営業倉庫の種類

倉庫業

倉庫業とは?種類・要件・必要か不要かまでザックリ解説

行政書士法人シフトアップ 代表社員 川合智

川合 智

運送業許可など自動車系許認可の専門行政書士法人です。運送業、貸切バス、介護タクシー、産廃収集運搬などの許可をメインとしています。組織力でお客様の課題解決に当り、北海道から沖縄まで全国からご依頼いただいております。
【保有資格】行政書士【商工会議所】名古屋商工会議所【著書】 トラック運送業の運輸局監査対策行政書士のための運送業許可申請のはじめ方

物流の要である倉庫業登録は、運送業と倉庫業を組み合わせた事業展開を進める物流企業の間で増えています。また、倉庫業登録をしたいという一般貨物自動車運送業者は昨今を問わず多くいます。

そこでこの記事では、
・倉庫業とはなにか?
・倉庫業登録が必要な倉庫、不要な倉庫
・倉庫業を始めるには
・8種類の倉庫
などについて、専門の運送業系許可のプロ事務所所属の行政書士が分かりやすく解説いたします。

倉庫業を始めたいがどうしたらいいか分からない、または迷っているという方は是非ご参考にしてください。

 

そもそも倉庫業とはなに?

倉庫業とは簡単に言うと、「預かった物品を倉庫に保管してお金をもらう事業」のことです。詳しくは、倉庫業法で下記のように定められています。

「倉庫業」とは、寄託を受けた物品の倉庫における保管(保護預りその他の他の営業に付随して行われる保管又は携帯品の一時預りその他の比較的短期間に限り行われる保管であって、保管する物品の種類、保管の態様、保管期間等からみて第六条第一項第四号の基準に適合する施設又は設備を有する倉庫において行うことが必要でないと認められるものとして政令で定めるものを除く。)を行う営業をいう。

具体的には、工業地帯の倉庫に工業製品の原材料などを預かり保管するような場合が代表的な倉庫業です。また、水上に原木を浮かせ保管する木場も倉庫業にあたります。

では、倉庫とはいったい何かと言うと、「物品を保管する施設」のことです。具体的には倉庫業法第2条1項で下記のように定められています。

「倉庫」とは、物品の滅失若しくは損傷を防止するための工作物又は物品の滅失若しくは損傷を防止するための工作を施した土地若しくは水面であって、物品の保管の用に供するものをいう。

倉庫と言われて、皆さんが思い浮かべるであろう建物は、基本的に倉庫だということです。

倉庫業登録が必用な倉庫と不要な倉庫

では、すべての倉庫に倉庫業登録が必要かというと、そうではありません。登録が必要な倉庫と不要な倉庫が存在します。以下でそれぞれの倉庫について具体的に見ていきましょう。

 

倉庫業登録が必要なのは「営業倉庫」

倉庫には、大きく分けると「自家倉庫」と「営業倉庫」の2種類があります。両者の違いは下記のとおりです。

  • 「自家倉庫」とは、倉庫の持ち主や使用者が自分の物品を保管するための倉庫
  • 「営業倉庫」とは、倉庫の持ち主や使用者が他人の物品を保管するための倉庫

2種類の倉庫のうち、倉庫業登録が必要なのは「営業倉庫」、つまり他人の物を保管する目的の倉庫には登録が必要ということです。物流業界でいう「倉庫業」とは、営業所倉庫を指していることになります。

 

登録が不要な倉庫の種類

倉庫業登録の不要な倉庫については下記をご覧ください。

 

倉庫業法に明示されている例外

倉庫業法第2条2項には、政令で定められている下記の業務について例外的に登録が不要であるとしています。

  1. 銀行法その他の法令の規定による保護預り
  2. 特定の物品を製造若しくは加工した後に他人に譲渡する営業又は特定の物品を他人から預かり、当該特定の物品について洗濯、修理その他の役務(保管を除く。)を提供する営業を営む者が、当該営業の後に当該営業に付随して自ら行う当該特定の物品の保管
  3. 手荷物、衣類その他の人が通常外出時に携帯する範囲内の物品の保管であって、当該人の外出中にその携帯を解いて寄託が行われるもの
  4. 他人の使用する自転車、自動車その他これらに準ずる物品の保管

具体的な例を挙げると、倉庫業登録の不要な倉庫は以下のようなものです。

  1. 銀行の貸金庫
  2. クリーニング等の一時保管
  3. コインロッカー
  4. 駐車場、駐輪場

 

その他の非該当事例

上記以外にも「営業倉庫」に該当しない倉庫、つまりレンタル収納スペースなどの「他人の物品を預かるのではなくスペースを貸す」倉庫は倉庫業登録不要です。また、不動産賃貸借の場合も登録は不要となります。

