トラックに長く安全に乗るためには、日常点検が欠かせません。これからトラックを持つことを検討されているとしたら「点検って具体的に何をするのか」「点検をする時のポイントや注意点はあるのか」くわしく知りたいとお考えではないでしょうか。
この記事では、そんな疑問を分かりやすく解説していますので、参考にしてください。
まずは、「そもそもトラックの日常点検とは?」という基本から解説します。
※記事の最後で日常点検表エクセル版もダウンロードして頂けるようになっています。
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トラックの日常点検とは?
トラックの日常点検は、走行前にトラックをチェックすることでトラブルを防ぎ、安全に走行するために行うものです。その性質から、日常点検は「運行前点検」と呼ばれることもあります。
日常点検は法律でも義務付けられていて、すべてのドライバーが必ず行わなくてはいけません。
ドライバーが行うトラック日常点検主要8項目
一言で点検と言っても、その項目は様々。ここからは、点検項目を8つに分けて解説します。8つもあると聞いて大変そうと思われたかもしれませんが、点検の内容は「タイヤの空気が減っていれば空気を入れる」「車両のボルトに緩みがあれば締め直す」など、そこまで難しいものはありませんので安心してください。それでは、順番に点検項目の詳細を見ていきましょう。
項目1|ブレーキの点検
ブレーキが正常に作動することは、トラックを運転する上で最も重要です。そのため、トラックに乗る前に、毎回チェックしましょう。
ブレーキの点検内容は下記です。
- ブレーキペダルの踏みしろ
- ブレーキの効き
- パーキングブレーキレバーの引きしろ
- エアブレーキの空気圧力計の上がり具合
- 排気音の異音、ブレーキ液の量
項目2|タイヤの点検
タイヤも不具合があると、大事故につながる恐れがあるので、トラックに乗る前に毎回チェックしましょう。
タイヤの点検内容は下記のとおりです。
- タイヤの空気圧
- タイヤの亀裂・損傷および異常な摩耗
- タイヤの溝の深さ
- ディスクホイールの取り付け状態
2021年に追加された冬用タイヤの残り溝点検の義務化
2020年の関越自動車道や北陸自動車道で車両が路上で立ち往生し、自衛隊外出動するなど交通混乱の発生が多発したことを受け、国土交通省は冬用タイヤの残り溝点検を義務化しました。
具体的には、国土交通省通達「貨物自動車運送事業輸送安全規則の解釈と運用について」で下記のように定められています。
- 整備管理者がタイヤの残り溝が冬用タイヤとしての使用限度を超えていないことを確認する。※使用限度を超えていないとは残り溝が50%以上あることを言います。
- 運行管理者は乗務前点呼で上記の確認が行われていることを確認すること。
項目3|バッテリー液量の点検
バッテリーもトラックにとって欠かせないパーツ。バッテリー液は消耗品なので、使い続ければいつかは寿命を迎えます。バッテリー液が足りないとエンジンがかからず走れなくなることもあるため、1ヶ月に数回は見ることをおすすめします。
バッテリーの点検は、液量が十分かチェックすることです。液量が適正範囲内にあるか確認し、不足していればバッテリー液の補充が必要です。
項目4|原動機の点検
原動機(エンジン)は、エネルギーを作るために熱を発します。その熱を冷やす役割を担うのが冷却水です。もし冷却水の量が足りず、原動機が高温のままになると、オーバーヒートやエンジンそのものが故障してしまう恐れがあります。
乗るたびにチェックする項目ではありませんが、定期的な点検が欠かせません。原動機の点検で、特に大切な3つを詳しく解説します。
①冷却水の量
まずは、冷却水の量の確認です。リザーバータンクの水面がMINの目盛り以下だった場合は、クーラント液をMAXの目盛りまで補充しましょう。冷却水は水で代用することもできますが、錆びてしまうことがあるので、専用液を使うことをおすすめします。
冷却水の補充は、通常1年に1回程度ですが、あまりにも減りが早い場合は液漏れしていないかチェックしてください。
②エンジンオイルの量
次は、エンジンオイルの量の確認です。エンジンオイルの点検は、フロント部分で確認できる車種もありますが、ヘッドを上げる必要がある車種も多いので、事前に点検場所を確認しておきましょう。
まず、オイルレベルゲージを引き抜き、付着しているオイルをきれいに拭き取ります。
再びオイルレベルゲージを差し込んでから抜き取り、MIN~MAXの範囲内にオイルが付着しているかを確かめます。MINに足りていない場合は、MAXを越えないようにエンジンオイルを補充しましょう。
③ファンベルトの状態確認
最後にファンベルトの状態確認です。ファンベルトは、伸びてしまったり亀裂が入っていたりといった異常があると、異音がします。キュルキュルといったゴムが擦れるような異音がしたら、すぐに整備に出しましょう。
定期点検では、ファンベルトを押してみて、緩みや張り過ぎがないかを確認します。また、異音がなくても、目視で亀裂などがないかを必ずチェックしましょう。
ちょっとした傷からファンベルトが断裂して、走行中に突然トラックが動かなくなってしまうリスクもあるため、ちょっとした不具合に早く気づくことが大切です。
項目5|方向指示器の点検
方向指示器の点検は、トラックに乗る前に毎回点検しましょう。ランプ類のスイッチをオンにして、点灯・点滅を確認します。フロント部分の前照灯から方向指示器を見ます。
側方の反射版やリアの方向指示器を見ます。最後は、ブレーキペダルを踏み、制動灯や後退灯を確認します。
項目6|ウィンドウォッシャーの点検
ウィンドウォッシャーの点検は、毎回でなくても構いませんが適切な時期に行います。
点検項目は、ウィンドウォッシャーの液量・噴射状況を確認します。液量が足りない場合は、用途に応じて液を補充しましょう。もし、噴射状況がよくない場合は、噴射口の詰まりの解消・ノズルの位置を調整します。
項目7|ワイパーの点検
ワイパーの点検も、適切な時期に行います。点検項目は、ワイパーゴムの劣化・ワイパープレートの錆びの確認です。徐々に摩耗していくものなので、時期を見てゴムの交換などを行いましょう。
項目8|エアタンク内の点検
エアタンク内の点検も、適切な時期に行います。最近のトラックでは、頻繁にチェックしなくても良い車種も増えています。エアタンク内の点検項目は、トラックの下に潜って、エアタンクのコックレバーを引き、噴射に異常がないかを確認します。
日常点検表エクセル版のダウンロード
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まとめ
トラックの日常点検について、具体的に何をすれば良いのか整理できましたでしょうか。トラックの日常点検は法律で義務付けられているものの罰則などはありません。
しかし、違反すると運行停止命令を受けることもありますし、何より走行中の不具合によって事故を起こしてしまうリスクがあります。長く安全にトラックに乗るためには、不具合に早く気づくことが大切ですので、日々の点検を習慣化することをおすすめします。
「行政書士法人シフトアップ」には、日常点検表の作成方法を含めて、監査・巡回指導に関する知識・経験豊富な行政書士が、運行管理に不安を感じるトラック運送事業者様の顧問業務をしています。お気軽にご相談下さい。
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