- 倉庫業は寄託を受けた他人の物品を倉庫で保管し対価を得る営業です。倉庫業法は登録制(許可制ではありません)。自社商品のみを保管する自家倉庫や、運送契約に基づく運送途中の仮置き・荷捌きは原則登録不要です。
- 登録要件は欠格事由への非該当・使用権原・施設設備基準への適合(建築・消防関係法令含む)・倉庫管理主任者の配置・倉庫寄託約款の設定が必要です。
- Web公表義務:料金等のWeb掲載義務は2024年4月1日から開始(2026年4月施行の新標準約款とは別)。常時使用従業員20人以下、または自社Webサイト未保有の場合は適用除外。
他人の物品を倉庫で保管する事業を行う場合、事業の内容によっては倉庫業法に基づく倉庫業の登録が必要です。倉庫業は「許可制」ではなく「登録制」であり、国土交通大臣の登録を受けたうえで営業を開始します。
ただし、単に他人の物品を預かったり、保管料という名目で料金を受け取ったりすれば、必ず倉庫業に該当するわけではありません。倉庫業法上の登録が必要かどうかは、寄託契約の有無、保管責任の所在、契約内容、実際の業務形態などから判断します。また、倉庫業の登録には、倉庫の施設設備基準、使用権原、建築・消防関係法令への適合、倉庫管理主任者の配置など複数の要件があります。
2026年4月1日からは新しい標準倉庫寄託約款が施行されていますが、料金等のWeb掲載義務はこれとは別の制度改正で、2024年4月1日から原則義務化されています。この記事では、2026年現在の倉庫業登録の要件、登録が不要なケース、施設設備基準、倉庫管理主任者、登録免許税、料金等のWeb公表義務、登録後の定期報告について解説します。
※倉庫の種類や保管する物品、建物の構造、地域によって必要な確認事項は異なります。実際に登録申請を行う際は、管轄する地方運輸局・運輸支局等の最新資料を確認してください。
倉庫業とは?
倉庫業法上の倉庫業とは、原則として、寄託を受けた物品を倉庫で保管する営業をいいます。典型的には、荷主や取引先から商品・原材料・製品等を預かり、保管責任を負ったうえで保管料等の対価を受け取る事業です。
倉庫業登録の要否は、料金の名称だけでは判断できません。請求書に「保管料」と記載されていなくても、実態として他人の物品について寄託を受け、継続的に保管責任を負い、保管について実質的な対価を受け取っている場合は倉庫業に該当する可能性があります。
一方、倉庫スペースそのものを貸す不動産賃貸や、運送契約に基づく一時的な仮置きなどは、倉庫業に該当しない場合があります。
倉庫業の登録が必要になるケース
倉庫業登録が必要かどうかを判断する際は、次の事項を確認します。
- 他人の物品を預かっているか
- 寄託契約に基づいて保管しているか
- 事業者が物品の保管責任を負っているか
- 継続的・反復的に保管事業を行っているか
- 保管について実質的な対価を受け取っているか
他社の商品を継続的に預かる場合
荷主や取引先から商品、原材料、製品等の寄託を受け、倉庫内で継続的に保管し、その保管について対価を受け取る場合は、倉庫業に該当する可能性が高くなります。例えば、次のようなケースです。
- EC事業者の商品を保管する
- メーカーの商品・原材料を預かる
- 卸売会社の商品在庫を保管する
- 他社の製品を物流センターで保管する
自社の商品だけを保管する場合は原則登録不要
自社が所有する商品・原材料・製品などを、自社の倉庫で保管するだけであれば、通常は「自家倉庫」となり、倉庫業登録の対象にはなりません。自社と自社の間に寄託契約が成立しないためです。
グループ会社の商品を保管する場合
親会社・子会社・関連会社であっても、それぞれ法律上は別法人です。別法人であるグループ会社の商品を預かって保管する場合は、単純に「同じグループだから自家倉庫」と判断することはできません。次の事項を確認してください。
- 物品の所有者・保管を依頼する法人・保管責任を負う法人
- 契約内容・保管について対価を受け取っているか
運送途中の仮置き・荷捌きは原則として倉庫業登録の対象外
