- 物流顧問とは法令上の資格・制度ではなく、運送業・物流業に関する専門家が事業者に継続的な助言・サポートを行うサービスの総称です。行政書士・社会保険労務士・弁護士等で業務範囲が異なるため、依頼したい業務が専門家の業務範囲に含まれるか確認が必要です。
- 行政書士が対応できる主な業務:一般貨物自動車運送事業等の許認可・変更手続、運行管理・整備管理の帳票確認、巡回指導への事前対策、行政機関への届出・報告書類の作成支援などです。
- 顧問の選定ポイントは運送業に関する支援実績・対応できる業務範囲・保有資格・訪問対応の有無・料金体系を事前に確認してください。利用したからといって法令違反の防止や経営改善が自動的に保証されるわけではありません。
運送業界ではドライバーの高齢化や人手不足への対応に加え、運行管理、帳票管理、労務管理、安全対策など、さまざまな課題への対応が求められています。
また、トラック運送事業では、貨物自動車運送事業法、道路運送車両法、道路交通法、労働基準法、改善基準告示など、多くの法令・基準を確認しながら事業を運営する必要があります。
こうした課題について、社外の専門家から継続的なサポートを受ける方法の一つが「物流顧問」です。ただし、「物流顧問」は法令上定められた資格や制度の名称ではありません。この記事では、物流顧問の主な役割、利用するメリット、選び方、行政書士へ依頼できる業務、料金の目安について解説します。
物流顧問とは?
「物流顧問」とは、法令上定められた資格や制度ではなく、運送業・物流業に関する知識や経験を持つ専門家が、事業者に対して継続的な助言やサポートを行うサービスの一般的な呼称です。実際に提供されるサービス内容は、依頼する専門家によって異なります。例えば、行政書士、社会保険労務士、弁護士、物流コンサルタントなどでは、それぞれ専門分野や法令上対応できる業務範囲が異なります。
物流顧問を選ぶ際は、「物流に詳しいか」だけでなく、依頼したい業務がその専門家の業務範囲に含まれているかを確認することが重要です。
行政書士が物流顧問として対応できる主な業務
行政書士へ物流顧問を依頼する場合は主に運送業許可や行政手続、官公署へ提出する書類、運行管理関係の帳票や管理体制など、行政書士の業務範囲に応じた助言・支援を受けることができます。
例えば次のような業務が考えられます。
- 一般貨物自動車運送事業等の許認可・変更手続に関する支援
- 運行管理・整備管理に関する帳票の確認
- 点呼記録・運転日報等の管理状況の確認
- 適正化事業実施機関による巡回指導への事前対策
- 国による監査を想定した帳票・管理体制の確認
- 行政機関への届出・報告書類の作成支援
- 運送業に関する制度変更の情報提供
なお、労働社会保険に関する手続や個別具体的な労務相談、紛争性のある法律相談・交渉などについては、内容に応じて社会保険労務士や弁護士等の専門領域となる場合があります。
運送会社が物流顧問を利用するメリット
物流顧問を利用したからといって、法令違反の防止や経営改善が自動的に保証されるわけではありません。
一方で、自社だけでは確認しにくい運行管理や帳票管理について、第三者の視点から助言を受けられる点はメリットの一つです。
法令や制度変更を確認しやすくなる
トラック運送事業では、貨物自動車運送事業法、道路運送車両法、道路交通法、労働基準法、改善基準告示など、複数の法令・基準への対応が必要です。
これらは改正されることがあるため、事業者側でも最新情報を確認しながら運行管理や社内ルールを見直す必要があります。
物流顧問へ相談することで、制度変更を確認しながら自社の運行管理、帳票管理、行政手続などを見直す際のサポートを受けられます。
帳票の不備を早期に確認しやすくなる
運送会社では点呼記録、運転日報、運転者台帳、事故記録など、多くの帳票を適切に作成・保存する必要があります。
物流顧問による定期的な帳票確認を受けることで、記載漏れや運用上の不備を早期に発見しやすくなります。
特に、適正化事業実施機関による巡回指導や国による監査を想定する場合は、日頃から帳票類や運行管理体制を確認しておくことが重要です。
改善基準告示を踏まえた運行管理を確認できる
トラックドライバーの勤務・運行管理では、改善基準告示に定められた拘束時間、休息期間、連続運転時間などを確認する必要があります。
物流顧問のサービス内容によっては、運転者の勤務実態や運行計画を確認し、改善基準告示を踏まえた運行計画・勤務体制の見直しについて助言を受けられる場合があります。
巡回指導・監査への事前準備がしやすくなる
貨物自動車運送事業では、地方貨物自動車運送適正化事業実施機関による巡回指導が行われます。
