介護タクシー許可とは

介護タクシー許可

介護タクシー許可とは?はじめ方・要件・費用・期間など一気に解説

超高齢化社会と言われる日本では、2021年の総務省統計局の統計によると70歳以上の高齢者の数は3640万人と過去最多を記録しています。

このような中で、介護タクシーに商機を見出して開業したいという方からの問い合わせが増えています。

そこでこの記事では介護タクシー許可とは?その要件や費用、許可取得にかかる期間、行政書士に依頼すべきかなどについて解説いたします。

少々長い記事なので目次をご覧いただき気になるところをご覧ください。


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目次

介護タクシーとは

介護タクシーとは、高齢者や要介護者など体の不自由な方を乗せるタクシーのことで、正確には「一般乗用旅客自動車運送事業(福祉事業限定)」と言います。

街で見かける一般的なタクシーと違い、介護タクシーでは利用する人を限定しているのが特徴です。

 

介護タクシーを利用できる人

介護タクシーを利用できるのは、下記の人に限定されます。

  • 身体障害者福祉法第4条に規定する身体障害者手帳の交付を受けている者
  • 介護保険法第19条1項に規定する要介護認定を受けている者
  • 介護保険法第19条2項に規定するよう支援認定を受けている者
  • 上記のほか、肢体不自由、内部障害、知的障害および精神障害等の障害を有しているため、単独で移動が困難な者
  • 消防機関と連携するコールセンターを介して、患者輸等搬送事業者による搬送サービス提供を受ける者

 

乗合タクシーとの違い

手を上げて乗り込み、行先を告げ、その場所まで運んでもらえる一般的なタクシーは「一般乗用旅客自動車運送事業(通称、乗合タクシー)」と言います。

乗合タクシーは誰でも利用することができ、タクシーメーターに表示された運賃を支払います。もちろん、障がい者の方でも利用可能です。最近は「Go」や「Uber」など、スマホアプリを使用して好きな場所までタクシーを呼んで、決済はカードでできるなど便利になっているのはご存じの通りです。

乗合タクシーは、参入事業者が増えすぎて過当競争に陥ったため、今では新規に許可を取得できるのは一部の地域を除いて「個人タクシー」のみです。

個人タクシーは、10年以上同一のタクシーまたはハイヤー事業者として雇用されていた運転者しか許可を取ることができません。したがって、新規参入のハードルはかなり高いと言えます。

かたや介護タクシーは、輸送できる人を身体が不自由で移動が困難な方に限定しています。そして、タクシー会社で運転者をしていた経験がなくても許可取得が可能です。新規参入は乗合タクシーに比べて格段にハードルが低いのも大きな違いでしょう。

 

実際の業務内容は病院の送迎と移動困難な方の輸送がメイン

当社シフトアップで許可取得いただいた多くの介護タクシー事業者様のお話を聞くと、業務内容は

  • 障がい者の方の病院送迎
  • 障害があり移動困難な方の指定するところまでの輸送

がメイン業務となるようです。病院の送迎は午前中、移動困難者の輸送は午後というパターンで1日が終わります。

 

どんな人が開業するのか

介護タクシーで開業するのは、デイサービスセンターなどをやっている事業者の方や、福祉業界にいた方が独立して始める方の2パターンが多いです。

既存事業とのシナジー効果を期待して開業する場合もあれば、会社を定年退職した方が始めることもあります。

当社のお客様では、中古自動車販売をしている事業者様が介護タクシーを新規事業で立ち上げた方もいらっしゃいます。

 

介護タクシーは個人でも開業できるのか

介護タクシーは個人事業主でも、法人でも開業することが可能です。一般的な乗合タクシーは、基本的に新規で始めることができません。また、バス事業や一般貨物自動車運送事業に比べて許可取得の要件が易しいため、開業のハードルは低いと言えます。

とはいえ、様々な要件をクリアする必要があるので、時間はいくらでもあるという方以外は専門の行政書士へ依頼することをおすすめします。

介護タクシー許可とは?

介護タクシーを始めるための許可が介護タクシー許可となります。正確には、「一般乗用旅客自動車運送事業(福祉事業限定)許可」と言います。

 

申請受付窓口はどこ?

