トラック運転手のための改善基準告示とはなにか?
運送業はトラック運転者の労働時間、拘束時間、休憩時間などについて一般の業種とは違う取扱いが定められています。
この内容を定めたものが「改善基準告示(正確には自動車運転者のための労働時間等の改善の基準)」と言われるもので、運送業界では2024年問題と言われています。
皆様ご存じのとおり、この規定はトラック運送業を行う者にとって「目の上のタンコブ」と言えるもので、
「これがなければどれほど運営が楽なことか。」
ほぼ全ての運送事業者様は、そう感じていらっしゃることでしょう。
しかしながら、時代の流れには逆らえず、「改善基準告示」に沿った事業運営をしないと、今後生き残っていくことは難しい時代に突入したと筆者は肌で感じております。
それでは、具体的にどんな事が定められているのか見ていきましょう。
労働時間等に関する定めを優しく解説
運送業に勤務する労働者の労働時間、拘束時間や休憩時間について下記のように定められています。
拘束時間関係
「拘束時間」とは、休憩時間を含む出社から退社までの時間を言います。
- 1か月の拘束時間は基本的に293時間
- 36協定(労使で結んだ時間外労働に関する協定書)がある場合、1年のうち6か月までは、1年間の拘束時間の合計が3,516時間(293時間×12か月)を超えない範囲で320時間まで延長ができる
最大拘束時間
- 1日:13時間
- 最大:16時間(15時間超えは1週間2回まで)
休息時間
- 継続して8時間以上与えること
「休息時間」とは、運転者の完全に自由な時間を休息時間と言います。
電話でいつでも呼び出せる時間は休息時間と言いません。休憩時間と混同しないようご注意ください。
運転時間
- 基本的に2日平均1日当たり9時間
- 例外的に1週間平均44時間以内であればよい
連続運転時間
- 4時間まで
- 運転開始後4時間経過直後に30分以上の休憩を与えること
1回10分以上、且つ合計30分以上でもよいとされています。
とにかくハンドルを握らない時間を30分以上確保しましょう。
こんな対策を取っている運送会社もあります
事業者様によっては、タイマーで運転時間を計測して4時間経過する前に必ずドライバーさんに休憩を取らせるという対策を取っている運送会社さんもいます。
それほど、連続運転時間をドライバーさんに守ってもらうための対策に力を入れる必要があると言うことです。
時間外労働
時間外労働とは、1日8時間以上または週40時間を超えて労働した場合に、その超えた労働時間のことを言います。
時間外労働をさせる場合は、会社と労働者の代表とで合意して「36協定書」という書類を労働基準監督署に提出します。
週平均が40時間を超えない場合でも、拘束時間が13時間を超える日が多い場合は拘束時間に関する協定書を提出する必要があります。
割増賃金について
運送業についてまわるのが割増賃金です。
残業や深夜労働、休日労働した場合に通常の賃金に上乗せして従業員に支払う賃金のことです。
時間外労働時間=残業代
法定労働時間を超えて労働した時間、いわゆる「残業」をした場合に支払う賃金のことです。
残業時間は以下のように計算します
休日労働時間代
週1回、4週4休の法定休日に出勤した場合に支払う割増賃金のことです。
休日労働時間代は以下のように計算します。
深夜労働時間代
午後10時から翌日午前5時までの間の労働に対して支払う割増賃金のことです。
深夜労働時間代は以下のように計算します。
注意!未払い残業代請求する運転手が増えています
「割増賃金はしっかり管理してドライバーさんにお支払いください」と言うのも、最近は入社後6か月程度は残業のことも、休日出勤・深夜手当のことも何も言わずに労働していたドライバーが、ある日突然労働基準監督署に行って割増賃金の不払いを訴えて辞めていくという事案が多発しています。
1人でそれをするならまだマシですが、6か月の間に仲間を作って大勢で未払い残業代を請求する場合も少なくありません。
当事務所のご依頼者の方も、未払い残業代を240万支払って和解した法人様がいらっしゃいます。
240万と言えば大金です。会社の存続が危うくなる可能性もあります。そのようなことが起こらないよう勤怠の管理はしっかり行ってください。
まとめ
初めてご自身で運送業を経営する方には「改善基準告示」は理解するのに苦しむ規定です。
元運送会社の運行管理者経験のある行政書士が代表である「行政書士法人シフトアップ」では、ドライバーの労働時間など、勤怠管理に関するアドバイスもいたしますのでぜひご連絡ください。
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