監査対策

運送会社の巡回指導・監査対策が圧倒的に理解できる

行政書士法人シフトアップ 代表社員 川合智

川合 智

運送業許可など自動車系許認可の専門行政書士法人です。運送業、貸切バス、介護タクシー、産廃収集運搬などの許可をメインとしています。組織力でお客様の課題解決に当り、北海道から沖縄まで全国からご依頼いただいております。
【保有資格】行政書士【商工会議所】名古屋商工会議所【著書】 トラック運送業の運輸局監査対策行政書士のための運送業許可申請のはじめ方

トラック運送監査とは?

運輸局によるトラック運送監査は「自動車運送事業等監査規則」と「自動車運送事業の監査方針について」という国土交通省の公示に基づいて行われています。

自動車運送事業等監査規則の第2条で監査の目的は

「自動車運送に係る事故防止の徹底を期するとともに、運輸の適正を図ることを目的とする」

とされており、事故防止のための施策であることがわかります。では、監査が入る理由とその種類について以下で見ていきましょう。

 

適正化事業実施機関の巡回指導と監査の違いとは?

国交省(実施するのは地方運輸局)の行う監査が重大事故や通報等によって実施されるのに対して、適正化事業実施機関の行う巡回指導は、運送業を始めるようになった後のおよそ3カ月~6ヶ月後、その後は2年ごとに実施されます。

適正化事業実施機関は、各都道府県トラック協会が地方運輸局長から指定された機関で、定期的な指導であるため、巡回指導で法令違反が発覚した場合でも基本的に行政処分となることはありません。

 

だからと言って、甘く見て良いということではないので注意してください。

巡回指導は37項目の評価項目を対象に指導が行われ、評価はA~Eの5段階。DまたはE評価となった場合は、営業所管轄の運輸支局へ通報され、監査の対象となってしまいます。

 

監査の端緒=監査が入る理由とは

監査の端緒とは、「国交省の監査が入る理由となる出来事」のことです。監査の端緒は国交省の監査方針公示で下記のように定められています。
※下記に主なものだけ記載します。

  1. 適正化実施機関などからの情報などで法令違反の疑いがある場合
  2. 事業用自動車の運転者が第一当事者と推定される死亡事故を起こした場合
  3. ドライバーが悪質運転を起こした場合、または起こしたと疑われる場合
  4. 行政処分後の呼出監査拒否または改善を行わない場合
  5. 適正化実施機関事業が行う巡回指導を拒否した場合
  6. 都道府県公安委員会、都道府県労働局、道路管理者などからの通知または通報により法令違反の疑いがある場合
  7. 労働関係行政機関又は日本年金機構から、労働者災害補償保険、雇用保険、健康保険又は厚生年金保険に加入していない旨の通報があった場合
  8. 労働関係行政機関から、最低賃金法に違反している旨の通報があった場合
  9. 長期間、監査(街頭監査を除く。)を実施していない場合
  10. その他事故、法令違反、事件、苦情等の状況を勘案し、監査を行うことが必要と認められる事業者

監査の端緒で注意すべきポイント

労基署の臨検監査が入り、拘束時間が長いなど、労基法違反が発覚すると運輸局へ通報され監査の対象となります。

また、あおり運転やひき逃げ運転などがあると、即時に公安から運輸局へ通報がいきます。このほか、法令違反に関する第3者からの通報でも監査が入ります。

そして、事業報告書・事業概況報告書などが未提出の場合でも監査が入るキッカケとなるので毎年提出義務のある書類は必ず出しておきましょう。

 

悪質運転とは?