運送契約に基づき、貨物を目的地まで運送する途中で一時的に仮置きしたり、積み替え・仕分け等の荷捌きを行ったりする場合は、原則として倉庫業法上の「寄託」に該当せず、倉庫業登録の対象外となります。ただし、運送とは別に保管契約を締結し、一定期間継続して物品を預かり、保管責任を負う場合などは、倉庫業に該当する可能性があります。「配送前の一時保管」という名称だけで判断せず、実際の契約・保管期間・責任関係を確認してください。
倉庫業の登録要件
倉庫業の登録を受けるには、主に次の事項を確認する必要があります。
- 申請者が欠格事由に該当しないこと
- 倉庫について適切な使用権原があること
- 倉庫の種類に応じた施設設備基準を満たすこと
- 建築基準法・消防法等の関係法令に適合していること
- 倉庫管理主任者を適切に配置すること
- 倉庫寄託約款を定めること
倉庫の施設設備基準
倉庫業の登録では、使用する建物が単に「物を置ける建物」であればよいわけではありません。
保管する物品や倉庫の種類に応じて、倉庫業法令で定める施設設備基準に適合する必要があります。
倉庫の種類によって基準が異なる
営業倉庫には、1類倉庫、2類倉庫、3類倉庫、野積倉庫、貯蔵槽倉庫、危険品倉庫、冷蔵倉庫などの区分があります。
どの種類の倉庫として登録するかによって、保管できる物品や必要な設備・構造が異なります。
1類倉庫で確認される主な事項
一般的な普通倉庫として利用される1類倉庫では、例えば次のような事項を確認します。
- 倉庫として使用する建物・土地の使用権原
- 建築基準法等への適合・倉庫の構造・強度
- 床・外壁等の防水性・必要な防湿措置
- 必要な防火・消火設備
- 防犯措置・防鼠措置
具体的な基準は倉庫の種類・構造・保管物品によって異なるため、国土交通省の施設設備基準チェックリストで個別に確認します。
既存建物を営業倉庫へ転用する場合は、確認済証・検査済証・建築確認関係図書・建物図面・用途変更等の手続き状況を事前に確認してください。物件を契約した後に営業倉庫として使用できないことが判明しないよう、賃貸借契約や購入契約の前に建築関係資料を確認することが重要です。
倉庫管理主任者の要件
倉庫業者は倉庫の適正な管理を行うため、倉庫管理主任者を選任する必要があります。
倉庫管理主任者は原則として1棟ごとに配置する
倉庫管理主任者は、原則として倉庫1棟ごとに配置します。
ただし、主任者が直接管理・監督できる場合など、一定の条件を満たす場合には、合計有効面積1万㎡以内の複数の倉庫を1名の倉庫管理主任者が担当できる場合があります。
野積倉庫、危険品倉庫、貯蔵槽倉庫、冷蔵倉庫などについては、倉庫管理主任者の配置を判断する際に、倉庫の種類ごとに定められた換算率を用いて有効面積・容積を算定する場合があります。複数種類の倉庫を1名の倉庫管理主任者が担当する場合は、単純な床面積の合計だけで1万㎡以下かどうかを判断せず、該当する換算方法を申請前に管轄運輸局へ確認してください。
倉庫管理主任者になるための主な要件
倉庫管理主任者になるためには、主に次のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 倉庫の管理業務について2年以上の指導監督的実務経験を有する者
- 倉庫の管理業務について3年以上の実務経験を有する者
- 国土交通大臣が定める倉庫管理に関する講習を修了した者
- その他、これらと同等以上の知識・能力を有すると認められる者
実務経験とは、単に物流会社や倉庫会社へ勤務していた期間ではなく、実際に営業倉庫における倉庫管理業務へ従事した経験が必要です。自家用倉庫における倉庫管理の経験は、この実務経験には含まれません。実務経験によって倉庫管理主任者の要件を満たす場合は、従事した倉庫の種類、期間、業務内容などを確認できるようにしておきましょう。
倉庫業登録の申請書類
倉庫業の登録申請では、事業者に関する資料だけでなく、倉庫の構造・設備・権利関係などを確認できる資料を提出します。
代表的な書類は次のとおりです。
- 倉庫業登録申請書・倉庫明細書
- 施設設備基準別添付書類チェックリスト
- 倉庫の使用権原を証明する書類
- 確認済証・検査済証等の建築関係資料・消防関係資料
