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実運送体制管理簿の作成が2025年4月から義務化!施行の背景や運用手順を解説

実運送体制管理簿
行政書士法人シフトアップ 代表社員 川合智

川合 智

12年間の運送会社勤務経験を持ち、累計相談数は10,000件以上。運行管理者・配車・総務経理など運送事業の現場を知り尽くした圧倒的な業務ノウハウを基に運送業、貸切バス、介護タクシー、産廃収集運搬などの許認可をメインに日本全国対応で力強くサポート。
【保有資格】行政書士【商工会議所】名古屋商工会議所【著書】 トラック運送業の運輸局監査対策行政書士のための運送業許可申請のはじめ方

2025年4月より、運送業界において「実運送体制管理簿」の作成義務化がスタートしました。

これは、元請け事業者が、実運送事業者を正確に把握するために必要な書類です。
運送業界で問題となっている多重下請け構造を是正する目的で、この度義務化されました。

本記事では、「実運送体制管理簿」について詳しく解説します。
義務化の背景や対象となる事業者や取引、運用手順まで取り上げるので、ぜひ参考にしてください。

実運送体制管理簿とは

実運送体制管理簿は、運送業界における多重下請け構造の可視化を目的として、2025年4月から作成が義務付けられた書類です。

元請け事業者が、貨物の運送を他の運送会社に委託する場合は、運送ごとに「実運送体制管理簿」を作成する必要があります。

なお、実運送体制管理簿には以下の項目を記載し、運送が完了した日から1年間保存しなければなりません。

  • 実際に運送を行う事業者の商号または名称
  • 貨物の内容
  • 運送区間
  • 下請けの階層
  • その他、国土交通省令で定められた事項

管理簿の作成義務化により、荷主や元請け事業者が「実際に誰が貨物を運んでいるのか」を把握しやすくなり、運送事業者が適正な運賃を得やすくなることが期待されています。

 

実運送体制管理簿の作成が義務化された背景

実運送体制管理簿の作成が義務付けられた背景には、運送業界の「多重下請け構造」があります。

運送業界では、元請け事業者が受けた仕事を、1次、2次、さらには3次以降の下請け事業者へと再委託する「多重下請け構造」が一般化しています。

その結果、実際に荷物を運ぶ「実運送事業者」が誰なのかが分かりづらくなり、現場の実態が見えなくなるという問題が生じています。

このような構造は、運賃の不透明化や中抜きの温床となるほか、下請け業者に過剰な負担が集中することで、ドライバーの過重労働を招くきっかけにもなり得ます。

実運送体制管理簿の導入は、こうした運送業界特有の構造問題を是正し、誰がどのような条件で運送を担っているのかを明確にすることで、適正運賃の確保や労働環境の改善、安全対策の強化につなげることを目的としているのです。

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実運送体制管理簿の作成が必要になる事業者

実運送体制管理簿の作成義務があるのは、荷主から直接運送の依頼を受けた「元請けの貨物自動車運送事業者」です。

この元請けが、実運送を自社では行わず、下請けや孫請けといった他の運送事業者に委託する場合に、実運送体制管理簿の作成が求められます。

ここで注意すべきなのは、「元請け」とされるのは、あくまでも貨物自動車運送事業者に限られるという点です。

たとえ荷主から直接依頼を受けていても、元請けが貨物利用運送事業者(実運送を行わない仲介業者)にあたる場合は、義務化の対象には含まれません。

 

実運送体制管理簿の作成が必要になる取引

実運送体制管理簿の作成が必要となるのは、荷主から引き受けた貨物のうち、1回あたりの重量が1.5t以上であり、かつその運送を下請け事業者に依頼する場合です。

1.5t以上かどうかの判断は、荷主から貨物を引き受けた時点で行います。

ただし、運送を引き受ける時点で、元請け事業者から実運送事業者までの委託関係が明らかな場合は、運送ごとに毎回管理簿を作成する必要はなく、1回の作成で対応可能です。

なお、下請け事業者に依頼せず、引き受けた貨物を自社で運ぶ場合は、たとえ重量が1.5tを超えていても、実運送体制管理簿の作成義務はありません。

 

実運送体制管理簿の運用フロー

ここからは、実運送体制管理簿の運用フローについて解説します。

実運送体制管理簿の運用フロー

出典:国土交通省「実運送体制管理簿の作成・情報通知の義務化

  1. 元請けから下請けへ下請情報を通知
  2. 実運送事業者から元請けへ事業者情報を通知
  3. 元請けが管理簿を作成・保管

 

①元請けから下請けへ下請情報を通知

元請け事業者は、運送を委託する下請け事業者に対して、以下の情報を通知します。

  • 元請け事業者の連絡先
  • 荷主の名称
  • 委託先の下請次数

また、一次請け以降の下請け事業者も、それぞれ次の下請け先に対して、同様の情報を引き継いで通知しなければなりません。

 

②実運送事業者から元請けへ事業者情報を通知

次に、実際に運送を行う実運送事業者が、元請け事業者に対して、自社の情報を通知します。

  • 実運送事業者の名称または商号
  • 運送区間
  • 貨物の内容
  • 請負次数

これにより元請け事業者は、最終的な運送担当者を把握できます。

 

③元請けが管理簿を作成・保管

元請け事業者は、上記の情報をもとに「実運送体制管理簿」を作成します。

なお、実運送体制管理簿は、貨物の運送が完了した日から1年間、もしくは当該契約が満了する日のいずれか長い期間のうち保管しなければなりません。

 

実運送体制管理簿を作成しなかった場合の罰則は?

現時点では、実運送体制管理簿を作成しなかったことに対する明確な罰則は設けられていません。

しかし、作成義務に違反したり、内容に不備があった場合には、貨物自動車運送事業法に基づく違反とみなされる可能性があります。

その結果、改善命令や勧告といった行政処分を受けることがあるため、制度の趣旨を理解し、適切に対応することが重要です。

 

まとめ

2025年4月から義務化された「実運送体制管理簿」は、運送業界の多重下請け構造を可視化するための重要な制度です。

義務化に対応するためには、日頃から下請け情報を正確に管理し、スムーズな情報共有体制を整えておくことがカギとなります。

もし、書類作成や運用方法に不安がある場合は、物流分野に詳しい行政書士に相談するのも有効な手段です。

行政書士法人シフトアップでは、実運送体制管理簿の作成や運用に関するご相談を受け付けています。「事務作業が苦手」、「制度の内容がよく分からず不安」という方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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