個人タクシーとは、1人のドライバーが1台の車両を使用し、個人事業主として旅客自動車運送事業をおこなうタクシーのことです。
法人タクシーに比べ、自分のペースで稼げる、営業で得た収益が全て自分のものになるといったメリットがありますが、成功するためには事前の準備が欠かせません。
本記事では、個人タクシードライバーになるための方法を解説します。
開業に必要な6つの条件や、失敗しないためのコツも紹介するので、個人タクシーの開業を検討している方はぜひ参考にしてください。
個人タクシーとは
個人タクシーとは、個人事業主として旅客自動車運送事業を営むタクシーのことです。
ドライバー1人と車両1台があれば始められることから、「1人1車制個人タクシー事業」とも呼ばれています。
個人タクシーと法人タクシーの違い
個人タクシーと法人タクシーの違いは、「個人事業主が営むタクシーか」それとも「法人が営むタクシーか」という点です。
法人タクシーは、企業に属し、その一員として運行します。
雇われ人であるため、働く時間や営業エリア、サービス内容は、基本的に企業が決めたルールに従います。
一方の個人タクシーは、企業に属さず、個人事業主として運営します。
働く時間や営業エリア、サービス内容を個人の裁量で決められるのはもちろん、営業で得た収益は全て自分のものになるため、頑張った分だけ収入に反映されます。

個人タクシーを開業する方法
ここからは、個人タクシーを開業する方法を紹介します。
個人タクシーには、「新規許可」と「譲渡譲受」の2つの開業方法があります。
新規許可
「新規許可」とは、新たに旅客自動車運送事業許可を取得し、個人タクシーを開業する方法です。
許可申請をする際は、国が定めたいくつかの要件を満たしたうえで、営業区域を管轄する地方運輸局に申請書類を提出します。
ただし、タクシー事業の許可取得は総量規制によって原則認められていないため、新規許可による開業は非常に難しいとされています。
譲渡譲受
「譲渡譲受」とは、既存の個人タクシー事業者から許可を購入して開業する方法です。
既存の個人タクシー事業者(譲渡人)と、新たに許可を譲り受ける人(譲受人)との間で「譲渡譲受契約」を締結することで、許可を得ることができます。
現在、個人タクシーを開業する人の多くが、譲渡譲受によって許可を得ています。
個人タクシーの開業に必要な6つの条件
個人タクシーを開業するには、以下6つの条件を満たす必要があります。
- 年齢
- 運転経歴
- 法令遵守
- 資金計画
- 営業所
- 車庫
それぞれ順番に解説します。
①年齢
個人タクシーの開業には年齢制限が定められており、申請日時点の年齢が65歳未満でなければ、許可を得ることはできません。
②運転経歴
申請者の運転経歴も、個人タクシーを開業する条件のひとつです。
必要とされる経歴は、年齢区分によって以下のように異なります。
| 年齢区分 | 必要な運転経歴 |
| 35歳未満 | ・申請する営業区域で申請日以前継続して10年以上同一のタクシーまたはハイヤー事業者に雇用されていること ・申請日以前10年間無事故無違反であること |
| 35歳以上40歳未満 | ・申請日以前、申請する営業区域で10年以上のドライバー経験があること ・運転経歴のうちタクシーやハイヤーの運転を経験した期間が3年以上であること ・申請日以前10年間無事故無違反の場合は、40歳以上65歳未満の要件となる |
| 40歳以上65歳未満 | ・申請日以前25年間のうち、10年以上のドライバー経験があること ・申請する営業区域で、申請日以前3年以内に2年以上タクシーやハイヤーの運転を職業としていたこと |
③法令遵守
個人タクシーを開業する上では、申請日以前5年間もしくは申請日以降に、法令違反等による指定の処分を受けていないことも重要です。
法令違反の一例は以下の通りです。
- 貨物自動車運送事業法の違反による輸送施設の使用停止以上の処分または使用制限
- タクシー適正化・活性化特措法の違反による輸送施設の使用停止以上の処分または使用制限
- 道路交通法の違反による運転免許の取消し処分