介護タクシー許可の申請受付窓口は、介護タクシー事業を行う営業所を管轄する運輸支局の旅客課(地域により担当部署の名称は異なります)です。愛知県内に営業所がある場合は愛知運輸支局の旅客担当となります。

運輸支局は各都道府県に一つしかありません。ご自身で許可申請するという方は、申請のために何度も運輸支局へ足を運ぶことになりますので、自宅や営業所からどれくらいの距離に管轄の運輸支局があるか確認しておきましょう。

運輸支局まで通うのに高速道路を利用して1時間以上かかるというような場合は、費用と時間がかかるので注意してください。

乗合タクシー

介護タクシー許可で開業するメリットとデメリット

次は介護タクシー許可で開業するメリットとデメリットについて確認していきましょう。

 

メリット1|社会的な信用が得られる

介護タクシーは、様々な用家をクリアして審査を受けて国土交通省から許可を得ることになります。

国から許可を得た事業をやっているというだけで第3者から見ると信用度はアップするでしょう。

 

メリット2|金融機関から融資を受けやすくなる

介護タクシーは自動車を使用する。車両が増えれば購入が必要。古くなれば買い替えが必要。

事業を始めると、銀行から融資を受ける必要なケースが必ず出てきます。その際に、国から認められた許可を取得しているというだけで融資を受けやすくなります。

 

メリット3|費用を抑えて起業・開業ができる

飲食業や美容業などを開業する場合、規模による違いはありますが一般的に数千万が必要です。同じ運送業である一般貨物自動車運送事業を始める場合は、2500万円前後の自己資金が必要となります。

対して、介護タクシーは100万円~300万円ほどで開業できるケースが多く、開業のハードルはかなり低いと言えます。

 

デメリット1|帳票類の管理など運送業事務に手間がかかる

介護タクシー事業を始めると、日報や点呼簿、乗務割などの帳票作成と管理・保管義務が発生します。建設業や産廃収集運搬業にはない「運送業事務」を行う必要があるのはデメリットの一つと言えるでしょう。

 

デメリット2|福祉車両の点検整備費用などの経費が必要

介護タクシー事業に使用する車両は、1年のうちで3ヵ月点検を3回、車検を1回必ず受けて車両の点検整備を実施する必要があります。

開業資金は低いかわりに、自家用車では義務付けのない点検整備の費用負担があるのはデメリットの一つです。

 

デメリット3|対面点呼など輸送安全の遵守義務が生じる

介護タクシー事業者には、事業に使用する車両へ乗務する前と乗務した後に運行管理者による対面点呼が義務付けられます。

点呼とは、が運転者の疾病・疲労・睡眠不足など健康面のチェックや、道路状況の確認を運行管理者が行うことを言います。

介護タクシー許可の要件

介護タクシー許可を取得するには大きく分けて下記6つの要件をクリアする必要があります。

  1. 欠格要件
  2. 管理運営体制
  3. 営業所・休憩睡眠施設の要件
  4. 車両の要件
  5. 資金の要件
  6. 法令試験

まずは欠格要件から見ていきましょう。

 

