運送業許可を取りたいけど、どのホームページを見ても「法律用語ばかりでわかりづらい」と思った方のために、運送業許可取得の要件=条件を5分で理解できるようにご説明いたします。
運送業許可取得を取得したいので、ざっくり要件を知りたいという方は是非ご一読ください。
運送業許可の要件は5つ
運送業許可取得の要件は大きく分けて下記の5つのみとなります。
- 人件
- 事務所(営業所)・休憩室
- 駐車場
- 車両
- 資金(お金)※2019年に大きな変更あり
上記5つの要件のうち、一つでもクリアできない場合は運送業許可を取得できないという決まりになっています。
それでは各要件について優しく解説して参ります。
人についての要件
運送業許可を取得するには、最低でも6人の確保が必用になります。6人の内訳については以下をご覧ください。
運送業許可取得に必用な6人の内訳
6人の内訳は
- 運転者(ドライバー)5人
- 運行管理者1人
となります。運転者が運行管理者もやれば5人で足りないの?
と思うかもしれませんが、運転者は運行管理者になることができないので最低でも6人確保することが必用です。
どんな役割の人が必用か
運送業許可の要件として以下の人を確保することが定められています。
- 運転者(ドライバー)=5人
- 運行管理者=1人
- 整備管理者=1人
合計すると7人になりますが、整備管理者は運転者や運行管理者でも構いません。したがって運送業許可取得のために確保する人の数は6人ということです。
以下で、人について必用な資格などの要件を見ていきましょう。
運行管理者の要件
運行管理者は、運転者の指導教育や点呼を行うので、運送業運営の要になる存在です。
運行管理者になるには、「運行管理者基礎講習」という講習を受け、「運行管理者試験」に合格することが要件となります。
整備管理者の要件
整備管理者は、車両の点検整備記録の管理などを行う人のことです。
整備管理者になるには、自動車整備士3級以上の資格を持っているか、運送会社などで整備管理などをした経験が2年以上あることが要件となります。
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人=申請者の要件
人=申請者とは、個人事業主の場合は事業主本人、法人の場合は法人の役員全員が貨物自動車運送事業法に定める以下の欠格事由に該当しないことが要件となります。
※欠格事由とは、許可を得るために要求される資格がない事柄のことをいいます。
※下記は法律の条文となりますので、法律の条文はよくわからないという方は読み飛ばしてください。
- 1年以上の懲役または禁錮以上の刑を受けて方5年経過していない者。
- 運送業許可を受けようとする者と密接な関係のある者が、一般貨物自動車運送事業または特定貨物自動車運送事業の許可取消を受けてから5年を経過していない者。
- 運送業許可を受けようとする者が、一般貨物自動車運送事業または特定貨物自動車運送の許可取消の処分に係る聴聞の通知が到達した日から処分をする日またはしないことを決定する日までの間に事業の廃止の届出をしてから5年を経過していない者。
- 運送業許可を受けようとする者が、事業場への立ち入り検査が行われた日から聴聞決定予定日までの間に事業の廃止の届出をしてから5年を経過しない者。
- 2の期間内に事業の廃止の届出があった場合、運送業許可を受けようとする者が、2の聴聞の通知が到達した日前60日以内にと届出に係る法人の役員であった者で、届出日から5年を経過しない者
簡単に言うと、申請者が懲役刑を受けたり、運送業許可の取消となるような悪いことをしてから5年以上経過していない場合は、運送業許可を取るための要件を満たせないということです。
これらに加えて、運送業を営むのに必要な知識があることを証明するために申請受付後に実施される法令試験に合格することも申請者としての要件となります。
運転者(ドライバー)の要件
運送業許可取得時に緑ナンバーにする車両の台数以上の運転者(ドライバー)を確保していることが要件となります。
確保と言っても、許可申請時に正社員として雇用している必用ありません。運送業許可を取ってから申請者であるあなたの会社に入社することが決まっていれば大丈夫です。とはいっても、許可が取れたら約束通り入社しないといけないのでご注意ください。
また、運転者(ドライバー)は運送業許可取得までに社会保険や雇用保険・労災保険に加入しなければいけません。
そのほか
- 日々雇い入れられる者=日雇いでない
- 2ヵ月以内の期間を定めて雇用される者でない
- 使用する車両の種類に応じた自動車運転免許を持っていること
などが要件となります。
施設=営業所(事務所)・休憩室・睡眠施設の要件
運送業を営むために必用な施設、つまり営業所(事務所)と休憩室の確保も必須の要件となります。
弊社シフトアップへ運送業許可申請のご依頼をいただいた多くのお客様が、営業所と休憩室の要件について誤った認識をお持ちの方がいらっしゃいます。下記でしっかりご確認ください。
営業所(事務所)の要件
運送業に使用する営業所(事務所)は「適切な使用権原がある」こと、つまり、賃貸または自己所有などで確保できていることが要件となります。
そして、確保している建物が基本的に「市街化調整区域」といって、都市計画法という法律で建物を建てることを極力避けるように法律で定めている場所に建っていないこと。
市街化調区域でない場合は、事務所を建てても良いと法律で定められている場所にあることが必用となります。何㎡以上ないといけないのど広さの要件はありません。