一方、国や運輸支局等による監査は、巡回指導とは別の制度です。物流顧問へ相談することで、巡回指導や監査を想定し、帳票類、点呼、運転者管理、運行管理体制などを事前に確認できる場合があります。
物流顧問を選ぶときのポイント
物流顧問は法令上の統一された資格ではないため、依頼先によって専門性やサービス内容が大きく異なります。
契約前に、次のような点を確認するとよいでしょう。
運送業に関する支援実績を確認する
一般企業向けの経営コンサルティングと運送業に特化した支援では、必要となる知識が異なります。
運送業の許認可、運行管理、巡回指導、監査、帳票管理などについて、どのような支援経験があるか確認しましょう。
対応できる業務範囲を確認する
「物流顧問」という名称が同じでも、実際のサービス内容は事業者によって異なります。
次のような点を確認してください。
保有資格・料金体系を確認する
行政書士、社会保険労務士、弁護士などはそれぞれ法令上の業務範囲が異なります。
運送業許可や官公署への申請・届出を依頼したい場合は行政書士、労働社会保険分野を相談したい場合は社会保険労務士など、相談内容に応じた専門家を選ぶことが重要です。
また、顧問契約では月額料金に含まれる業務範囲を事前に確認しましょう。訪問回数、電話・メール相談の上限、帳票確認の範囲、巡回指導・監査対応の費用などが別料金になる場合があります。
行政書士法人シフトアップの物流顧問サービス
行政書士法人シフトアップでは、運送事業者向けに顧問業務や巡回指導・監査対策等のサービスを提供しています。
主なサービス内容として、帳票類の確認、運送業に関する行政手続、巡回指導や監査を想定した事前確認などがあります。
顧問業務
| サービス | 報酬額(税別) | 主な内容 |
|---|---|---|
| 顧問業務(訪問あり) | 40,000円/月 | 毎月1回訪問し、帳票類のチェックや運営上の相談に対応 |
| 顧問業務(訪問なし) | 15,000円/月 | 電話・メールによる帳票類チェックや相談。利用上限あり |
巡回指導・監査対策
| サービス | 報酬額(税別) | 備考 |
|---|---|---|
| 巡回指導・監査対策(帳票類チェック訪問) | 50,000円 | 立会いが必要な場合は日当別途 |
※料金・サービス内容は変更される場合があります。依頼時には行政書士法人シフトアップの最新の料金表をご確認ください。
物流顧問に関するよくある質問
Q. 物流顧問は必ず契約しなければならないのですか?
いいえ。物流顧問を置くことは、運送会社に法律上義務付けられているものではありません。
自社内で運行管理や法令対応を行うこともできます。自社だけでは帳票管理や制度変更への対応が難しい場合に、社外専門家から継続的な支援を受ける選択肢として物流顧問を利用する方法があります。
Q. 物流顧問に依頼すれば巡回指導で問題を指摘されなくなりますか?
物流顧問へ依頼したからといって、巡回指導で指摘を受けないことが保証されるわけではありません。
帳票や運行管理体制を事前に確認することで、不備や改善すべき点を把握しやすくするための支援として活用できます。
Q. 巡回指導と監査は同じものですか?
同じではありません。巡回指導は、地方貨物自動車運送適正化事業実施機関が事業所を訪問し、法令遵守状況等を確認・指導するものです。
監査は国や運輸支局等が行うものであり、巡回指導とは実施主体や制度上の位置付けが異なります。
Q. 行政書士に労務相談もできますか?
運送業許可、行政手続、官公署提出書類、運行管理関係の帳票など、行政書士の業務範囲に応じた相談が可能です。
一方、労働社会保険手続や社会保険労務士の独占業務、紛争性のある法律相談などは、内容に応じて社会保険労務士や弁護士等への相談が必要となります。
まとめ
物流顧問は、法令で定められた資格や制度ではなく、運送業や物流業に関する専門家から継続的な助言・支援を受けるサービスの一般的な呼称です。
物流顧問を活用することで、帳票管理、運行管理、巡回指導・監査への準備、行政手続などについて、社外の専門家から助言を受けられる場合があります。
ただし、物流顧問を利用したからといって、法令違反を完全に防止できる、経営が安定する、利益が向上するといった結果が保証されるわけではありません。依頼する際は、運送業に関する支援実績、対応できる業務範囲、保有資格、訪問対応の有無、料金体系などを確認し、自社の課題に合ったサービスを選びましょう。
行政書士法人シフトアップでは、運送業許可、帳票管理、巡回指導・監査対策、運行管理に関する相談など、運送事業者向けの支援を行っています。