要件1|欠格要件

申請者=個人事業主の場合は事業主本人、法人の場合は法人の役員全員が下記のいずれかに該当すると介護タクシー許可を取ることができません。

※法令の条文であり、少々難解なので、簡単に説明して欲しいという方は読み飛ばし、次項の「欠格事由を簡単に解説」をご覧ください。

  1.  道路運送法、貨物自動車運送事業法、タクシー業務適正化特別措置法および特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化よび活性化に関する特別措置法等の違反により申請日前3ヵ月間および申請日以降に50日車以下の輸送施設の使用停止処分または使用制限(使用禁止)処分を受けた者ではないこと(法人の場合は使用停止処分等を受ける原因となった事項が発生した当時に当該処分を受けた法人の業務を執行する常勤の役員として罪人した者を含む)。
  2. . 道路運送法、貨物自動車運送事業法、タクシー業務適正化特別措置法および特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化よび活性化に関する特別措置法等の違反により申請日前6ヵ月間および申請日以降に50日車を超え190日車以下の輸送施設の使用停止処分または使用制限(使用禁止)処分を受けた者ではないこと(法人の場合は使用停止処分等を受ける原因となった事項が発生した当時に当該処分を受けた法人の業務を執行する常勤の役員として罪人した者を含む)。
  3.  道路運送法、貨物自動車運送事業法、タクシー業務適正化特別措置法および特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化よび活性化に関する特別措置法等の違反により申請日前1年間および申請日以降に190日車を超える輸送施設の使用停止処分または使用制限(使用禁止)処分を受けた者ではないこと(法人の場合は使用停止処分等を受ける原因となった事項が発生した当時に当該処分を受けた法人の業務を執行する常勤の役員として罪人した者を含む)。
  4.  道路運送法、貨物自動車運送事業法、タクシー業務適正化特別措置法および特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化よび活性化に関する特別措置法等の違反により、輸送の安全確保、公衆の利便を阻害する行為の禁止、公共の福祉を阻害している事実等に対し改善命令を受けた場合に、申請日前に当該命令された事項が改善されていること。
  5.  申請日前1年間および申請日以降に自らの責めに帰する重大事故を発生させていないこと。
  6.  申請日前1年間および申請日以降に特に悪質と認められる道路交通法違反がないこと。
  7.  旅客自動車運送事業等報告規則、貨物自動車運送事業報告規則に基づく各種報告書の提出を適切に行っていること。
  8.  自動車運転代行業の業務適正化に関する法律違反により申請日前2年間および申請日以降に営業の停止命令、認定取り消しまたは営業の廃止命令処分を受けた者(法人の場合は使用停止処分等を受ける原因となった事項が発生した当時に当該処分を受けた法人の業務を執行する常勤の役員として罪人した者を含む)。
  9.  申請者等が一班旅客自動車運送事業または特定旅客自動車運送事業の許可取消を受けた事業者において当該取消処分を受けた事業者において、その処分を受ける原因となった事項が発生した当時に運行管理者だった者で、申請日前5年間に運行管理者資格者証の返納命令を命じられた者でないこと。

 

欠格事由を簡単に解説

上記の欠格事由を簡単に解説すると下記のようになります。

  1. 申請日前3ヵ月間および申請日以降に介護タクシー事業にかかわる違反で50日車以下の行政処分を受けていないこと。
  2. 申請日前6か月間および申請日以降に介護タクシー事業にかかわる違反で51日車~190日車の行政処分を受けていないこと。
  3. 申請日前1年間および申請日以降に介護タクシー事業にかかわる違反で190日車超えの行政処分を受けていないこと。
  4. 介護タクシー事業にかかわる違反で輸送の安全確保命令などを受けている場合は、申請日前に違反事項の改善ができていない者でないこと。
  5. 申請日前1年間および申請日以降に道路交通法における悪質違反がないこと。
  6. 運送事業者に義務付けられている事業報告書、事業報告書および輸送実績報告書の提出を怠っていないこと。
  7. 運転代行業を行っている場合に、その認定取消または営業廃止命令を受けた者でないこと。
  8. 申請者が旅客自動車運送事業にかかわる違反で、申請日前5年間に運行管理者資格者証の返納命令を受けていないこと。

 

悪質な違反とは

悪質な違反とは下記の違反のことを言います。

酒酔い運転
酒気帯び運転
過労運転
薬物使用運転
無免許運転
無保険運行
無車検運行
救護義務違反(ひき逃げ)
妨害運転(あおり運転))

 

要件2|管理運営体制

管理運営体制とは、申請者が介護タクシー事業を行うための輸送の安全確保ができる体制が整っていることを言います。下記で具体的に見ていきましょう。

 

役員の専従

法人の場合は、役員のうち1人が介護タクシー事業に専従していること。

 

運転者の要件|2種免許その他

運転者は、介護タクシー許可申請時に2種免許を所持していなければなりません。このほか、運転者となるための要件として下記のようなものがあります。

  • 日々雇い入れられる者でないこと。
  • 2ヵ月以内の期間を定めて雇用される者でないこと。ただし、試用期間中の者が2ヵ月を超えて雇用されるに至った場合を除く。

 

運行管理者・運行責任者

車両5台までは運行管理責任者、5台を超える場合は車両数に応じた運行管理者資格を有した運行管理者を確保する必要があります。

運行管理者は、運行管理者試験センターの実施する運行管理者試験に合格または、運行管理者基礎講習を1回、一般講習を年4回の合計5回講習を受講している者でなければ資格を取得することができません。

近畿運輸局管内の一部の地域では、申請にかかわる営業区域で5年以上の運行管理者の実務経験を有している必用があります。

運行管理責任者については、資格や実務経験は不要です。

 

