2024年5月、国土交通省は、自動車運送事業における乗務前自動点呼の先行実施を行うことを発表しました。
乗務前自動点呼とは、本来は運行管理者が対面で行う乗務前の点呼を、ロボットなどの点呼支援機器が代わりに実施するというものです。
これによって、点呼の分析や改善の簡素化、運行管理者の負担を大幅に軽減する効果が期待されています。
本記事では、乗務前自動点呼の先行実施について詳しく解説します。
乗務後自動点呼との違いや要件も取り上げるので、ぜひ参考にしてください。
乗務前自動点呼の先行実施が開始!
2024年5月、国土交通省は、自動車運送事業における乗務前自動点呼の先行実施を開始することを発表しました。
トラックやタクシー、バスを含む自動車運送事業では、貨物や旅客を安全に輸送するために、営業所に運行管理者を設置し、ドライバーに対して乗務前後の点呼や運行中の指示を行うことが求められています。
従来は、運行管理者による対面での点呼が当たり前となっていましたが、近年、ICT(情報通信技術)を活用した運行管理の高度化による取り組みとして、安全性・労働生産性の向上を実現するために、自動点呼の検討が進められました。
その結果、2023年4月、対面点呼と同等の効果があるとして、国土交通省が定めた要件を満たし、かつ運輸支局への届け出を行った営業所に限り、乗務後の自動点呼が認められました。
乗務前の自動点呼については、制度化に向けて2023年度から実証実験が進められていましたが、より多くの事業者による実証を進めるため、2024年5月から先行実施事業が行われることになったのです。

自動点呼とは?
自動点呼とは、本来は運行管理者が対面で行う乗務前後の点呼を、ロボットなどの点呼支援機器が代わりに実施することです。
従来の対面による点呼と異なり、支援機器が自動でデータを収集・記録するため、確実性や信頼性の向上に繋がります。
また、人手を必要としないため、運行管理者の負担を軽減し、長時間労働の是正も期待できます。
自動点呼には、「乗務前」と「乗務後」の2種類があります。
以下でそれぞれの違いを解説します。
乗務前自動点呼
乗務前自動点呼とは、乗務を開始する前に、点呼支援機器が点呼における確認や指示の一部またはすべてを代行することを指します。
具体的には、ドライバーの健康状態や酒気帯びの有無、乗務を行うために必要なもの等を確認します。
2024年10月時点、乗務前の自動点呼は未だ認められていませんが、制度化に向けて、2023年からは実証実験、2024年5月からは先行実施事業が行われています。
健康状態や酒気帯びの有無、指示の伝達等は、ロボットには対応が難しい部分もありますが、乗務前自動点呼が実現すれば、運行管理者の業務負担を大幅に減らすことができるでしょう。
乗務後自動点呼
乗務後自動点呼とは、乗務終了後に点呼支援機器が、ドライバーの運行状況の確認や酒気帯びの有無、次回の運行予定等の確認の一部またはすべてを代行することを指します。
乗務後に関しては、点呼支援機器による実施要件や機器の認定制度が設けられ、2023年4月から自動点呼が可能になりました。
ただし、導入されたとはいえ、完全な自動化には至っていません。
運行管理者が直接点呼に立ち会う必要はないものの、緊急時には迅速に対応できる体制を構築することが求められています。
乗務前自動点呼の要件
乗務前自動点呼の先行実施に参加する運送事業者は、以下3つの要件を満たしたうえで、申請を行う必要があります。
- 業務前自動点呼機器の要件
- 業務前自動点呼機器を設ける施設の要件
- 業務前自動点呼の社内体制に関する要件
順番に見ていきましょう。
業務前自動点呼機器の要件
乗務前自動点呼に使用する機器は、各ドライバーの業務前自動点呼の実施予定および点呼責任者となる運行管理者の氏名を入力でき、自動点呼の実施状況や実施結果を確認できる機能を有していなければなりません。
また、生体認証符号等によってドライバーを適切に識別できる機能も有している必要があります。
加えて、アルコール検知器による測定でアルコールが検知された場合には、直ちに運行管理者に通知がいくかどうかも重要な要件となっています。
業務前自動点呼機器を設ける施設の要件
乗務前自動点呼を行う際は、施設が以下の要件を満たしている必要があります。
- なりすましや不正使用を防ぐため、乗務前自動点呼を受けるドライバーの全身を点呼実施時に確認できる場所であること
- 通信環境が十分に確保されていること
業務前自動点呼の社内体制に関する要件
社内体制を整備することも、乗務前自動点呼を行ううえで重要な要件の一つです。
具体的には、運送事業者は、業務前自動点呼の運用事項について、あらかじめ運行管理規程に明記するとともに、運行管理者やドライバー、その他の関係者に周知する必要があります。
また、業務前自動点呼機器の使用方法や故障時の対応について、適切な教育や指導を行わなければなりません。
さらに、乗務前自動点呼が所定の場所以外で実施されることを防ぐため、決められた場所から機器が持ち出されないように、適切な措置を講じる必要があります。

業務前自動点呼の先行実施の申請方法
乗務前自動点呼を先行実施する運送事業者は、以下の必要書類を用意した上で、スタートする14日前までに国土交通省委託事業事務局にメール添付で提出する必要があります。
- 参加申請書
- 点呼機器の要件に係る適合確認・宣誓書
- 点呼機器を設置する施設・社内体制の要件に係る適合確認・宣誓書
申請書類の記載内容を確認するために、必要に応じて国土交通省による現地調査が行われる場合があるため、求められた場合には誠実に対応しましょう。
なお、申請の受付期限は2024年12月末までとなっています。
まとめ
乗務前自動点呼は未だ認められていませんが、制度化に向けて、2024年5月から先行実施事業が開始されました。
健康状態や酒気帯びの有無、指示の伝達等は、ロボットには対応が難しい部分も多くありますが、乗務前自動点呼が実現すれば、運行管理者の業務負担を大幅に減らすことができるでしょう。
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