- タクシー業務適正化特別措置法に基づく登録の取消し処分およびこれに伴う登録の禁止処分
また、申請日以前3年間もしくは申請日以降に、道路交通法の違反がなく、運転免許の停止を受けていないことも条件となります。
④資金計画
個人タクシーを開業するには、以下の自己資金を用意する必要があります。
| 所要資金 | 金額 |
| 設備資金 | 原則として70万円以上 (所要の設備が調達可能であることが明らかな場合はその限りではない) |
| 運転資金 | 70万円以上 |
| 車庫に必要な資金 | 車庫の確保に必要な資金 |
| 保険料 | 保険期間12か月以上の自賠責保険料、任意保険または共済に係る保険料の年額 |
また、許可を得るためには、所要資金の100%以上の自己資金が、申請日以降常時確保されている状態でなければなりません。
⑤営業所
個人タクシーを開業するには、以下の条件に適合する営業所を設ける必要があります。
- 申請する営業区域内にあり、住居と営業所が同一である
- 申請する営業区域内に、申請日時点で居住していることを証明できる
- 申請者に所有権限があること
⑥車庫
タクシーを保管する車庫についても、以下のような条件が定められています。
- 申請する営業区域内にあり、営業所から直線で2km以内の距離にある
- 個人タクシー事業で使用する車両のすべてを収容できる
- 隣接する区域と明確に区分されている
- 土地と建物において1年以上の使用権原を有している
- 建築基準法や都市計画法、消防法、農地法などの関係法令に抵触しない
- 前面道路が車両制限令に抵触しない
個人タクシーの開業で失敗しないためには?
個人タクシーは法人の場合と異なり、自分で工夫しながら収益を上げ続けなければなりません。
ここでは、安定した収益を得るために、個人タクシーの開業で失敗しないためのコツを紹介します。
- タクシー配車アプリを活用する
- 個人タクシー組合に参加する
- 人脈を広げておく
タクシー配車アプリを活用する
個人タクシーでは、基本的に自ら営業活動を行う必要があり、集客に苦労することも少なくありません。
そのような際、「タクシー配車アプリ」を活用することで、効率的に利用者を見つけることができます。
タクシー配車アプリとは、スマートフォンを使って近くのタクシーを簡単に呼び出せるサービスです。アプリ上で乗車場所と目的地を指定できるだけでなく、料金の確認や決済も行えます。
近年ではタクシー配車アプリの利用者が増加しているため、アプリを活用することで、効率よく利用者を見つけることができます。
個人タクシー組合に参加する
個人タクシー事業を成功させるためにも、開業後に「個人タクシー組合」への参加を検討しましょう。
個人タクシー組合に参加することで、車両購入資金の借り入れや決済サービス、無線配車ネットワークへの参加など、さまざまなサポートを受けることができます。
人脈を広げておく
個人タクシーの開業を成功させるためには、法人タクシードライバーとして働いている間に、個人タクシー事業者との人脈を作っておくことも大切です。
現在、タクシー事業の許可取得は総量規制によって原則認められていないため、新規許可による開業は難しいとされています。
そのため、個人タクシー事業を始める場合は、引退する個人タクシー事業者から事業を引き継ぐ必要があるのです。
法人タクシードライバー時代に人脈を広げておけば、既存の個人タクシー事業者(譲渡人)を見つけやすくなるでしょう。
まとめ
個人タクシーとは、1人のドライバーが1台の車両を使用し、個人事業主として旅客自動車運送事業をおこなうタクシーのことです。
自分のペースで稼げる、営業で得た収益が全て自分のものになるといったメリットがありますが、安定した収益を得るためには事前の準備が欠かせません。
なお、タクシー事業の許可取得は総量規制によって原則認められていないため、事業を始める場合は、新規許可よりも譲渡譲受による許可取得を目指すのがおすすめです。
本記事を参考に、着実に準備を進めたうえで、個人タクシー事業の開業を目指しましょう。

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