整備管理者・整備責任者

車両5台までは整備管理責任者、5台を超える場合は最低1人以上の整備管理者の要件を満たした者の確保が必要です。

整備管理者は下記のいずれかに該当する者でなければなりません。

  • 3級以上の整備士資格を有している者
  • 旅客運送事業の整備管理者などとして点検整備を行っていた期間が2年以上ある者が、実務経験を積んだ会社から証明の印鑑をもらい、且つ、整備管理者選任前研修を修了している者

整備管理者責任者につては、資格も実務経験も不要です。

 

指導主任者

指導主任者とは、運転者の対して行う営業区域内の地理や利用者に対する応接の関する指導を行う者のことです。

指導主任者となるための要件はないため、資格や実務経験は不要です。また、運転者以外の者であれば指導主任者となることは可能です。

 

運転者・運行管理者(責任者)・整備管理者(責任者)・指導主任者の兼任性の確認
  • 運転者は運行管理者(責任者)、整備管理者(責任者)、指導主任者となることはできません。
  • 運行管理者(責任者)は、整備管理者(責任者)、指導主任者を兼任することができます。

要件3|営業所の要件

介護タクシー事業に使用する営業所は下記の要件を満たす必用があります。

 

営業所と車庫間の距離

営業所と車庫の距離は直線距離で2㎞以内にあること。2㎞を10mでも超えると要件をクリアすることはできません。

 

適切な使用権原があること

介護タクシー許可の申請の自己所有の場合は、土地および建物登記事項証明書で自己所有であることが確認できること。

賃貸借の場合は、申請日時点で3年以上の契約期間があること。3年未満の場合は契約期間の更新について「自動更新」の旨の記載があること。

 

都市計画法に抵触していないこと

介護タクシー事業に使用する営業所は、基本的に市街化調整区域内にあってはなりません。ただし、調整区域内にある物件でも既存宅地、50戸連単などの要件をクリアすれば営業所使用ができます。

市街化区域内にある建物の場合は、下記の用途地域にないこと。

  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
    第一種中高層住居専用地域(集合住宅以外で住居兼事務所であれば基本的に可)
  • 第二種中高層住居専用地域(2階以下、且つ事務所免責が150㎡以下の場合を除く)

※用途地域とは、計画的な市街地を形成するために用途に応じて13に分けられた地域区分のことです。

 

農地法に抵触していないこと

用途地域が農地、つまり田畑の場合、そのままでは営業所使用することができません。農地転用という許可を取得して建物を建設する必要があります。

 

建築基準法その他関係諸法令に抵触していないこと

建物を建築するときは、その使用目的を定めて建築確認申請をする必要があります。都市計画法のところで述べた用途地域以外にある場合でも、事務所としての要件を満たす建物でなければ営業所として使用することはできません。

 

適切な事業規模であること

介護タクシー事業で使用する営業所は、何㎡以上ないといけないという規定はありません。ただし、事務所作業をするのに適切な広さは必用となります。

たとえば、畳1畳の広さの物置小屋を営業所とすることはできないので注意してください。

 

什器備品が整っていること

営業所として使用するための机、椅子、PCは必須です。プリンターやFAXはなくても構いません。

 

要件4|休憩睡眠施設の要件

休憩室の設置は必須となりますが、睡眠施設は運行上、仮眠や睡眠をとらないと輸送の安全が確保できないという場合のみ設置が必要となります。

また、営業所と睡眠休憩施設は併設されている必用はありませんが、ほぼ100%のお客様が営業所と休憩睡眠施設は同じ建物内に設置します。

休憩室・睡眠施設とも、広さを除いて要件は同じです。
※休憩室と睡眠施設を併せて「休憩睡眠施設」と表記しています。

 

休憩睡眠施設と車庫間の距離

休憩睡眠施設と車庫間の距離は直線距離で2㎞以内でなければなりません。営業所同様に10mでも超えると要件をクリアすることはできません。

 

適切な使用権原があること

申請者の自己所有の場合は建物登記簿謄本で自己所有であることが確認できること。賃貸借の場合は賃貸借契約書の契約期間が3年以上であること。

申請日時点で契約期間が3年未満の場合は「自動更新」の記載があること。

 

都市計画法など関係諸法令に抵触していないこと

営業所と同様に都市計画法上の市街化調整区域内の建物は基本的に休憩睡眠施設とすることはできません。

また、市街化区域内であても、用途地域が下記の場合は休憩睡眠施設の要件をクリアできません。

  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 第一種中高層住居専用地域(戸建て、且つ住居兼事務所は可)
  • 第二種中高層住居専用地域(2階以下、且つ事務所面積150㎡未満は可)