- 平面図・立面図・配置図等
- 倉庫管理主任者関係書類
- 法人登記事項証明書等・欠格事由に該当しない旨の宣誓書
- 倉庫寄託約款
実際に必要となる添付書類は、倉庫の種類、建物、所有・賃貸の別などによって異なります。
倉庫業登録の登録免許税
倉庫業の新規登録では、登録免許税が必要です。
新規登録1件につき9万円の登録免許税を納付します。一般的には、登録通知を受けた後、原則として1か月以内に納付します。なお、行政書士等へ登録申請を依頼する場合は、登録免許税とは別に報酬が発生します。
倉庫寄託約款を定める
営業倉庫では、荷主との寄託契約に適用する倉庫寄託約款を定めます。
国土交通省は標準倉庫寄託約款を公表しており、これを参考に自社の約款を作成することができます。
2026年4月1日から新しい「標準倉庫寄託約款」および「標準冷蔵倉庫寄託約款」が施行されています。2026年以降に標準約款を利用する場合は、旧版ではなく現在施行されている最新版を確認してください。なお、新規登録申請時に設定予定の倉庫寄託約款を申請書へ添付した場合は、別途の倉庫寄託約款の設定届出を省略できる取扱いがあります。
料金等のWeb公表義務は2024年4月から開始
倉庫業者には、料金等について営業所で掲示する義務があります。
さらに、2024年4月1日から、原則として自社Webサイト等へ料金等を掲載することも必要になりました。
料金等のWeb掲載義務は2026年4月1日の標準倉庫寄託約款改正とは別の制度改正です。「2026年の新約款によってWeb掲載義務が始まった」という理解は正しくありません。Web掲載義務の開始は2024年4月1日です。
Web掲載義務には適用除外がある
すべての倉庫業者にWebサイトへの掲載が義務付けられているわけではありません。
次のいずれかに該当する場合は、Web掲載義務の適用除外となります。
- 倉庫業に常時使用する従業員が20人以下である場合
- 倉庫業者自身が管理するWebサイトを保有していない場合
ただし、Web掲載義務の適用除外に該当する場合でも、営業所での掲示等、法令上必要となる対応まで不要になるわけではありません。
登録後に必要となる届出・報告
倉庫業は登録を受ければ手続きが終わるわけではありません。
登録後も、料金、約款、倉庫、役員等の変更や、定期的な事業実績について届出・報告が必要です。
- 料金の設定・変更:設定・変更後30日以内に所定の届出を行う
- 寄託約款の設定・変更:実施予定日の30日前までに届出を行う(新規登録申請時に添付した場合は省略可)
- 役員等の変更:変更内容に応じた届出が必要。管轄する運輸局の案内を確認する
倉庫業者は四半期ごとに定期報告が必要
倉庫業者は4月を起算月とする各四半期ごとに、営業倉庫の使用状況や受寄物の入出庫状況等を報告します。
| 報告書 | 提出期限 |
|---|---|
| 期末倉庫使用状況報告書 | 各四半期終了後30日以内 |
| 受寄物入出庫高及び保管残高報告書 | 各四半期終了後30日以内 |
倉庫で事故が発生した場合
火災、重大な損害等、法令上報告対象となる事故が発生した場合は、必要な速報・届出を行います。
事故届出書については、対象となる事故について事故発生日から2週間以内に提出する取扱いがあります。事故の内容によって必要な対応が異なるため、事故発生時は速やかに管轄運輸局へ確認してください。
2026年からは改正物流効率化法にも注意
2026年4月からは、改正物流効率化法に基づく新たな制度も施行されています。
倉庫業者については、前年度に倉庫へ入庫された貨物の合計重量が70万トン以上の場合、物流効率化法上の「特定倉庫業者」の指定対象となります。特定倉庫業者として指定された場合は、中長期計画の作成・提出や定期報告など、物流効率化に関する対応が必要になります。
これは倉庫業法に基づく倉庫業登録の新たな登録要件ではありません。登録後に一定規模以上の倉庫業者へ適用される別制度として確認する必要があります。大規模な物流施設や複数の営業倉庫を運営する場合は、前年度の貨物保管量を確認し、倉庫業法だけでなく物流効率化法上の適用関係も確認してください。
