2020年の国交省告示で標準的な運賃(改正貨物自動車運送事業法に基づく標準的な運賃)が公表されました。
この記事では、気になる改正運賃料金の解説にプラスして2017年4月の一般貨物における標準貨物自動車運送約款が改正についても解説しております。ぜひご覧ください。
2020年告示の標準的な運賃について
2018年改正の貨物自動車運送事業法の4本柱の一つとして「標準的な運賃の告示制度の導入」が示され2020年に国交省から「標準的な運賃」が告示されました。
標準的な運賃制度導入により、トラック運送事業者が事業継続に必要なコストに見合った対価を得られるとして、下記のような効果が期待されているようです。
- ドライバーの労働環境の改善
- 全産業平均レベルの賃金水準への引き上げ
- 会社として法令遵守の徹底
- 荷主への運賃交渉の材料として活用
要するに、運賃を引き上げによるトラック運送業界全体の収益の底上げが狙いだというわけです。
また、2024年の残業時間上限規制がトラック運送業界にも適用され、ドライバーの賃金が減少することへの対策でもあることは言うまでもありません。
従来の運賃料金表と標準的な運賃告示制度の違い
各地方運輸局が公表している従来の運賃料金表は、上限・下限を設定した重量と距離をかけたトンキロが積算の根拠となっています。
対して、標準的な運賃告示制度では、上限・下限を設定せず「トンキロ積算の距離制運賃」と「時間制運賃」が地域ごとに示されています。
※地域は各地方運輸局単位です。
そして、標準的な運賃を基に各トラック運送事業者が適切な原価計算を行い、増収できる運賃を事業者ごとに設定することを想定しています。
標準的な運賃の届出は義務化されているのか
告示された標準的な運賃の届出は義務化されていません。そのため2021年現在は、届出をしていない事業者が多いようです。
当社シフトアップでも、標準運賃適用の届出提出依頼を受けたトラック運送事業者様はごく少数です。
筆者が運輸局へ行ったときに輸送課の方が、なぜ新運賃の届出をしないのかシフトアップの顧客の方に聞いて下さいと言っていたのが印象的です。
標準貨物自動車運送約款とは?
トラック運送会社は本来、事業を行うにあたって、荷主の数だけの運送契約を締結しないといけません。これでは事務作業や契約書の管理などがとても頻雑になってしまいます。また、取引を行うにあたって時間もかかってしまいます。
そこで取引上の決めごとや運賃について定型化され、標準となる運送約款を定めることで、荷主と荷受人(トラック運事業者)との間の取引を迅速化し、安全な取引ができるように国交省が定めたものが標準貨物自動車運送約款です。
一般貨物の許可取得後は、大多数の運送事業者様はこの標準貨物自動車運送約款の届出をしています。もし、標準運送約款ではなく、自社独自の運送約款を定める場合は、認可事項となり、一般貨物自動車運送約款の認可申請をすることになります。
標準貨物自動車運送約款の改正4つのポイント
改正前の標準貨物自動車運送約款で定める運賃には、
- 貨物の運送
- 運送に附帯する業務
- 積込み作業
- 荷卸し作業
- 荷待ち時間
などすべてが含まれており、実際の運賃にどこまでの作業が含まれているのかが曖昧でした。
トラック運送事業では、貨物の輸送だけでなく荷待ち時間や、開梱作業、リフト作業などの附帯業務を運転者が行うことが多いにもかかわらず、これらの対価としての料金をもらえないケースが多いのが実情です。
そこで、トラック運送事業者が適正な運賃および料金を収受し、健全な運営ができるよう平成29年11月4日、国交省が標準貨物自動車運送約款の改定を実施しました。
改正のポイントは以下のとおりです。
ポイント1|運賃と料金の明確化
貨物輸送の対価としての「運賃」と、運送以外の作業に対する薬務の提供である「料金」を、明確化。
ポイント2|料金の具体例の規定
運送状等の記載事項に、待機時間料、積込料、取卸料、などの料金の具体例を規定する。
ポイント3|待機時間などの規定
荷待ちに対する対価を「待機時間」とする。また、発地または着地における積込み又は取卸しに対する対価を「積込料」および「取卸料」と規定する。
ポイント4|附帯業務の追加等を実費負担とする
荷主からの要求によって発生した附帯業務の内容に
- 横持ち
- 棚入れ
- ラベル貼り
- はい作業
を追加して実費負担として収受する。
ポイント4|車両留置料の廃止
荷待ち時間、その他の附帯業務の対価として料金を収受するため、従前の標準運送約款に記載のあった車両留置料を廃止。
注意事項
令和元年現在は、改正後の標準貨物自動車運送約款を適用するしかありません。そのため、未だ改正に伴う届出をしていない運送事業者様は、運賃料金設定届を必ず提出しましょう。
また、届け出た運賃料金表と改正後の標準貨物自動車運送約款は営業所内に掲示する必用があるので注意してくだい。
届出方法
改正後の標準運送約款に則した運賃料金表と運賃料金設定届を、営業所管轄の地方運輸支局へ提出します。
書類の提出は、本拠となる営業所を管轄する地方運輸支局へ提出するだけで構いません。営業所がいくつもある事業者様にとってはありがたいですね。
なお、平成29年の標準貨物自動車運送約款改正前から自社独自の運賃料金表を届け出ている場合は、新旧対象表を添付する必要があります。
まとめ
今回の改正で、実際に荷待ち時間などの対価としての料金を受け取ることができるかはなんとも言えません。しかし、弊社シフトアップのお客様では改正に伴い荷主への交渉を行っている運送事業者様もいらっしゃいます。
改正がトラック運送会社の繁栄につながることを祈念しております。
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