き、夜も更けたところで、運転代行業者さんに依頼して帰ることに。
山梨では、飲んだ帰りは運転代行業者さんを呼ぶというのが定番だそうです。 通称「代行」と呼ばれることが多いですが、正式には「自動車運転代行業」と言います。
開業にはメインとなる営業所を管轄する警察の公安課に認定申請をします。
許可や認可ではなく「認定」となります。んー、許可・認可・認定ってどう違うのってつっこみが入りそうですね・・・。
「許可」は法律で禁止されている行為を行政が特定の場合にその禁止を解除しますよというものです。法律で禁止されているから、無許可で行った行為は当然法律違反になります。
「認可」は他人が行う行為を法律上有効にするために行政が「同意」することを言います。基本的には無認可の行為でも法律違反にはなりません。 最後に「認定」ですが行政の権限で、ある事柄を事実であると認めることを言います。
法律用語はややこしい。因みに資格試験ではこの許可・認可・認定がすり替わった条文が書いてあり、正しい記述かどうかを回答するような「ひっかけ問題」が出たりします。
運転代行業の歴史
運転代行業はタクシー会社も行っています。自動車運転代行業との違いは
- タクシー:依頼者の車をタクシー運転手が運転し、依頼者は自分の車に同乗できない
- 運転代行業:依頼者の車を代行業者の運転者が運転し、依頼者は自分の車に同乗する
依頼者が自分の車に同乗できるかできないかが一番の違いということです。
飲んだ帰りの代行は代行業者さんに依頼するのが一般的な気もします。私はタクシーに代行を頼んだことはありません。
が、もともとは1966年に「碓井運転代行社」という会社が始めたサービスだそうです。かなり昔からあるんですね。
運転代行業 法改正の変遷
運転代行業は飲酒運転の罰則が厳しくなったことで注目を集め、飲酒時の運転代行は1980年の秋田県が発祥と言われています。
当時は参入にあたっての規制がなかったため誰でも許可なく始めることができました。
しかし、2002年に「自動車運転代行業者の業務の適正化に関する法律」という法律ができ、都道府県の公安委員会の認可がないと開業できなくなりました。
その2年後の2004年には、依頼者の自動車を運転するためには、タクシーと同じ「2種免許」取得が義務付けられました(2種免許取得には現在30万円ほどかかります)。
最近まで、依頼者の自動車と伴走する代行業者の随伴車は、マグネット式ステッカーなどに会社名や認可番号を印刷したものを随伴車の左右ドアに貼ることでよしとされていました。
しかし、随伴車のマグネット式ステッカーを外して依頼者を乗せて運行する代行業者による「白タク行為」が後を絶たないなどの理由で、平成25年3月31日に法律改正が行われました。 この改正でマグネット式ステッカーでなく随伴車の車体に直接、ペンキ等で
- 認定を受けた都道府県公安委員会の名前を認定番号
- 代行業者名
- 「代行」「随伴自動車」の文字のペイント
が必用になりました。
さらに、依頼者の車を代行業者の運転者が運転している時は、その車両に「代行運転中」を示すマグネット式ステッカーなどを車両前面の見やすい場所(マグネット装着が困難な車両については車内のダッシュボード等で良い)に装着することも義務付けられました。
そもそもマグネット式ステッカーでよしとしていた法律もどうかと思いますが、今まで運転代行業を営んできた方には余分な経費がかかってしまいます。
運送事業を中心に活動している行政書士の私としましては、いまだに名義貸しが横行する運送業のように、法律を守って経営している運送会社さんにも影響の及ぶ法改正が新たに施行されないよう、代行業者さんもしっかり法律を守って経営して頂きたいと願う今日この頃です。