悪質運転とは下記のことを言います。

  • 酒酔い運転
  • 酒気帯び運転
  • 過労運転
  • 薬物等使用運転
  • 無免許運転
  • 無資格運転
  • 無車検運行
  • 無保険運行
  • 救護義務違反(ひき逃げのこと)
  • 妨害運転(あおり運転のこと)

いまだにあおり運転をしている運転者をみかけますが、警察庁は道路交通法違反のみならず妨害運転罪や危険運転致死罪などあらゆる法令を駆使して厳正な捜査をすると公表しています。

あおり運転発覚=監査となるのでご注意ください。

 

トラック運送監査の主な種類

 トラック運送監査の主な種類

特別監査

通称「トッカン」と言われ一番厳しい監査にあたります。簡単に言うと、死亡事故など運輸局への速報の対象となる事故を起こした場合と、行政処分を受けた後の改善命令に従わないときに実施されます。

 

詳しく言うと下記のとおりです。

事業用自動車の運転者が、第一当事者として推定される死亡事故及び酒酔い運転者等の悪質違反を伴う事故など社会的影響の大きい事故を引き起こし、または、悪質違反を犯した運送事業者等に対し実施。

また、監査の実施結果により、行政処分を受け、事業の改善についての出頭及び改善の状況の報告を命じた事業者であって、出頭を拒否した者、改善報告を行わない者、または報告内容が履行されず事業の改善が認められないものについても実施。

 

一般監査・巡回監査(通報や内部告発により実施される抜き打ち監査)

事故、苦情または都道府県公安委員会からの通報等により、法令違反の多いと疑いがある運送事業者等に対し、原則として重点事項を定めて行なわれます。

昨今は、第3者からの通報や内部告発が増えているため、巡回監査が実施される事業者も増えています。

内部告発に関しては、スマホやインターネットが普及したことにより、トラック運転手も法令遵守事項のことをよく理解している者が増えました。そのため、常態として法令違反がある運送会社は、運転者による内部告発を受けやすくなっています。

事実、弊社シフトアップにも、自信の勤務している会社が拘束時間などを守らないのでどうしたら良いかとトラック運転手から電話が入ることがよくあります。

 

呼び出し監査

「特別監査」「巡回監査」以外において、都道府県公安委員会等からの通報等により違法性があり、監査を必用とする場合に事業者を呼出し、原則として重点事項を定めて行われます。

 

呼び出し指導

新規許可事業者に対する許可書交付時等の指導講習未受講事業者、その他特に呼出し指導を行うことが必要と認められる事業者に対して行われます。

 

監査の実施方法

監査の実施方法は以下の3つになります。

 

臨店監査|事業場への立ち入り

臨店監査は法令違反やその疑いのある事業者の営業所などに立ち入り実施される監査です。

特別監査や一般監査は臨店監査となり、基本的に無通告で実施されます。

 

呼出監査

呼出監査は監査実施後に行われ、事業者を地方運輸局または運輸支局へ呼び出して行われます。

行政処分が終わったあとに違反事項の改善ができているかを確認するための監査です

 

街頭監査

バス事業にかかわる発着場で行われます。一般貨物自動車運送事業には関係ありません。

 

運送業の監査項目(重点事項)

運送業の監査項目(重点事項)

監査の重点項目とされているのは国交省の告示で下記のように定められています。

  1. 事業計画の遵守状況
  2. 運賃・料金の収受状況
  3. 損害賠償責任保険(共済)の加入状況
  4. 自家用自動車の利用、名義貸し行為の有無
  5. 社会保険等の加入状況
  6. 賃金の支払い状況
  7. 運行管理の実施状況
  8. 整備管理の実施状況

基本的に、これら全てについて監査が実施されることになります。監査の端緒が何かにより特に重点的にみられる項目は変わるため、重点項目とされていない事項についてもチェックされるケースもあります。

 

①事業計画の遵守状況

運送業の許認可を取った際に作成し、運輸局へ提出した事業計画に沿って事業が実施されているか、重点的にチェックされます。

また、以下の情報が届出時と異なる場合は、所定の変更手続きがおこなわれているか確認されます。

  • 事業計画に記載した営業所の名称や住所
  • 休憩室の住所と広さ
  • 車庫の住所と広さ
  • 営業所に配置されている事業用自動車の数
  • 法人役員

監査がおこなわれた際に焦らないように、上記の項目は明確にしておくとよいでしょう。

 

