シフトアップで運送会社を設立されて運送業許可を取られるお客さまの9割は車両5台から運送業をお始めになります。従業員が9人までであれば、法律的に就業規則はなくても構いません。
しかし、会社を守るためには「車両5台で従業員も5人だから就業規則は不要」とは必ずしも言えません。
運送会社に就業規則が必要な理由とは?
先にも述べたとおり10人以上の従業員を雇わなければ、法律的には就業規則を作成し労働基準監督署へ届出ることは必須ではありません。
しかし、たとえ従業員が5人しかいなくても、就業規則を作成し労働基準監督署へ届出ておくことをシフトアップではおすすめしています。その理由は以下のとおりです。
理由①|拘束時間が長くなることが多いから
ご存じのとおり、運送会社は出庫から帰庫までの時間=拘束時間が長くなる傾向にあります。地場中心であれば9時間~11時間ほど、中には毎日7時間勤務で終わるという会社もあります。
しかし、長距離輸送の便がひとつでも入ると、途端に拘束時間が長くなるドライバーが出てしまうのが運送会社です。
雇った運転者が、採用後6ヶ月たったら突然反抗的になり、弁護士を引き連れて残業代などを請求され、裁判の末支払い命令が出た・・・
運送業界にいる方であれば、このような話を何度も耳にしているのではないでしょうか?
これは、ドライバーにしっかりと残業についての説明をし、書面で渡し、残業代などについて就業規則に記載していないことが原因です。
逆に言えば、就業規則に残業代などについてしっかり記載し、ドライバーに書面を交付しておくことで未払い残業代を支払う必要はなくなります(会社側で残業時間と残業代についての管理は必要です)。
さいわいにして、シフトアップのお客様には、まだそのような運送会社様はおりません。しかし、お客様の知り合いの運送会社が未払い残業代を請求されたという話はよく耳にします。
運送会社立ち上げ当初は運転資金が少ないため自転車操業になりがちです。そんなときに支払っていなかった残業代を請求されたら会社の存続にかかわってしまいます。
会社を守るために、従業員が9人以下でも就業規則作成は必須ということです。
理由②|辞めさせたい・言うことを聞いてい欲しいと思ったときに必要になるから
会社経営をしていると、残念ながら辞めて欲しい、会社の秩序を守るためにもっと言うことを聞いてい欲しいと思う従業員が出てきます。
- 対話に対話を重ねても会社の言うことを聞いてくれない。
- 荷主や他の運送会社のドライバーとよくケンカをして帰ってくる。
- ギャンブル好きで給料の前借りグセが治らない
など。就業態度や生活習慣の悪いドライバーが一人でもいると、間違いなくそれは他のドライバーへ悪い影響を与えることになります。
結果、良い人材から辞めてしまうというのはよくある話です。
では、辞めさせたいと思ったドライバーに「明日から来なくていい」と言えばすぐ退職扱いできるかと言えば、そんなに甘くありません。
逆に不当解雇だと言って訴えられてしまいます。結果、支払わなくてもよい和解金を支払うということになる可能性もあります。
労働者は労働基準法という法律でしっかり守られているのです。ですから、経営者は、解雇などの話になれば従業員より立場の弱い存在なのです(もちろん解雇したいと思うドライバーが出ないことが理想です)。
辞めさせたい、もっと言うことを聞いてい欲しいと思ったドライバーを処分するには、就業規則に「懲戒規定」をしっかり定めておくことが重要になります。
懲戒規定とはなにか?
懲戒規定とは、簡単に言うと従業員が行った会社の秩序を乱すような行為に対しての処分の定めのことです。
一般的には、
- 訓告(文書で注意する)
- けん責(始末書を書かせる)
- 減給
- 出勤停止
- 降格(役職などの引き下げ)
- 諭旨退職(合意退職をすすめる)
- 懲戒解雇(解雇予告なしに解雇する)
という順番で従業員への戒めを行わないといけません。これらの処分について「どういった行為を行ったときにどう適用するのか」ということを就業規則に定めておくのです。
辞めさせたい、あるいは言うことを聞いて欲しいと思うドライバーが現れて、実際に会社の秩序を乱すようなことがあった場合の処分方法を具体的に定めておけば、いざというときに会社を守ることができます。
ただし、いくら就業規則に懲戒規定を定めても「なんとなく気に入らないから文書で警告する」というようなことはできませんので注意してください。
まとめ
運送会社に、就業規則が必要な理由は、拘束時間が長くなる傾向にあるので未払い残業代などを請求されないため。そして、言うことを聞かない、または解雇したいドライバーが出てきたときの定めが必要だからです。
会社を守ることは従業員を守ることにもなります。この機会に就業規則作成を検討されてはいかかでしょうか。
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