トラック運送業には欠かすことの出来ない、運行管理者や整備管理者は法律で定められた人数を揃えられなければ、運送業を開業することすら出来ません。
そんな運送業にとって重要な運行管理者について、このページにまとめました。これを読めば、あなたも5分で運行管理者について理解できるはずです。
運行管理者とは
運行管理者とは、運送業界における重要な職務で主に運転手や車両の運行を安全かつ効率的に管理する役割を担う国家資格を持つ者のことです。
運行管理者の選任人数と要件
運行管理者は営業所の車両台数に応じて、確保すべき人数が決まっており、車両が29台までは1人、以降59台までは2人、89台までなら3人と言った具合に、30台増えるごとに1人増員しなければなりません。
1営業所内に複数名が勤務する場合は、その中から統括運行管理者を決めることも必要です。
なお車両が5台未満、および軽自動車やバイクを使用する貨物軽自動車運送事業の場合は一部の例外を除き、運行管理者を選任しなくても構わないとされています。
定期講習の義務と初年度ルール
運送会社においては道路運送法などに基づき、運行管理者の選任と届出が義務付けられており、「2カ年度に1回」、国土交通省認定の講習機関(自動車事故対策機構等)において一般講習を定期受講する仕組みになっています。
ここで最も注意すべき点は、丸2年(24ヶ月)という意味ではなく、国の会計年度(4月〜翌3月)を基準に管理されるため実務上非常に注意が必要だということです。
さらに、新たに選任された運行管理者は、選任届を出した日の属する年度内(その年の3月31日まで)に必ず最初の講習を一度受講しなければならないという厳格な初年度義務が課されています。
運行管理者の仕事内容
運行管理者は、安全運行の指示やドライバーの指導監督などを行うのが仕事です。
ドライバーが休みを取っていなかったり、体調不良を押して乗務していたりと言った不適切な労働環境を放置した結果、万が一事故が起きてしまったら、会社にとってもドライバーにとっても大きな損害となります。そういう事態を未然に防ぐ取り組みをするのが、運行管理者となります。
- 運行計画の立案:車両の運行スケジュールやルートを決定し、効率的で安全な運行を計画する
- 運行状況の監視:運転手が安全に運行できるよう、運行中の監視を行い、必要に応じてサポートや指示を出す
- 安全管理:運転手への教育や研修を実施し、交通事故やトラブルを防ぐための安全対策を講じる
- 法令遵守の確認:運行に関する法令(改善基準告示に基づく運転時間や休憩時間、拘束時間の徹底、車両の整備状態など)を遵守しているかを確認し、違反がないよう管理する
- 事故やトラブルへの対応:万が一の事故やトラブル発生時には、適切に対応し、再発防止策を講じる
運行管理者は、運送業の安全と効率を保つために欠かせない役割を果たしており、国家資格が必要とされます。
運行管理者になる方法①:試験合格ルート
1つ目は、公益財団法人運行管理者試験センターが実施する国家試験に合格することです。
受験資格
試験を受けるには、以下のいずれかの条件を満たしている必要があります。
- 事業用自動車の運行管理に関する実務経験が1年以上を積む
- 国土交通大臣認定の講習実施機関が行う基礎講習を修了していること(実務経験ゼロでも受験可能)
つまり、実務経験がなくても基礎講習を修了すれば、すぐに試験受験が可能です。
試験概要と出題内容
運行管理者試験は年2回、パソコンを使用して指定期間内に受験する「CBT方式」で実施されます。
- 試験実施形式:CBT方式(指定期間内にパソコンで受験)、年2回実施
- 出題範囲:「貨物自動車運送事業法」「道路交通法」「労働基準法(改善基準告示含む)」など
- 合格率:30~40%程度(合格ラインは正答率6割以上、各科目ごとの足切りなし)
- 試験時間と問題数:90分間で、複数選択肢問題が出題される
合格すれば、運行管理者としての資格が与えられます。
試験不合格時のスケジュール影響
ただし、1度試験が不合格になってしまうと、次回の試験期間まで半年近く待つことになるため、開業など予定したスケジュールが遅れる恐れもあります。十分に事前準備をして試験に臨むことが重要です。
合格後の資格者証交付申請
試験に合格しても「運行管理者資格者証交付申請」をしなければ、合格自体が無効となってしまいます。
合格通知が届いたら必ず3ヶ月以内に手続きを行ってください。この手続きを忘れると、合格が活かされませんので注意が必要です。
合格後の3ヶ月以内申請は絶対に必須
運行管理者試験に合格しても、資格者証の交付申請を忘れると資格が無効になります。合格通知を受け取ったら、すぐに申請手続きを進めましょう。
※申請手続きについてご不明な点があればお気軽にご相談ください。
運行管理者になる方法②:無試験取得ルート
2つ目は基準を満たして無試験で運行管理者になる方法ですが、これには一定期間の実務経験と講習受講が必須です。
無試験取得の要件
- 運行管理の補助業務(運行管理補助者)としての実務経験が5年以上あること。
- かつ、その5年間の実務経験の期間内に、国土交通大臣の認定する「基礎講習」を1回以上、および「一般講習」を4回以上(計5回以上)受講していること。
上記の要件を満たせば、試験を受けなくても運行管理者になれます。
無試験取得時の重要な注意点
ただし、以下の点に注意が必要です。
- 基礎講習を修了する前の実務経験はカウントされない
- 基礎講習修了後に5年間の実務経験を積む必要がある
- 基礎講習を受けた直後に5年以上の経験があっても、無試験申請はできない
つまり、基礎講習修了時点から数えて、正確に5年間の実務経験が必要ということです。
無試験取得が可能なケース例
具体的な例で説明します。
パターン①:5回の講習を開業初期に早めに受けた場合
- 2025年3月:基礎講習を1回受講
- 2025年4月~2027年12月:一般講習を4回受講(計5回達成)
- 2025年4月~2030年4月:5年以上の実務経験を積む
- 2030年5月:無試験で資格取得可能
パターン①のように、5回の講習を独立初期の段階で早めに終えても問題ありません。基礎講習から5年が経過すれば資格取得できます。
パターン②:5回の講習を後半にまとめて受けた場合
- 2025年3月:基礎講習を1回受講(ここから実務経験カウント開始)
- 2025年4月~2028年まで:実務経験を淡々と積む(講習は未受講)
- 2029年1月~2030年4月:実務終盤に一般講習を4回集中的に受講(計5回達成)
- 2030年5月:無試験で資格取得可能
パターン②のように、実務経験5年の期間内であれば、後半に一般講習をまとめて受講しても問題ありません。
無試験取得の結論
- 講習を受けるタイミングは自由。ただし、最初の基礎講習修了から数えて、実務経験5年の期間内に残りの一般講習4回を受講する必要がある。
- 5年間の実務経験をクリアするタイムライン内にすべての講習が収まっていればOK!