②運賃・料金の収受状況

届出を受けた料金表どおりの運賃の受け取りができているか、請求書や通帳を細かくチェックされます。

現状の運賃が提出した料金表と合っていない事業者は、早急に内容を変更する必要があります。

 

③損害賠償責任保険(共済)の加入状況

対人無制限、対物200万円以上の自動車任意保険や交通共済などの「損害賠償責任保険」に加入しているかも確認されます。

保険料が高いという理由で保険に加入していない事業者は今すぐ加入しましょう。

 

④自家用自動車の利用、名義貸し行為の有無

自家用自動車を利用した違法な営業類似行為や、車両の名義貸し行為がおこなわれていないかも、厳しくチェックされます。

 

⑤社会保険等の加入状況

従業員が、健康・厚生年金を含む社会保険、雇用・労災を含む労働保険に加入できているかもチェックされます。

 

⑥賃金の支払い状況

長時間労働や賃金未払いなどの問題から、従業員から内部告発があり、監査が実施されることもあります。

労働時間や賃金の支払い状況が不適切だとみなされた場合は、行政処分の対象となります。

 

⑦運行管理の実施状況

過労運転防止の観点から運行管理に関する業務が不備なく実施されているか、運転日報や点呼記録をもとに、厳しくチェックされます。

監査のなかでもとくに重要な項目となるため、必ず不備なく記録・管理するようにしましょう。

 

⑧整備管理の実施状況

「車両台帳」の整備や記入が正しく実施されているか、3カ月または12カ月毎の「点検整備記録簿」は法令に基づいた定期点検基準が作成されているかも監査事項になります。

 

監査実施とその後の流れ

①監査の実施

特別監査と一般監査は、基本的に無通告で実施されます。

運転者の脳血管疾患や心疾患など事故速報の対象となる監査の端緒など、労基署の臨検監査と同時に運輸局監査が行われる場合は事前に監査日が知らされることがあります。

 

②違反事項の言い渡し

監査が終わると事業者へ「確認書」が渡され、行政処分の対象となる法令違反、行政処分の対象とならない警告、指導に分けられ、監査実施後の違反内容について告げられます。

この時点で、違反していないと思うことがあれば監査官に言うようにしましょう。

 

③弁明通知が届く

監査実施から2~3ヵ月後に違反事項と処分内容について記載された弁明通知が届きます。違反について不服がある場合は弁明通知に必用事項を提出して、弁明の機会をもらいます。

弁明する必要がないときは、何もしなくて大丈夫です。

この時点で監査管は違反事項について調べつくし、処分内容も決定しています。

 

④輸送施設の停止および付帯命令書が届く|処分内容の決定

弁明通知が届いたあと約1か月後に行政処分の内容が決まり、行政処分の内容を記載した輸送施設の停止および付帯命令書が届きます(日車の場合)。

同時に処分内容を告げる電話が運輸局から入ります。

 

⑤ナンバー領置(日車の場合)

運輸局から電話が入ったあと、1週間以内に指定された車両のナンバープレートと車検証を営業所管轄の運輸支局へ持参します。

 

⑥呼出監査|改善報告書の提出

行政処分が終わったら改善報告書が運輸支局から届きます。その2か月後を目途に呼び出し監査が実施されます。

改善事項はすべて改善し、日報・点呼簿など指定された書類と併せて改善報告書を持参して運輸支局へ提出してください。

すべての違反事項が改善されていると認められたら呼出監査は終了となります。

 

行政処分中の増車や営業所新設はできるのか?

行政処分中の増車や営業所新設はできるのか?

監査が実施されたあとの、行政処分中とその後3カ月(悪質な違反の場合は6カ月)は、

  • 増車(同等規格の車両との入替は可能)
  • 営業所新設
  • 車庫新設

など事業拡大に当たる行為はできません。

これとは逆に、事業縮小となる減車や営業所・車庫の廃止を行うことは可能です。また、運転者の増員や運行管理者・整備管理者の入替なども行って構いません。

 

すでに営業所新設などの申請をしている場合はどうなるのか?