倉庫業をはじめるには

倉庫業を始めるには法令で定められた数多くの厳格な要件をクリアする必要があります。その要件についてザックリ解説していきますので、倉庫業登録を取りたいという方は以下もご覧ください。

 

倉庫業登録の要件をざっくり解説

倉庫業登録は、大きく分けて以下の3つの要件すべてをクリアする必要があります。

  1. 欠格要件に該当しないこと
  2. 施設の設備基準をクリアしていること
  3. 倉庫管理主任者がいること

以下でそれぞれの要件についてもう少し具体的に見ていきましょう。

 

①申請者が欠格事由に該当しないこと

倉庫業法では、以下に該当する申請者(法人である場合はその役員)は「欠格事由」に該当するため、倉庫業登録できないとしています。具体的には下記のように定められています。

  1. 申請者が一年以上の懲役又は禁固の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者であるとき。
  2. 申請者が第二十一条の規定による登録の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者であるとき。

簡単にいうと、懲役刑に課されるほど、悪質な行為を行った者については、倉庫業を取る資格がないということです。

 

②施設の設備基準をクリアしていること

倉庫は種類ごとに定められている設備基準と、都市計画法・建築基準法など各種法令に抵触していないことが要件となります。

設備基準は倉庫の種類ごとに異なりますが、例えば1類倉庫では以下の基準を満たす必要があります

  • 施設の使用権原
  • 関係法令の適合性
  • 土地定着性等
  • 外壁・床の強度
  • 防水性能
  • 防湿性能
  • 耐熱性能
  • 耐火性能
  • 災害防止措置
  • 防火区画
  • 消火設備
  • 防犯措置
  • 防鼠措置

また、都市計画法の定める地域のうち、市街化区域における準住居地域を除く住居地域、開発行為の許可が取れない市街化調整区域には営業倉庫を置くことができません。

更に、建築基準法における完了検査済証のない建物は建築基準法違反となるため、倉庫業登録は認められていません。

 

③倉庫管理主任者がいること

原則的に、1つの倉庫につき1人の「倉庫管理主任者」が要件となります。倉庫主任者となるためには、下記の条件のうちいずれか一つを満たす必用があります。

  1. 倉庫管理の業務に関して2年以上の指導監督的実務経験を有する
  2. 倉庫管理の業務に関して3年以上の実務経験を有する
  3. 国土交通大臣の定める倉庫管理に関する講習を修了している
  4. 国土交通大臣が1から3までに掲げる者と同等以上の知識及び能力を有すると認めること

ただし、上記の条件を満たしていても、欠格事由がある者は倉庫管理主任者にはなれませんので注意して下さい。

 

倉庫業登録しないと罰則もある

倉庫業登録をしないで倉庫業の営業をすると、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはこれらの併科が科せられてしまいます。よく無許可営業所をしている倉庫の話を聞きますが、第3者からの通報などあれば、罰則が適用されるので注意しましょう。

8種類の倉庫とは?

倉庫は保管する物品によって8種類に分けられます。以下でそれぞれ簡単にご説明いたします。

 

①|1類倉庫

危険物と冷蔵・冷凍品を除いた全ての貨物を保管可能な倉庫です。

 

②|2類倉庫

防火性能を有しない倉庫です。でん粉、塩、肥料、セメントなどが保管可能とされています。

 

③|3類倉庫

防火・防水・防湿・遮熱・防鼠性能を有しない倉庫です。陶磁器、鉄材などが保管可能とされています。

 

④|野積倉庫

土地等を塀、柵、鉄条網等で囲んだ倉庫で、土石やレンガを野積みの状態で保管可能です。

 

⑤|水面倉庫

水面で原木を保管するための倉庫です。

 

⑥|貯蔵倉庫

タンクやサイロにより穀物等を保管する倉庫です。

 

⑦|危険品倉庫

高圧ガスなどの危険品を保管する倉庫です。

 

⑧|冷蔵倉庫

生鮮品や凍結品など10℃以下で保管する必要のある物品を保管する倉庫です。

 

まとめ

倉庫業について、登録が必用なケースと不要なケース、倉庫業の要件と倉庫の書類などについて解説しました。倉庫業登録が必用と知りながらも無登録で営業を行っているケースもみられます。無登録営業を行って、罰則が適用されると、一定期間は倉庫業登録ができませんので十分注意しましょう。

倉庫業登録についてもっと詳しく知りたい、倉庫業を始めたいという方は「行政書士法人シフトアップ」までお気軽にご相談ください。

 

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