倉庫業登録までの流れ
| ステップ | 主な内容 |
|---|---|
| ①倉庫業への該当確認 | 予定する業務が倉庫業に該当するか確認する |
| ②事業内容の決定 | 保管する物品と倉庫の種類を決める |
| ③物件調査 | 候補物件が施設設備基準を満たせるか確認する。建築・消防関係資料を確認する |
| ④使用権原の整備 | 倉庫の使用権原を整える |
| ⑤管理体制の確保 | 倉庫管理主任者を確保する |
| ⑥書類作成 | 倉庫寄託約款を作成する。登録申請書・添付書類を作成する |
| ⑦登録申請 | 地方運輸局等へ登録申請する |
| ⑧登録免許税の納付 | 登録通知後、原則として1か月以内に9万円を納付する |
| ⑨業務開始 | 倉庫業務を開始する |
| ⑩料金設定届 | 業務開始後30日以内に料金設定届を提出する |
よくある質問
Q. 自社の商品だけを保管する場合も登録が必要ですか?
原則として必要ありません。
自社所有の商品を自社で保管する自家倉庫は、通常、倉庫業法上の寄託には該当しません。
Q. 他社の商品を無料で預かる場合も登録が必要ですか?
物品を無償で保管し、保管について対価を得ない場合は通常、倉庫業法上の「倉庫業」には該当しません。
ただし、名目上は「保管料」を設定していなくても、物流料金や業務委託料など他の料金に保管の対価が実質的に含まれている場合は、契約・取引の実態を確認する必要があります。
Q. 配送途中に荷物を一時保管するだけでも登録が必要ですか?
運送契約に基づく運送途中の仮置きや荷捌きのための一時的な保管であれば、原則として倉庫業法上の寄託に該当せず登録対象外です。
ただし、運送とは別に保管契約を締結し、継続的に保管責任を負う場合などは倉庫業に該当する可能性があります。
Q. 倉庫管理主任者は倉庫1棟ごとに必要ですか?
原則として1棟ごとに配置します。ただし主任者が直接管理・監督できる場合など、所定の条件を満たせば合計有効面積1万㎡以内の複数倉庫を1名が担当できる場合があります。
野積倉庫・危険品倉庫・貯蔵槽倉庫・冷蔵倉庫などについては、倉庫種類ごとの換算率を用いて有効面積・容積を算定する場合があります。
Q. 倉庫管理主任者になるには資格試験が必要ですか?
必ずしも資格試験へ合格する必要はありません。
2年以上の指導監督的実務経験、3年以上の実務経験、国土交通大臣が定める講習の修了など、法令上定められた要件のいずれかを満たすことで倉庫管理主任者になれる場合があります。ただし、自家用倉庫での管理経験は実務経験に含まれません。
Q. 倉庫業登録にはいくらかかりますか?
新規登録では登録1件につき9万円の登録免許税が必要です。
このほか、物件調査、建築・消防関係資料の取得、図面作成、行政書士等へ依頼する場合の報酬などが発生する場合があります。
Q. 倉庫料金は必ずホームページに掲載する必要がありますか?
2024年4月1日から、原則として自社Webサイト等への掲載が必要です。
ただし、倉庫業に常時使用する従業員が20人以下の場合や、自ら管理するWebサイトを保有していない場合は、Web掲載義務の適用除外となります。
Q. 2026年4月の新約款でWeb掲載が義務化されたのですか?
いいえ。料金等のWeb掲載義務は2024年4月1日から開始されています。
2026年4月1日に施行された標準倉庫寄託約款の改正とは別の制度改正です。
まとめ
倉庫業法上の倉庫業とは、原則として、寄託を受けた他人の物品を倉庫で保管し、その保管について対価を得る営業です。登録要否は単純に請求書上の料金名称だけで決まるものではなく、寄託契約の有無、保管責任、実質的な対価の有無、契約内容、実際の業務形態から判断します。
自社所有物品だけを保管する自家倉庫や、運送契約に基づく運送途中の仮置き・荷捌きなどは、原則として倉庫業登録の対象外です。倉庫業登録では、施設設備基準、建築・消防関係法令、使用権原、倉庫管理主任者、倉庫寄託約款等の要件を確認します。
倉庫管理主任者は原則として1棟ごとに配置しますが、一定の条件を満たす場合には、合計有効面積1万㎡以内の複数倉庫を1名が担当できる場合があります。主任者の資格要件は2年以上の指導監督的実務経験、3年以上の実務経験、所定講習修了のいずれかで、自家用倉庫での経験は含まれません。新規登録では登録1件につき9万円の登録免許税が必要です。
また、料金等のWeb掲載義務は2024年4月1日から施行されています(従業員20人以下等の場合は適用除外)。2026年4月1日からは新しい標準倉庫寄託約款が施行されています。また、前年度の貨物保管量が70万トン以上となる倉庫業者については、改正物流効率化法に基づく特定倉庫業者制度も確認する必要があります。
倉庫業を始める場合は、物件契約後に登録要件を確認するのではなく、候補物件の段階で建築関係資料、施設設備基準、倉庫管理主任者、使用権原等を確認することが重要です。
【参考文献】
- 国土交通省「倉庫業法」
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/butsuryu05100.html - 国土交通省 関東運輸局「倉庫業登録申請の手引き」
https://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/content/000292961.pdf - 国土交通省 四国運輸局「倉庫業法施行規則改正による料金等の掲示方法について」
https://wwwtb.mlit.go.jp/shikoku/bunya/koutsuu/2024-3-00001_02466-3.html - 国土交通省「物流効率化法における特定倉庫業者への対応」
https://www.mlit.go.jp/report/press/tokatsu01_hh_000932.html - e-Gov法令検索「倉庫業法」
https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000121