弊社シフトアップは、「営業所新設の申請受付を行ったあと、監査が入り行政処分があることを言い渡されたときは営業新設ができないのか?」

というご相談をよく受けますが、実際に行政処分が下されるまでに営業所新設の認可がおりれば基本的には問題ありません。これは増車や車庫新設などの事業拡大行為についても同様です。

監査後、行政処分があることを言い渡されたとしても、実際に行政処分の内容が決まるのは監査実施日からおよそ6ヶ月後です。基本的には処分内容が決まるまでに事業拡大を済ませれば良いということです。

 

必見!トラック運送監査のポイント

運送業の監査では基本的に帳票類のチェックと運送事業者様への質問が行われます。従って帳票類を日頃からしっかりと記載することと、ドライバーへの安全指導教育が重要事項となります。

特に重要なのが、「運転日報」「点呼簿」「チャート紙」「運転者への安全指導教育」です。

  • 貴社はドライバーへの安全指導教育の年間計画を立てて実施していますか?
  • 監査のために形骸的に作成した年間計画ではありませんか?
  • 改善基準告示に基づく、連続運転時間や拘束時間、休息時間は守られていますか?
  • 出庫時、入庫時の点呼は必ず運行管理者または補助者によって対面で行われていますか?

運行経路上、荷下ろし先で2泊3日以上の宿泊する場合以外は、必ず乗務前または乗務後の対面点呼が必要です。電話点呼のみは許されません。

運行管理者も早朝から夜中まで勤務するわけにはいかないからと監査担当官に言っても許してはもらえません。

最悪の場合、事業停止や許可取消となります。

 

トラック運送監査は甘くありません

「監査・巡回指導」と聞くとあまり心地よくない感じがするという運送事業者様も多いのではないでしょうか。

運送業は法令を遵守しながら運営することが難しい業種です。

とは言え法令違反を犯して良いわけではありません。トラック運送監査も巡回指導もご想像以上に厳しく法令を守っているかチェックされます。

これは、筆者が実際にお客様の監査や巡回指導に立会って肌で感じております。日車や営業停止を受けないよう日頃からしっかりと運行管理や勤怠管理・安全管理を行わないといけません。なぜなら処分基準は甘くないからです。

トラック運送監査・巡回指導対策は運送事業者様にとって急務です。一刻も早く対策を行っていきましょう。

以下で、当社シフトアップへ問い合わせの多いトラック運送監査について見ていきましょう。

 

 監査担当官もぼやいています・・・

重要なので申し上げますが、監査は甘くありません。監査担当官はとても厳しい目で重箱のスミをつつくようにチェックします。

運輸局巡回監査は通常、朝10時に監査担当官3人が来て午後5時まで、帳票類に不備や矛盾がないか運行管理者や事業主に質問をしながら行われます。そして、チェックしきれなかった帳票に関しては、局に持ち帰り、夜遅くまで調査します。

監査官も3日に1回は事業者の監査に出向き、夜遅くまで報告書を作る日々が続くので、「川合さんだから言いますけど、はっきり言って激務です」とぼやいています。

それほど、監査の対象になる事業者が多いということです。巡回監査に怯えない体質作りは今や運送業を営む上では絶対必要事項と言えます。

 

 

まとめ

弊社シフトアップのお客様は事故速報を運輸局にFAXした翌日に無通告で監査に入られています。これには、私も驚きました。日車でナンバーを取り上げられては、大変な打撃を受けます。営業停止では泣くに泣けません。

脅しではなく、実際に泣いている事業者様がいらっしゃいます。「その場をしのげば、なんとかなる。」は遠い昔の話です。

 

「行政書士法人シフトアップ」では、監査・巡回指導対策として帳票チェックで訪問2回し、必要であれば監査・巡回指導の立会いを行っています。さらに顧問契約による毎月の帳票チェックや運送事業運営のコンサルティングを行い100年続く運送会社になるためのお手伝いをしております。

我が社はトラック監査が来たら不安だな。そう思ったら迷わず運行管理歴12年の実績を持つ代表行政書士のいる「行政書士法人シフトアップ」へお気軽にご相談ください。

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