運送業の車庫選びでネックになるのが、車庫出入口前の道路幅員です。道路幅員が狭すぎて泣く泣く別の場所を探すことになるお客様の実に多い事。
弊社シフトアップのご依頼者様の約70%は道路幅員が狭くて車両制限令・幅員証明が取れず、いくつもの車庫候補地をお探しになります。
そこで、道路幅員と車両制限令(道路幅員証明書)の関係について運送業許可の専門事務所が解説致しますので是非ご覧ください。
車両制限令とは
車両制限令とは、道路法第47条第1項にもとづいて定められた政令で、道路の構造保全や交通危険を防止するために通行できる車両の制限を定めたものです。
具体的には、車両の幅、高さ、長さ、総重量、軸重、最小回転半径などについての値について下表のように制限しています。
車両の諸元 | 制限値(最高限度) |
幅 | 2.5m |
高さ | 3.8m |
長さ | 12m |
総重量 | 20t |
軸重 | 10t |
最小回転半径 | 12m |
上記の制限値を超える特殊車両を公道で走行させる場合に必要なのが車両制限令で、「特殊車両の通行許可」を取る際に関係するのが一般的です。
しかし、一般貨物自動車運送事業許可においては、車庫の要件を満たしていることを証明するために取得します。
運送業許可における車両制限令について、下記で詳しく見ていきましょう。
運送業許可における車両制限令とは?
正確には、運送業許可申請において「車庫前面道路の道路幅員証明または幅員が車両制限令に抵触しない旨の証明書」と言います。
運送業許可では、一般的に「車両制限令または道路幅員証明」と呼ばれ、道路法や車両制限令という政令に基づき、車庫出入口の前面道路が運送業に使用する車両に対して適切な幅があることの証明を取ることを意味します。
厳密に言うと車両制限令と道路幅員証明は以下のような違いがあります。
車両制限令を厳密に言うと
車両制限令は、道路法第41条第1項に基づき、道路構造の保全または交通の危険を防止するため、通行できる車両の幅、総重量、隣接軸重、高さ、長さ、最小回転半径を定めた政令です。
車両制限令で定めた制限を超える車両は道路法第42条第2項により、基本的に通行が禁止されています。
車両制限令にかかわる道路幅員証明を厳密に言うと
運送業やタクシー・バスなどの許可申請の添付書類として使用されるもののことを言います。車庫に収容する車両が車両制限令に抵触していないことを確認するために、車庫出入口前の道路幅員について証明します。
なぜ車両制限令や幅員証明を取る必用があるのか
運送業に使用する車庫においては、特に出入口が交通安全上最も危険な場所となります。
例えば、
このような場所に出入口があると事故の危険性が高くなります。
ですから、運送業に使用する車庫の出入口が交通安全上支障のないことを担保するために、道路幅員証明または車両制限令を取得する必用があるのです。
道路幅員証明または車両制限令はどこで取るのか
運送業許可における道路幅員証明・車両制限令は、車庫出入口の前面道路を所有・管理する地方公自治体(都道府県及び市町村)で取得します。
地方自治体により、道路幅員証明しか出していないところ、車両制限令を出しているところの2種類に分かれるので適宜対応する必用があります。
次は、道路についてのご説明です。
道路法による道路の種類は2つある
道路法による道路は2種類に区分されますので、以下で整理します。
2種類の道路①|公道
公道とは、国や地方自治体が管理する道路のことで、国道、都道府県道、市町村道に分かれます。国道の場合は、車両制限令の取得は必用ありませんが、都道府県道、市町村道の場合は取得が必要です。
2種類の道路②|私道
私道とは、個人や企業、任意団体等が所有している道路のことです。私道の場合は、道路の所有・管理者からの通行許可の取り付けにプラスして、私道から最初に接道する公道の道路幅員証明または車両制限令を取得することになります。
地方の農協や地縁団体などが管理していることの多い私道の通行は一筋縄で承諾が取れずに苦労することが多いため、必ず運送業専門の行政書士に依頼することをおすすめします。
補足1|道路幅員と車道の関係
道路幅員とは、路肩、側溝、歩道を含めた道路幅のことを言います。対して、車道とは道路のうち、路肩や歩道等を除いた車両が通行するための部分のことです。車両制限令では車道の幅が何センチあるかが重要なポイントとなります。
補足2|法律によって道路の定義は異なる
道路は道路法だけで定義されているわけではありません。建築基準法、道路交通法、不動産登記法、その他の条例でも数種類の道路が定義されています。
運送業許可取得で関係してくるのは、主に道路法、車両制限令で定義された道路の種類になります。
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車両制限令と道路幅員の関係
道路は、車輌制限令に基づき「市街地区域の道路」と「市街地区域外の道路」に分けられます。各々の違いは下記の通りです。
種別 | 内容 |
---|---|
市街地区域の道路(車両制限令第5条) | 簡単に言うと、家屋や商店などが密集した地域内にある道路のこと。 |
市街地区域外の道路(車両制限令第6条) | 市街地区域以外の道路のこと。 |
道路の種類ごとに通行できる車両の幅の考え方が異なりますので確認していきましょう。
市街地区域の道路と通行できる車両の幅
道路の大区分 | 通行できる車両の幅 | |
---|---|---|
一般市街地道路 | 通常の道路 | (車道の幅員-0.5m)÷2を超えないもの |
極小指定道路または一方通行の道路 | (車道の幅員―0.5m)を超えないもの | |
歩行者が多くて歩道のない駅前・繁華街道路 | 通常の道路 | (車道の幅員-1.5m)÷2を超えないもの |
極小指定道路または一方通行の道路 | (車道の幅員―1.0m)を超えないもの |
※極小指定道路とは、道路管理者が自動車の通行量が極めて少ないと認めて指定した道路を言います。
具体例|市街地区域の道路で車両制限令を取るために必用な道路幅員
【EX.】車両の幅250㎝の車両が一般市街地区域の通常道路を走行する場合
(250㎝×2)+50㎝=550㎝
この場合、車庫出入口全面道路の幅員は550㎝以上必用となります。
市街地区域外の道路と通行できる車両の幅
道路の区分 | 通行できる車両の幅 |
---|---|
通行できる車両の幅 | 車道の幅員÷2を超えないもの |
一方通行の道路または300mごとに待避所のある道路 | (車道の幅員―0.5m)を超えないもの |
極小指定道路 | 車道の幅員を超えないもの |
具体例|市街地区域以外の道路で車両制限令を取るために必用な道路幅員
【EX.】車両の幅250㎝の車両が一般市街地外の通常の道路を走行する場合(250㎝×2)=500㎝
この場合、車庫出入口全面道路の幅員は500㎝以上必用となります。
まとめ
運送業に使用する車庫にとって道路幅員と車両制限令はとても密接な関係にあります。車両制限令または幅員幅員証明書が取れるかどうかが運命の分かれ道と言えるます。
なぜなら、運送業許可取得時の車庫選択で、道路幅員が足りずにいくつもの物件を探すお客様が90%だからです。
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