休憩室の要件
休憩室の要件は、営業所(事務所)の要件と同様に適切な使用権原のあることが証明できること、都市計画法や農地法などの法令に抵触していないこと要件です。
営業所と休憩室は基本的に併設されていることが必要ですが、別の場所にあっても問題ありません。
睡眠施設(仮眠室)の要件※必用な場合のみ
運行上、ドライバーが睡眠や仮眠を取らないと輸送の安全を確保できない場合は、睡眠施設を設ける必要があります。
睡眠施設については1人当たり2,5㎡以上の広さがあることが必須です。そのほか、事務所・休憩室と同様に適切な使用権原があること、都市計画法や農地法などの法令に抵触しないことなどが要件となります。
なお、休憩室と仮眠室は併設されていても別の場所にあっても問題ありません。
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駐車場(車庫)についての要件
駐車場(車庫)も、営業所と同じく賃貸また自己所有などの土地を確保できていること。そして、確保した駐車場がトラックが通行しても交通安全上問題ない場所であることが要件となります。
交通安全上問題ないとは、駐車場の出入口が交差点の曲がり角にないこと、信号の近くにないこと、幼稚園や保育園の近くにないということです。
駐車場(車庫)の要件のポイント|車両制限令
駐車場(車庫)の要件で特に注意するポイントは出入口前面道路が車両制限令または道路幅員証明書が取れ、申請車両が通るのに交通安全上支障がないことです。
駐車場(車庫)出入口前の道路幅は、市街地道路で相互通行の場合は基本的に約5.5m~6.0m以上(一方通行の場合は2.5m~3.0m以上)あるという要件を満たし、車両制限令または道路幅員証明という証明が取れないと運送業に使用する駐車場の要件をクリアすることができません。
駐車場(車庫)を選定するときに、この要件をクリアできないことが多いので、候補地が見つかったら専門の行政書士へ調査を依頼することをお勧めします。
車両についての要件
車両については、軽自動車以外で車検証上の用途欄に「貨物」と記載されているトラックを最低でも5台以上確保できていることが要件となります。
許可申請時に5台すべてを購入している必用はなく。購入予定として、売買契約書などが提出できれば許可申請は受付てもらえます。
また、車両は許可取得後、リース車両を除き、すべて申請者名義に変更する必用があります。
したがって、「申請用にとりあえず車検証だけ揃えた」という状態で、申請者に名義変更できない車両では許可申請ができないと考えてください。
2019年改正!資金(お金)の要件
事業開始資金についての要件とは、トラック運送業を開始するための自己資金=事業開始に必用なを確保している証明ができること、損害賠償能力があることの2つがお金の要件となります。
以下で2つの要件について具体的に見ていきましょう。
お金の要件①|自己資金(事業開始に必用な資金)
自己資金(事業開始に必用な資金)とは、役員報酬・従業員給料手当の6ヵ月分や、事務所・駐車場の賃料の12ヵ月分、車両購入費(リース・ローン代金)の12カ月分などの諸経費の合計額のことです。
これらの諸経費を合算した金額以上の額の自己資金を確保していないとお金の要件を満たすことができません。
自己資金の額は、おおよそ1,500万円~2,500万円ほどです。金額に開きがあるのは申請者ごとに車両購入額や営業所(事務所)・駐車場の賃料などが変わるためです。
自己資金があることは、銀行など金融機関の発行する「残高証明書」で、申請者名義の口座の中にお金があることを証明します。
資金の要件は運送業許可の要件の中で、最もハードルが高いかもしれません。しかし、これをクリアしないとトラック運送業を開始することができないのでなんとか工面してください。
当社シフトアップでは、新型コロナ禍の2020年以降、銀行から融資を受けてお金の要件をクリアする申請者が増えました。今はお金があまりないという方もあきらめないでください。
なお、残高証明書は運送業許可申請時と、その約2ヶ月後の2回提出します。
お金の要件②|損害賠償能力
損害賠償能力とは、自動車任意保険に加入して対人補償無制限・対物補償200万円以上の補償に加入できることをいいます。
危険物輸送をする場合は、それをカバーできる補償の付いた損害保険に加入します。
保険に加入することが「能力」となっているのは、上記損害保険の1年分の保険料を有していることを、事業資金計画で証明するためです。
なお、運送業許可取得後は、事業用自動車の保険料率で対人無制限・対物200万円以上の補償を付けた自動車任意保険に加入する必要があるので注意してください。
注意
2019年11月の法改正により、運送業許可申請時に必要な資金は改正前に比べて約2倍となりました。トラックの購入があるかないかで100万円単位で必要金額が変わります。詳しくは、行政書士法人シフトアップへお問い合わせください。
まとめ
運送業許可を取るための要件を5分でご理解いただけるように、ざっくり解説させて頂きました。
人、事務所(営業所)・休憩室、駐車場、車両、資金の要件のどれか一つでも満たせないと運送業許可は取得できません。しかも、実際の申請の際にはもっともっと細かな要件をすべてクリアする必用があります。
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