 

適切な事業規模であること

休憩室は広さの規定はないため、運転者が休憩するために適切な広さがあれば大丈夫です。

睡眠施設は、一人当たり2.5㎡以上の広さを確保しなければいけません。

 

什器備品

休憩室については最低限、机・椅子やソファーの設置が必要です。
睡眠施設については、運転者が快適に睡眠や仮眠が取れるようベッドや布団の設置が必要です。

介護タクシー駐車場

要件5|車庫(駐車場)の要件

介護タクシー事業に使用する車両を駐車するための車庫(駐車場)も様々な要件をクリアする必要があります。

 

車庫(駐車場)と車庫間の距離

車庫(駐車場)と車庫の距離は直線距離で2㎞以内でなければなりません。

 

適切な使用権原があること

自己所有の場合は申請者が所有していることが確認できる土地登記簿謄本、賃貸借の場合は契約期間3年以上の賃貸借契約書で適切な使用権原があることを証明します。

賃貸借契約書の契約期間が3年未満の場合は、契約更新が「自動更新」である旨の記載が必要です。

 

都市計画法に抵触していないこと

介護タクシー事業に使用する車庫(駐車場)は青空駐車場の場合、市街化調整区域であっても構いません。

 

農地法に抵触しないこと

土地の地目が田畑の場合は農地であるため、そのまま車庫として使用することはできません。農地転用をする必要があります。

不動産仲介業者が賃貸駐車場として広告を出している物件でも農地のままのものが少なくありません。

必ず専門の行政書士に確認してもらいましょう。

 

建築基準法その他関係諸法令に抵触しないこと

屋根や庇のある車庫、あるいは建物内の車庫に関しては、建物に該当するため建築基準法等の要件をクリアしなければいけません、

また、建物であるということは都市計画法上の市街化調整区域内にある場合は、基本的に車庫とすることができないことになります。

※カーポートは建物とみなされます。

 

車両を容易に収容できる広さがあること

介護タクシー事業に使用する車両を容易に収容できる広さが必要です。具体的には下記すべてを満たさなければいけません。

  • 建物と車両の間に50cm以上の隙間が確保できること。
  • 車両と車両の間に50cm以上の隙間が確保できること。

 

事業用自動車の点検整備や清掃ができる設備があること

基本的に車庫内に事業で使用する福祉車両を洗車したり点検整備したりできるスペースが必要です。

ただし、近隣のガソリンスタンドなどで洗車や点検整備を行う場合は不要となります。

 

車庫前面道路が車両制限令また道路幅員証明書が取れること

車庫前面道路は、事業に使用する福祉車両に対して十分な広さが必要です、十分な広さがあることの証明は、道路を管轄する自治体で車両制限令や道路幅員証明を取得して証明します。

必要な広さの計算は一般的な相互通行の道路では下記のようになります。

(車検証上の車両幅×2)+50cm

EX)幅160cmの車両が車両制限令を取得するために必用な車道幅
(160cm×2)+50cm=370cm → 車道の幅は3.7m以上必要

 

車庫出入口が道路交通法上支障のない場所にあること

車庫出入口は交差点や曲り角は5m以上離れていないと交通の安全が確保できないため、車庫(駐車場)とすることはできません。

このほか、踏切や保育園など児童が往来する場所に近い場合は、公安へ事前相談して好悪通安全上支障がないことの確認が必要です。

 

要件6|車両の要件

介護タクシー事業に使用する車両は福祉車両でも、一般的な乗用車タイプのセダンやワゴン車でも構いません。

ただし、一般車両を使用する場合は要件があるのでご注意ください。

 

セダンタイプを事業用車両にする場合の要件

セダンタイプの車両を介護タクシー事業に使用する場合は、下記の資格を取得しているか講習を修了していることが要件となります。

  • 介護福祉士
  • 訪問介護員
  • 居宅介護従事者
  • ケア輸送サービス授業研修者
  • 介護初任者研修

訪問介護員、居宅介護従事者、ケア輸送サービス授業研修者の新規講習は現在実施されておりません。

そのため、介護福祉士の資格がない、あるいは介護系の研修を修了していないという方は、ヘルパー2級に相当する「介護初任者研修」を受講しましょう。

 

福祉車両について

福祉車両は、介護車と自操車に分かれ、介護タクシーでの福祉車両は介護車が使用されます。

 

