過積載の危険性と罰則

コラム

トラックの過積載|2つの危険と罰則

トラック運送業界では、長年にわたる

  • 労働者の減少による人手不足
  • 長時間労働による過労問題

という2つの問題を抱えていますが、それ以外にも「過積載」という大きな問題も抱えています。
近年、罰則が厳しくなったこともあり、以前に比べれば減少傾向にはありますが、中小・零細企業では未だに改善されていないところもあるのが現状です。

今回の記事では、そんな過積載問題に関する「危険性」や、荷主、事業者、運転手が過積載によってそれぞれに科せられる「罰則」などについて詳しく解説していきます。

 

トラックの過積載とは

過積載とは、決められた積載重量を超えて荷物を積み込み、車両を走行させる行為のことを言い、法律違反行為であるため、違反した場合には罰則が科せられます。

過積載が横行する原因には

  • 過当競争による運賃値下がりに対応するための時間・コストの削減
  • 荷主からの無理な要望を断れない

などが挙げられます。

過積載は2017年に厳罰化され、取り締まりも厳しくなったことから、最近では工場から出荷される工業製品などのあらかじめ重量が管理されているものに関しては、過積載はほとんどないと言われています。しかし、重量がわからない産業廃棄物やダンプなどに関しては未だに過積載が頻繁に行われているようです。

産業廃棄物収集運搬事業者の中には、過積載になる日もあるため事業用の緑ナンバーを付けないようにしているという会社もあります。

 

トラックの過積載の2つの危険性

過積載を行うことで以下の2つの危険性が高まります。

  • 交通事故の原因となる
  • 公害の原因となる

それぞれ具体的に解説していきます。

 

危険1|交通事故の原因となる

過積載は、車両に対して無理な負荷をかけている状態であると言えます。
そのため、そのような状態でトラックを運転した場合には以下のようなトラブルが発生し、重大事故を起こす原因となる恐れがあります。

 

制動距離が長くなる

制動距離とは、ブレーキを踏んでから停止するまでの距離のことを言い、重量が重ければ重いほど制動距離は長くなります。
そのため、過積載の状態でトラックを走行させると、本来なら停止するところを大幅に超えてしまうため、重大事故を起こす危険性が高まります。

 

車両のバランスを崩しやすい

過積載は車両のバランスにも影響を及ぼします。バランスを崩すことによって対向車線へのはみ出したり、カーブでの転倒を起こしやすくなるといった危険性があります。

 

下りスピードが出やすくなる

過積載で下り坂を走行すると通常よりもスピードが出やすくなります。
加えて制動距離も長くなるため、急な飛び出しや前方の車が減速した場合に危険を察知してブレーキを踏んだとしても、すぐに停止ができないため追突などの事故を起こしやすくなり非常に危険です。

 

衝撃力が増大する

衝突による衝撃の大きさは質量に比例すると言われています。
そのため、過積載で重量が大きくなった状態で事故を起こすと通常よりも被害が大きくなる恐れがあります。

軽い怪我で済んだような事故が最悪の場合、死者を出すような事故にもなりかねません。

 

ジャックナイフ現象が発生する

ジャックナイフ現象とは、トレーラーが急ブレーキや急ハンドルを切った際に荷台部分が運転席の方向に向かって「く」の字に曲がる現象のことです。
ジャックナイフ現象を起こすと操縦不能となり、周りの歩行者や車、建物などを巻き込む事故につながる恐れもあるため非常に危険です。

 

危険2|公害の原因となる

過積載は事故のほかにも公害の原因にもなると言われており、具体的には以下のような交通公害を引き起こします。

 

排気ガスによる大気汚染

過積載状態での走行は、通常時よりもエンジンや車体への負担が大きくなっている分、排気ガスが大量に排出されます。
排気ガスは、環境はもちろんのこと人体にも悪影響を及ぼします。

 

騒音や路面・車両への悪影響

過積載のトラックを走行させると、騒音や振動が通常走行時に比べて大きくなるため、公害の原因となります。

また、タイヤへの負担が大きいため、摩耗が激しくなったりエンジンへの負担から寿命が短くなったりといった車両へのダメージ、道路や橋などの路面へのダメージにもつながるなどの様々な悪影響を及ぼします。

 

トラックの過積載の罰則は荷主・事業者・運転手にもかかる

過積載の罰則に関しては実際にトラックを運転しているドライバーだけでなく、荷主や事業者にも科せられます。

トラックの過積載

過積載の罰則|荷主に対して

荷主は過積載になることを知りながらドライバーに積載物を売り渡したり、引き渡したりしてはいけません。このような行為を繰り返していると、警察署長から過積載の「再発防止命令」(道路交通法58条の5の第2項)が出されます。

再発防止命令が出された後で過積載をしてしまうと、「6か月以下の懲役または10万円以下の罰金」が科せられます。

 

過積載の罰則|事業者(使用者)に対して

事業者(使用者)がドライバーに対して過積載をさせた場合には、運行管理者の資格取り消し、事業許可の取り消しなどの重い処分が科せられます。

 

過積載の罰則|運転手に対して

ドライバーへの罰則は車両の大きさや超過割合に応じて設定されており、中型・大型トラックの場合だと

  • 超過割合5割未満:違反点数2点、反則金3万円
  • 超過割合5割~10割:違反点数3点、反則金4万円
  • 超過割合10割以上:違反点数6点、反則金なし+罰則(6か月以下の懲役または10万円以下の罰金)

といった反則金や罰則が科せられます。

 

まとめ

過積載での走行は非常に危険なうえに、事故を起こした場合には通常よりも被害が大きくなるため、重大事故へと発展する恐れがあり非常に危険です。
また、責任に関してもドライバーだけでなく荷主や事業者にも及ぶことがあります。

事故を起こして手遅れにならないためにも、過積載の危険性をしっかり理解しつつ、日頃から対策を取りながら安全走行を心掛けることが大切です。

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  • この記事を書いた人
川合智

川合 智

運送業許可のプロ事務所「行政書士法人シフトアップ」の社長★トラック運送会社に12年勤務後に開業。著書【行政書士のための運送業許可申請のはじめ方】★行政書士向けに運送業許可を教える「くるまスクール」主催者

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