「働きやすい職場認証制度」とは、令和2年度に国土交通省より創設された、昨今のドライバー不足に対応するための取り組みです。制度開始から4年が経過した令和6年5月現在では、累計11,113社の事業者が認証を取得しています。
働きやすい職場認証制度には、自動車運送事業者の労働条件や労働環境を認証マークで見える化するという働きがありますが、取得することでどのようなメリットを得られるのかを理解できていない方もいるでしょう。
本記事では、働きやすい職場認証制度について解説します。
取得するメリットやデメリットも取り上げますので、ぜひ参考にしてください。
働きやすい職場認証制度とは?
働きやすい職場認証制度とは、自動車運送事業者(トラック・バス・タクシー)の労働条件や労働環境を認証マークで見える化した制度で、令和2年度に国土交通省より創設されました。
運送業界への転職を考えている求職者への情報提供として設けられたもので、正式には「運転者職場環境良好度認証制度」といいます。
令和2年度の創設当初は「一つ星」のみの申請を受付けていましたが、より高い水準への移行を促すために、令和4年度に「二つ星」、令和5年度には「三つ星」が新たに導入されました。
働きやすい職場認証制度が設けられた背景
近年、トラック運送業をはじめとする自動車運送事業者では、ドライバー不足が深刻化しており、ドライバーの労働環境や労働条件を改善すると同時に、新たな人材の確保が重要な課題となっています。
ドライバー不足の要因として考えられるのが、運送業界に対する世間のイメージです。
「拘束時間が長くて負担がかかりそう」「休みが取れなさそう」「条件が厳しい割に給料が安そう」など、マイナスのイメージが定着していることが、新たな人材が集まらない要因と考えられています。
国土交通省は、運送業界に対するマイナスのイメージを刷新して新たな人材を呼び込むために、企業の労働条件や労働環境を見える化して、運送事業者への転職を促す「働きやすい職場認証制度」を創設しました。
働きやすい職場認証制度の条件
働きやすい職場認証制度の対象となるのは、トラック、タクシー、バス(乗合・貸切)の自動車運送事業者で、以下6つの分野で基本的な取組要件を満たすことができれば、認証を取得できます。
| 対策分野 | 認証項目数 |
| ① 法令遵守等 | 9項目 |
| ② 労働時間・休日 | 3項目 |
| ③ 心身の健康 | 4項目 |
| ④ 安心・安定 | トラック8項目・バス8項目・タクシー10項目 |
| ⑤ 多様な人材の確保・育成 | 1項目 |
| ⑥ 自主性・先進性等 | - |
(出典:トラック・バス・タクシードライバーのための働きやすい職場認証制度|日本海事協会)
なお、「自主性・先進性等」については、二つ星と三つ星のみで適用される項目になっており、一つ星では参考点として点数化されます。
また三つ星では、「労働時間・休日」「心身の健康」「多様な人材の確保・育成」の3分野で認証項目が追加されることに加えて、働きやすい職場を実現するための方針や課題改善に向けた行動計画、体制整備などの記載欄を設け、PDCAが適切に回っているかも審査されます。
働きやすい職場認証制度を取得する3つのメリット
ここからは、働きやすい職場認証制度を取得することで得られる3つのメリットを解説します。
- 採用力の強化につながる
- 企業価値を高められる
- 社員の離職防止につながる
①採用力の強化につながる
求人業界やハローワークでは、働きやすい職場認証制度を取得した事業者を優先的に案内する取り組みがおこなわれており、未取得の事業者に比べて応募してもらいやすい傾向があります。
国土交通省からのお墨付きを受けて採用活動をおこなえるため、安心できる就職先として認識されやすく、応募効果が現れやすくなります。
②企業価値を高められる
社内で働きやすい職場認証制度を取得する取り組みを進めることで、職場環境だけでなく、業務改善にも取り組む社員が増えるため、業務効率化や生産性向上につながりやすくなります。
これらの取り組みを通じて、優良な職場環境を整えていることをアピールできるのはもちろん、取引先からの信頼性向上や、新たな仕事を獲得するチャンスにもつながります。
③社員の離職防止につながる
新たな人材を採用することも重要ですが、在籍している良い人材を離職させないことも同じくらい重要です。そして、社員を離職させないためには、職場環境の整備が不可欠です。
働きやすい職場認証制度の取得審査では、法令がしっかり守られているか、労働環境や労働条件の改善に向けた取り組みが行われているかがチェックされるため、自然と職場環境の改善を図ることにつながり、結果的に社員の離職率を下げることができるのです。
働きやすい職場認証制度を取得するデメリット
働きやすい職場認証制度を取得するデメリットには、求職者が過度な期待を抱いて応募してくる点が挙げられます。
働きやすい職場認証制度は、企業の労働環境や労働条件を見える化して、ドライバーへの転職を促すために設けられた制度ですが、求職者の中に具体的な取得要件を知る者はほとんどいないでしょう。
そのため、他2つの段階に比べて水準が低い「一つ星」でも、認証を取得しているだけで福利厚生が完璧に整っていると誤解されるケースも珍しくありません。
働きやすい職場認証制度を取得する流れ
働きやすい職場認証制度を取得する流れは以下のとおりです。
- 審査を申請する
- 審査料を振り込む
- 審査実施
- 審査結果通知(合格の場合は登録料が請求される)
- 登録料を振り込む
- 登録証書の発行・送付
初めて申請する企業は、一つ星からの申請手続きをおこなう必要があります。
電子申請が推奨されていますが、郵送による申請も可能です。
働きやすい職場認証制度についてよくある質問
最後に、働きやすい職場認証制度についてよくある質問に回答します。
働きやすい職場認証制度の申請に利用できる助成金はある?
働きやすい職場認証制度の申請には審査料と登録料が必要になりますが、トラック協会の会員事業者なら、各都道府県トラック協会で助成支援を受けられる場合があります。
新規で認証を取得する場合は上限30,000円、認証を継続する場合は上限20,000円が助成の対象となります。
| 助成対象 | 助成額 |
| 新規認証取得にかかる審査料・登録料 | 上限30,000円 |
| 同位認証継続にかかる審査料・登録料 | 上限20,000円 |
(出典:「働きやすい職場認証制度」認証取得費助成事業について|全日本トラック協会)
申請にかかる費用を少しでも抑えたい方は、チェックしてみてください。
働きやすい職場認証制度の一つ星と二つ星の違いは?
働きやすい職場認証制度の創設当初は「一つ星」のみの申請を受付けていましたが、より高い水準への移行を促すために、令和4年度に「二つ星」、令和5年度には「三つ星」が新たに導入されました。
一つ星は比較的容易に取得できますが、二つ星や三つ星では審査項目数が増えるため、その分取得難易度が上がります。
なお、二つ星や三つ星を取得した事業者で、対面による審査を受けた場合、長期間監査を実施していなくても、監査の対象から除外されるというメリットがあります。
まとめ
働きやすい職場認証制度とは、自動車運送事業者(トラック・バス・タクシー)の労働条件や労働環境を認証マークで見える化した制度で、運送業界への転職を考えている求職者への情報提供として設けられました。
求人業界やハローワークで優先的に案内されるため、採用力の強化につながるのはもちろん、職場環境の整備による社員の離職防止や、企業価値の向上など、さまざまなメリットを得られるのが特徴です。
働きやすい職場認証制度を取得して、新たな人材を獲得したい運送事業者は、ぜひ取得を検討してみてください。

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