介護車とは

介護車とは、クルマ乗降に負担を感じる人をサポートするために車両です。

乗降時に身体に負担がかからないようシートが回転したり、車いすのまま車両の乗降ができる「装備」が付いている車両を指します。

軽自動車や小型車である福祉車両は車いすの固定装置がついているものが多く、ハイエースなどのワゴンタイプではストレッチャーのまま乗降するためにスロープが装着されているケースが多いです。

 

自操車とは

自操車とは、手足が不自由な方でも運転できるよう、運転補助装置を付けた福祉車両のことです。

身体の不自由な方の輸送をするための介護タクシーには使用することはありません。

福祉車両

要件7|資金の要件

介護タクシー事業を始めるのに必要な資金の確保ができていること。資金は、「所要資金」と「事業開始に必要な資金」とに分かれます。そして、所要資金の50%以上、且つ事業開始に要する資金の100%以上の自己資金が申請日以降許可取得するまで常時確保できていなければいけません。

所要資金と事業開始に用ウする資金は、具体的に下記の項目を合算した金額となります。

 

所要資金

車両費 未払い金を含む取得価格または1年分のリース料等
土地費 未払い金を含む取得価格あるいは1年分の賃借料及び敷金等
建物費 未払い金を含む取得価格あるいは1年分の賃借料及び敷金等
機械機器および什器備品 未払い金を含む取得価格
人件費 2ヵ月分の給与手当
燃料油脂費 2ヵ月分のガソリン代やタイヤ代
修繕費 2ヵ月分の車両修繕費
保険料 1年分の自動車税、自動車重量税、環境性能割、自賠責保険料、自動車任意保険料
その他創業等開業に要する費用 タクシーメーター代、看板代等の全額

上記を合算した額の50%以上の自己資金が必要。

 

事業開始に要する資金

車両費 頭金および2ヵ月分のリース・ローン月額。一括払いの場合はその全額
土地費 頭金および2ヵ月のリース・ローン月額、敷金等。一括払いの場合はその全額
建物費 頭金および2ヵ月分のリース・ローン月額、敷金等。一括払いの場合はその全額
機械機器および什器備品 未払い金を含む取得価格
人件費 2ヵ月分の給与手当
燃料油脂費 2ヵ月分のガソリン代やタイヤ代
修繕費 2ヵ月分の車両修繕費
保険料 1年分の自動車税、自動車重量税、環境性能割、自賠責保険料、自動車任意保険料
その他創業等開業に要する費用 タクシーメーター代、看板代等の全額

上記を合算した額の100%以上の自己資金が必要。

 

その他の要件①|法令遵守

法令遵守の要件とは具体的に下記の要件のことを言います。

 

法令試験|申請者が一般乗用旅客自動車運送事業の遂行に必要な知識を有していること

介護タクシー許可申請受付後に実施される法令試験に合格すること。法令試験の実施時期は、基本的に申請受付後1~2ヵ月以内に実施されます。

 

加入義務者の社会保険・労働保険等への加入

社会保険とは、健康保険と厚生年金保険のことを言い、労働保険とは労災保険と雇用保険のことを言います。介護タクシー許可取得までに加入義務者について加入が必要です。

 

社会保険加入義務者

法人の場合は役員および短時間労働者を除く労働者全員。
個人事業主の場合は従業員5名以上の場合の従業員。

 

労働保険の加入義務者

法人、役員および短時間労働者を除く労働者全員。
法人、個人事業主および短時間労働者を除く労働者全員。

 

その他の要件②|損害賠償能力

損害賠償能力の要件は、「旅客自動車運送事業者が事業用自動車の運行により生じた旅客その他の生命、身体又は財産の損害を賠償するために講じておくべき措置の基準を定める告示(平成17年国土交通省告示第503号)」に定められています。

具体的には、許可取得までに介護タクシー事業に使用する福祉車両について下記補償内容の自動車任意保険に加入します。

  • 対人8000万円以上
  • 対物200万円以上

実際には、対人対物とも無制限の補償内容に加入することをおすすめします。

介護タクシー許可取得に必要な資格

介護タクシー許可に必用な資格で主なものは下記のとおりです。

  • 2種自動車運転免許
  • 運行管理者(事業用自動車が5両以上場合限る)
  • 整備管理者(事業用自動車が5両以上場合限る)

