多くのトラック運送事業者が、早朝や夜間の点呼執行者の勤務について頭を悩ませているはず。
そこで、この記事ではデジタル機器を利用した点呼が可能となる「IT点呼」について解説いたします。
IT点呼とは何か、導入するメリットとデメリット、導入の要件などについて一緒に確認していきましょう。
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IT点呼とは?
IT点呼とは、テレビ電話、パソコンカメラやアルコール検知器などのIT機器を使った点呼のことです。
多くのトラック運送事業者は、貨物輸送のルートや時間帯が車両によってバラバラなため、運転者が出庫・帰庫する時間帯も早朝から深夜までまちまちになります。
通常、トラック運送事業者が運転者=ドライバーに対して行う点呼は「対面点呼」でなければなりません。2泊3日運行の場合は電話点呼が可能ですが、乗務前点呼か乗務後点呼のいずれかは対面点呼が必須です。
このため、運行管理者の勤務時間が異常に長くなってしまうこともあり、多くのトラック運送事業者が対面点呼を行うために四苦八苦します。
このような状況が解消するための一つのツールが「IT点呼」です。
IT点呼導入のメリッとデメリット
IT点呼導入のメリットとデメリットについて見ていきましょう。
メリット
- 営業所と車庫間、営業所と他営業所間、営業所と他車庫間での点呼が可能になる。※IT点呼実施時間は連続する16時間以内でなければいけません。
- 運行管理者や運行管理補助者の勤務時間が短縮され、身体的負担を減らすことができる。
- 点呼のために必用な人件費を削減できる。
デメリット
- 国交省指定のインターネット接続設備を整備する必用があるため、一つの営業所当たり100万円前後のコストがかかる。
- IT機器操作のトレーニングを受ける必要がある。
- ドライバーの監視強化と思われ、モチベーションを下げる可能性がある。
便利なIT点呼ですがメリットばかりではないので、導入時によく検討するようにしましょう。
IT点呼の要件
IT点呼を実施する予定の営業所がGマークを取得していることが要件となります。
ただし、現在は要件が緩和され、Gマークを取得していない営業所でも下記の要件をすべて満たせばIT点呼の導入が可能です。
- 運送業の営業所として運輸開始した日から3年を経過していること。
- IT点呼の申請をする前3年間に、営業所に所属する事業用自動車が第一当事者となる自動車事故報告規則第2条に該当する事故を起こしていないこと。
- IT点呼の申請をする前3年間に、点呼の違反に係る行政処分または警告を受けていないこと。
- IT点呼の申請をする直近の巡回指導で、総合評価が「D、E」以外、かつ点呼の項目判定が「適」であること。または、巡回指導の総合評価が「D、E」、もしくは点呼の項目判定が「否」であった場合で3ヵ月以内に改善報告書が提出され、総合評価が「A、B、C」、点呼の項目判定が「適」に改善されていること。
Gマークの取得をしている場合の注意点
営業所と他の営業所間では、Gマークを取得している営業所間でのみIT点呼の実施が可能です。
Gマークは営業所単位で取得する必要があるため、これからGマーク認証を受けてIT点呼を導入しようと考えているトラック運送事業者はご注意ください。
【最新版】Gマーク取得方法をザックリ解説も併せてお読みください。
機械設置の条件
IT点呼を行うための機械の設置は以下のような条件があります。
- 国土交通省が定めた機器を使用すること。
- IT点呼を行う10日までに「IT点呼に係る報告書」を営業所管轄の運輸支局に届出すること。
- IT点呼の記録を付けること。
IT点呼記録簿は、IT点呼実施営業所で保存しなければいけません。2つ以上の営業所間でIT点呼を行う場合は、実施営業所すべてで記録・保存する義務があるのでご注意ください。
IT点呼導入の手順
IT点呼導入の手順は下記のとおりです。
- IT点呼を行うすべての営業所がGマーク認定を受ける。あるいは、巡回指導でA~C評価を受け、点呼に関する評価が「適」である。
- 国交省が認定したIT機器の選定と購入。
- IT点呼に係る報告書を営業所管轄の運輸支局へ提出する。
- IT点呼機器の設置。
- 運行管理者および運行管理補助者がIT点呼機器操作のトレーニングを受ける。
- IT点呼スタート
まとめ
IT点呼を導入すると、対面点呼実施に関する呪縛から放たれます。しかし、導入にはコストもかかるため、一定の車両数を持っている企業でなければ現実的な選択でないかもしれません。
とはいえ、営業所間あるいは営業所車庫間での遠隔地点呼は、飛躍的に運行管理を簡略化できる可能性があります。Gマーク認証を取得したときや、巡回指導でA~C評価を受けた際に検討してはいかがでしょうか。
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