倉庫業を始めたい、倉庫会社を設立したいが、いざ始めようと思うとたくさんの疑問がわいてくるという方も多いはず。
そこでこの記事では、登録の要件、必要な書類、費用、期間などについて一つずつやさしく解説いたします。5分ほどでご理解いただける内容にしていますので是非ご覧ください。
倉庫業登録はそもそもなぜ必要なのか
企業や一般消費者のもとへ様々な物品が届くまでに、一時的に大量の物品を預かる施設=倉庫は欠かせません。そのため、各地に無数の倉庫が存在します。
もし、何の基準もなしに倉庫業ができるとなれば、耐火性能の低い倉庫に燃えやすい物を保管して火災が発生するなど、大きな被害が相次ぐことは容易に想像できます。
ひとたび地震や火災が起きると倉庫内に保管している物品の損害だけでなく、近隣住民や企業・消費者にとっても大きなダメージとなります。
そのため、倉庫業は登録制になっており、一定の安全基準をクリアして国土交通大臣の登録を受けなければ倉庫業を始めることはできないようになっています。
倉庫業登録申請に必要な3つの要件
倉庫業登録のためには以下の3つの要件をすべてクリアしなければいけません。
- 申請者が欠格に該当しないこと。
- 使用する倉庫が施設基準を満たしていること。
- 倉庫管理主任者が選任できること。
以下で3つの要件について一つずつ分かりやすくご説明いたします。
要件1|申請者が欠格に該当しないこと
申請者が下記のいずれか一つでも該当すると欠格事由、つまり、倉庫業を営むことができない理由に当てはまることになります。
- 申請者が一年以上の懲役又は禁固の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者。
- 申請者が第二十一条の規定による登録の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者であるとき。
- 申請者が法人である場合において、その役員が前二号のいずれかに該当する者であるとき。
なお、申請者とは、個人事業の場合は事業主本人、法人の場合は役員全員のことを指します。
要件2|使用する倉庫が設備基準を満たしていること
倉庫業登録された営業倉庫は保管する物品によって8種類に分類されます。倉庫の種類によって要求される基準は異なり、例えば、1類倉庫には以下の設備基準が必要です。
- 使用権原
- 関係法令適合性
- 土地定着性等
- 外壁・床の強度
- 防水性能
- 防湿性能
- 遮熱性能
- 耐火性能
- 災害防止措置
- 防火区画
- 消火設備
- 防犯措置
- 防鼠措置
これらの中で特に重要な要件を抜粋して解説していきます。
使用権原とは
使用権原とは、倉庫を使うことのできる権利のことをいい、申請者が所有権か賃借権等をいいます。
具体的には、倉庫業登録の申請者が使用する倉庫が申請者の所有物であるか、申請者が契約者となって一定期間以上の賃貸借契約を結んでいれば使用権原があるということになります。
関係法令適合性とは
関係法令適合性とは建築基準法、消防法、港湾法、都市計画法などの基準に適合していることをいいます。特に重要となるのが建築基準法と都市計画法です。
建築基準法においては、倉庫の壁や床材などが現在の建築基準法と照らし合わせて違法でないこと。
都市計画法においては、倉庫が市街化調整区域と呼ばれる場所に建っていないこと(例外あり)などが必用です。
土地定着性とは
土地定着性等とは、土地に定着して屋根及び壁を有していることを言います。したがって、簡単に撤去できるような施設は土地に定着しているとはいえません。
災害防災措置とは
災害防止措置とは、災害の防止のため有効な措置がされていることをいいます。倉庫は特定の施設から一定の距離を保っていなければなりませんが、災害防止措置がされている場合はこの限りではありません。
要件3|倉庫管理主任者が選任できること
倉庫業登録のためには、原則的に一つの倉庫に一人ずつの「倉庫管理主任者」を選任する必要があります。
倉庫管理主任者の要件となるには以下のいずれか一つに当てはまらなければいけません。
- 倉庫の管理の業務に関して二年以上の指導監督的実務経験を有する者。
- 倉庫の管理の業務に関して三年以上の実務経験を有する者。
- 国土交通大臣の定める倉庫の管理に関する講習を修了した者。
- 国土交通大臣が第一号から前号までに掲げる者と同等以上の知識及び能力を有すると認める者。
また、倉庫管理主任者には欠格要件もあり、以下に該当する者は倉庫管理主任者にはなれません。