このほか、事業に使用する車両がセダンタイプの場合は、車両の要件でご説明したとおり、下記の資格または講習修了が必要となります。

  • 介護福祉士
  • 訪問介護士
  • 居宅介護従業者
  • ケア輸送サービス授業者研修
  • 介護初任者研修

福祉車両を使用する場合は、介護系の資格や研修を修了していないくても介護タクシー事業を始めることは可能です。

 

介護タクシーを始めるまでの流れ

介護タクシーを始めるまでの流れはザックリ下記のようになります。

 1 法人か個人のどちらで介護タクシーを始めるか決める
 2 法人設立(法人で許可取得する場合のみ)
 3 2種免許取得(未取得の場合のみ)
 4 営業所と駐車場の選定と適合調査
 5 車両の選定
 6 申請書類の作成
 7 申請書添付資料の収集
 8 残高証明書取得
 9 申請受付
11 審査(申請受付後3~4ヵ月)
12 補正対応
13 法令試験受験と2回目の残高証明書提出
14 社会保険・労働保険の加入、36協定締結
15 許可取得
16 運賃料金認可申請の受付
17 事業用自動車を福祉車両へ構造変更(必要な場合のみ)
18 運賃料金認可の取得
19 登録免許税3万円の納付
20 事業用自動車等連絡所取得
21 申請車両を緑ナンバーに変更
22 事業用料率で自動車任意保険へ加入
23 看板の設置と車体表示
24 運輸開始届と自主点検表の提出
25 介護タクシー事業の開始!

ご覧いただいて分かる通り、介護タクシー事業を始めるには実に様々な工程を経ることが必要となります。

 

車体表示とは

車体表示とは、車両の側面に「福祉限定」の文字と屋号または会社名を表示することです。乗合タクシーで言えば「宝タクシー」などの会社名が表示されていますね。

下記項目を表示することが義務付けられています。

  • 事業者の氏名、名称または記号(ロゴなど)
  • 条件で業務を限定したことがわかる「限定」の文字
  • 「福祉車両」の文字

※限定の文字は縦12cm、横25cm以上の大きさで表示すること。

車体表示は横書きと定められており、ペイントやカッティングシートのほか、マグネットタイプのものでも構いません。

 

運賃料金認可について

介護タクシー事業を行うには、許可取得後に営業所管轄の運輸支局へ「運賃料金認可申請」を提出して認可を受けなければなりません。

運賃料金には下記の2種類があります。自社の状況に応じて運賃料金を作成して認可を受けましょう。

 

介護運賃

介護運賃は、介護報酬の収受が可能な訪問介護事業などの指定事業者でなければ設定できません。ケアプランを基に介護報酬が発生する場合に適用する運賃となります。

介護運賃についての取り決めはありません。ケア運賃と同等の運賃料金を設定するのが一般的です。ケア運賃とかけ離れた運賃料金を設定すると運輸局から補正が入るので注意してください。

 

ケア運賃

ケア運賃は、指定事業者でなくとも設定が可能です。独立開業する方の多くはケア運賃のみの設定をすることになるでしょう。

ケア運賃は、地域ごとに自動認可運賃(通称、適用型)と言われるひな形を各地方運輸局長が定め、公表されています。この自動認可運賃を基に運賃料金を設定することになります。

自動認可運賃は、車両の大きさごとにA~E(地域により区分数の違いあり)に区分された距離制運賃の初乗り運賃と加算運賃、そして時間制運賃、時間距離併用運賃および待料金等を設定します。

ただし、時間制運賃と時間距離併用運賃は、福祉車両にタクシーメーターを装着する場合のみ設定可能できません。タクシーメーターを使用しない場合は、距離制運賃のみ設定しましょう。

このほか、主に下記の料金を必用に応じて設定します。

  • 迎車回送運賃
  • 早朝予約運賃
  • 深夜早朝割増運賃
  • 障がい者割引
  • 高齢者割引
  • 遠距離割引
  • 免許返納割引

 

介護タクシーを始めるまでの期間

介護タクシーを始めるまでの期間は、短くても3ヵ月は見ておきましょう。申請に準備に1ヵ月。申請受付から許可取得までに3ヵ月~4ヵ月。運賃料金の認可取得までに1ヵ月の合計半年です。

介護タクシー許可申請の前に2種免許を取得する場合は、免許取得までの期間も考慮してください。自動車学校に通う場合、学科と実地併せてAT免許で最短で10日、長いと2ヵ月ほどを要します。