無試験取得は時間がかかるが確実なルート
無試験取得は最低5年以上の期間が必要ですが、試験不合格のリスクがなく確実にスキルを積みながら資格を取得できます。長期計画で運送業を展開する場合は検討の価値があります。
※開業計画の中で最適なルートをご提案いたします。
試験ルートと無試験ルート:どちらが良いか?
どちらかと言えば「試験に合格する方法」をおすすめします。
なぜなら「無試験で取得する方法」は、少なくとも5年以上の時間がかかってしまうからです。
「試験に合格する方法」は、仕事をしながら国家試験の勉強をする大変さはあるものの、自分の努力次第で、無試験ルートよりも短期間で資格を取得することが可能です。
開業予定が近い場合や、スピード重視なら試験合格ルートを選択し、余裕を持った長期計画で実務を積み上げる場合は無試験ルートという選択肢もあります。
欠格事由に該当すると運行管理者になれない
地方運輸局長による解任命令を受けて解任された日から2年を経過していない場合、欠格事由に該当するため運行管理者に選任されることは不可となります。
まず、このルールに該当しないことを確認しましょう。
運行管理補助者になるための要件
「運行管理補助者」は、24時間稼働する営業所などで、運行管理者の公休時や夜間・早朝の点呼をバックアップし、運送業の運行管理業務をサポートする非常に重要な立場です。
運行管理補助者は無資格ではない
ここで実務上、最も注意しなければならないのは、運行管理補助者は「誰でもなれる無資格のポスト」では決してないという点です。無資格の従業員に点呼を行わせた場合、いわゆる『闇点呼』として運輸局から一発で営業所の事業停止処分などの非常に重い行政処分を科されます。
運行管理補助者として正式に選任されるためには、次のいずれかの法的な要件を満たしている必要があります。
- すでに「運行管理者資格者証」の交付を受けている有資格者であること
- または、国土交通大臣が認定する講習実施機関において、3日間の「基礎講習」を事前に修了していること
- 一定の年齢制限:運行管理補助者として選任され実務を行うためには、通常18歳以上であることが求められます。
運行管理補助者の業務範囲
運行管理補助者は、運行管理者の直接の指導・監督のもとで業務を行います。補助者に任せられる実務の範囲は、総点呼回数の「3分の2未満」までの点呼実施(対面点呼やIT点呼)や日報の整理などに限定されており、運行の最終的な可否判断や乗務割の確定といった根幹業務は補助者の独断で行うことはできません。
補助者選任時の届出義務
実際に補助者を選任して業務を任せる場合は、社内の「運行管理規程」に補助者の職務内容や選任方法などを明記し、地方運輸支局長へ選任届(資格を証明する基礎講習修了証等の写しを添付)を提出しておく義務があります。
運行管理者だけで、24時間365日稼働している営業所の点呼をすべてこなすのは現実的に無理があるため、有資格者、または基礎講習を修了した補助者を正しく育成・配置することが営業所のクリーンな運営には不可欠です。
補助者の適切な選任と管理が営業所の信頼を左右
闇点呼は重大な違反として処分されます。補助者の選任届けや基礎講習の完了確認、運行管理規程の整備など、実務的なポイントをご理解のうえ、安心できる体制を整えましょう。
※補助者選任届出などの手続きについてもご支援いたします。
まとめ
運行管理者は、実務経験と知識の両方があって初めて務めることが出来る、非常に責任の重い仕事です。
運行管理者になるまでの道のりは簡単ではありません。時間も労力もかかりますので、資格を取ろうと決めたら出来るだけ早く動き出し、コツコツと計画的に努力を続けることが大切です。
試験合格ルート(最短:数ヶ月~1年)と無試験ルート(最短:5年以上)の2つの道がありますが、開業予定時期や現在の状況に応じて、最適なルートを選択することをお勧めします。
運行管理者取得についてはお気軽にご相談ください
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参考文献
この記事の作成にあたり、以下のサイト・資料を参考にさせていただきました。
- 公益財団法人運行管理者試験センター — 運行管理者試験の実施要領、合格発表、資格取得手続き等
- 国土交通省(運行管理者関連ページ) — 運行管理者の法的要件、定期講習制度、選任基準
- 長野県トラック協会(運行管理者解説資料) — 運行管理者の職務内容、業務範囲、講習制度
- Wikipedia(運行管理者) — 運行管理者の基本情報、歴史、制度概要
- 国土交通省(道路運送法関連資料) — 貨物自動車運送事業法、運行管理基準告示

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