- 一年以上の懲役又は禁錮の刑に処せられ、その執行を終わり又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者。
- 法第二十一条の規定による登録の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者。
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倉庫業登録申請に必要な書類・費用・登録までの期間
8種類の営業倉庫の中で一番数の多い1類倉庫を例にして、申請に必要な書類や費用、登録までの期間について見ていきましょう。
1類倉庫の登録に必要な書類
1類倉庫の申請に必要な書類は主に下記となります。
- 倉庫業登録申請書
- 倉庫明細書
- 施設設備基準別添付書類チェックリスト
- 建築確認申請書・建築確認済証・完了検査済証
- 土地建物の登記簿謄本(賃貸の場合は賃貸借契約書)
- 警備状況に関する書類
- 構造計算書
- 平均熱貫流立計算書
- 照明装置に関する書類
- 倉庫付近の見取図
- 倉庫の配置図
- 平面図
- 立面図
- 断面図
- 矩計図
- 建具表等
- 倉庫管理主任者関係書類
- 法人登記関係等書類・戸籍抄本等
- 宣誓書
- 倉庫寄託約款
特に重要な書類
上記の必要書類の中でも、特に重要なのが「建築確認申請書・建築確認済証・完了検査済証」になります。
「建築確認済証」とは、建築計画が法の規定をクリアしていると認められた証明書のことです。
「完了検査済証」とは、工事が終了した時点で行われる検査に合格した場合に発行される証明書のことを言います。
古い倉庫を登録する場合にこれらの書類を紛失してしいたり、そもそも完了検査を受けていないというケースもよくあります。
書類を紛失してしまっただけの場合は代わりとなる書類を提出すればよいのですが、完了検査を受けていない場合は建築基準法違反となってしまうため登録ができません。
登録に必要な費用
倉庫業を新規登録する場合には、登録免許税9万円が必要です。また、行政書士などに依頼する場合は、別途報酬が必要となります。
行政書士報酬は30万円~60万円ほどの事務所が多いようです。
申請から登録までの期間
申請をしてから登録までの期間は下記の通りです。倉庫の面積により少し異なりますので注意して下さい。
- 面積10万㎡以上の倉庫で国土交通本省が審査する場合:約3か月
- 面積10万㎡未満の倉庫で地方運輸局が審査する場合:約2か月
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倉庫業登録後も必要な書類や手続きがあるので注意
めでたく倉庫業登録が成功すると一安心といきたいところですが、登録後にも必要な手続きがあるのでご注意ください。
定期的に提出の必要な書類
定期的に必要な手続きは以下の2つです。
- 期末倉庫使用状況報告書の提出(毎四半期の経過後30日以内)
- 受寄物入出庫高及び保管残高報告書の提出(毎四半期の経過後30日以内)
そのつど必要な手続き
倉庫業を開業した後に、倉庫の種類の変更や、会社の合併などの変化が起こることもあります。そのような変化があった場合は、そのつど以下の書類を作成して管轄の地方運輸局へ提出します。
- 変更登録:事前登録
- 軽微変更届出:30日以内
- 倉庫寄託約款:30日前
- 倉庫証券の発行許可:事前許可
- 営業の譲渡譲受届出:30日以内
- 法人の合併分割届出:30日以内
- 発券倉庫業者の営業の譲渡譲受認可:事前認可
- 発券倉庫業者の法人の合併分割認可:事前認可
- 相続届出:30日以内
- 発券倉庫業者の相続認可:60日以内
- 営業廃止の届出:30日以内
- 発券業務廃止の届出:30日以内
- トランクルームの認定:事前認定
- 認定トランクルーム変更届出:事前届出
- 認定トランクルーム廃止届出:30日以内
- 料金設定変更届出:30日以内
- 役員選任・変更届出:30日以内
- 倉庫証券様式変更届出:30日以内
- 事故発生の届出:14日以内
- 倉庫証券発行回収高・流通高報告:4月30日報告
それぞれの手続きには期限がありますので、期限内に行うことが重要です。
まとめ
倉庫業登録の要件や必要書類などについて解説させていただきました。たくさんの書類や手続きが必要ですので、大変だと思われたかもしれません。
倉庫業登録のことをもっと詳しく相談したい、という方はお気軽に愛知県名古屋市は名駅の「行政書士法人シフトアップ」までお問い合わせください。
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