2種免許を新たに取得する場合は、申請から許可取得までの半年に加えて免許取得の期間も考慮してスケジュールを立てましょう。

 

介護タクシー開業に必要な費用

介護タクシー開業に必要な費用は主に下記のようなものになります。

 

事業開始に必要な費用

介護タクシー開業に必要な事業開始資金は、およそ150万円~400万円です。金額に開きがあるのは、事業に使用する車両の購入費の違いによるところが大きいでしょう。

たとえば、中古の軽自動車福祉車両を安く購入するか、新車のハイエース福祉車両を購入するかで大きく値段が変わります。

ちなみに当社のご依頼者様の平均値は約200万円です。

 

登録免許税

介護タクシー許可取得後に収める登録免許税3万円が必ず必用となります。

 

2種免許取得費用

介護タクシー開業に合わせて2種免許を取得する場合は、自動車学校へ通う費用が必用です。

車校での2種免許取得費用は、免許の取り方によって下記のように変わります。

  • 合宿免許:20万円前後
  • 通学免許:22万円前後
  • 一発試験:4万円前後

当社のお客様でも一発免許を何度か受けて2種免許を取得した方がいます。ほとんどのお客様が5~6回試験を受けいていますので1回4万円の試験を5回受験したと考えると20万円必用です。したがって、合宿や通学とさほど費用は変わらないことになります。

 

行政書士報酬

行政書士報酬のご説明の前に、一般の方には馴染みのない「行政書士」とは何かについて見ていきましょう。

 

行政書士とは何か

行政書士とは、行政書士法に定められた資格を持つ国家資格者です。行政書士の行う業務は、大きく分けて下記の2つです。

  • 各種許認可書類の作成と提出代行
  • 権利義務に関する書類の作成・提出代行

詳しくは、行政書士法で以下のように定められています。

行政書士は他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類、その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成することを業とする。

これらの書類作成等をして報酬をもらうことができるのが行政書士となります。

 

行政書士報酬の平均値

介護タクシー許可申請の行政書士報酬の平均値は20万円~30万円ほどです。

行政書士業務の中でも介護タクシー許可は特殊な部類に入るため、当社のような専門事務所に依頼することをおすすめします。

介護タクシー許可を行政書士に依頼すべきか

介護タクシー許可を行政書士へ依頼する場合は、次の観点から判断すると良いでしょう。

  • 難しい書類作成をするのが苦手。
  • 時間がないので最短で許可取得し、開業したい。
  • 専門家へ支払う報酬も開業に必要な経費として考えられる。

上記に当てはまる方は、行政書士へ依頼することをおすすめします。

ただし、先述したとおり介護タクシー許可は行政書士業務の中でも特殊であり、難易度の高い業務です。

行政書士へ依頼する場合は、専門事務所か否かを見極めるために、必ず電話相談して疑問や悩みに即答できるか確認してください。

介護タクシー許可を含める自動車系許認可を専門として扱っている事務所も少ないのでご注意ください。

 

当事務所の介護タクシー許可申請の報酬額

項目 報酬額
介護タクシー許可申請一式 30万円+税

 

当事務所の介護タクシー許可報酬額に含まれる業務

営業所・車庫の要件調査
車両制限令または幅員証明書の取得
申請書類作成と提出代行
運賃料金認可届の提出
事業自動車等連絡所の取得
運輸開始届けと自主点検表の提出

 

まとめ

介護タクシー許可について詳細についてご理解いただけたでしょうか。開業までの道のりは約半年と長いため、綿密なスケジュールを練って事業を始めるようにしてください。

開業に必要な費用は、他の職種より比較的低いため始められやすい事業と言えます。2018年頃に比べて新規参入事業者も少なくなったにもかかわらず高齢化が進む日本においてスケールするチャンスのある事業でもあります。

行政書士に依頼したい、または開業についての疑問や悩みを聞いて欲しいという方は、自動車系許可のプロ事務所「行政書士法人シフトアップ」へお気軽にお電話でご相談ください。

お電話の際は、ホームページを見たとお伝えいただくとスムーズです。

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川合智

川合 智

運送業許可のプロ事務所「行政書士法人シフトアップ」の社長★トラック運送会社に12年勤務後に開業。著書【行政書士のための運送業許可申請のはじめ方】★行政書士向けに運送業許可を教える「くるまスクール」主催者

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