利用運送業は2種類あるって本当?
利用運送事業とは、簡単に言うと、「トラックを持たずに電話だけで、荷物の集荷から配達までをさばくこと」です。
もう少し詳しく解説すると、
「荷主から貨物輸送の依頼を受け、運送業許可を持っている実運送事業者へ輸送手配を行い、その対価として荷主から運賃(利用運賃と言います。)をもらい、実運送事業者にその運賃の一部を支払う形態」
のことを「利用運送事業」と言います。
利用運送事業の正式名称は「貨物利用運送事業」と言い、貨物利用運送事業は以下の2種類に分けられます。
- 第一種貨物利用運送事業
- 第二種貨物利用運送事業
物流業界に身を置く方でも、その違いが分からないことの多い、貨物利用運送事業の第一種と第二種の違いをこれから優しく解説いたしますので是非ご覧ください。
【用語の説明】
実運送事業者とは
- 船舶運航事業者
- 航空運送事業者
- 鉄道運送事業者
- 貨物自動車運送事業者
の4つのことを言いいます。
一般的に「運送」というとトラックをイメージしますが、実運送事業者はトラックを使う貨物自動車運送だけではありません。
※船舶、航空、鉄道、貨物自動車の各輸送手段のことを、一般的に「モード」と言います。
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第一種と第二種の違いをざっくり解説
利用運送事業は、第一種と第二種の2種類に分けられことは先ほどご説明しました。
両者の違いを簡単に言うと以下のようになります。
区分 | 内容 |
第一種貨物利用運送 | 流通の一部の輸送手段のみを手配する利用運送 |
第二種貨物利用運送 | 出発地から配達先(最終着地)まで貨物の一連の流通に係るすべての輸送手段を手配する利用運送 |
言葉だけでは分かりづらいので、両者の違いをイメージ図と例で見てみましょう。

【Ex】荷物の集まる物流センターから家電製品店まで荷物を運んでくれるトラックを手配する → 流通の一部のみ手配

【Ex】海外から国内へと輸入される荷物を、海外の出荷場から国内の配達先まで輸送するために海外トラック業者、貨物船、国内トラック業者まですべてを一貫して手配する → 一連の流通に係るすべての輸送を手配
おおよそのイメージはできましたか?
それでは、貨物利用運送の第一種と第二種の違いをもっと詳しく見ていきましょう。第二種から見て頂いた方がより理解が深まるため第二種からご説明いたします。
第二種貨物利用運送とは
市場に出回る様々な商品や製品は、単純にトラックのみ、船舶のみの輸送だけで市場への流通が完結するものではありません。
例えば、輸入工業製品は一般的に、
- 海外の工場から出荷
- 海外港で船に積む
- 国内港に着港
- 国内港から配送センターへトラックで輸送
- 最終の配達先である家電製品店などにトラックで配送
という手順を踏みます。
これら、荷物の輸送に関する一連の流れを行う配達業者(=実運送事業者)すべてを手配することを第二種貨物利用運送と言い(第二種貨物利用運送は許可制です。)、利用するモードは2種類以上となります。
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第二種貨物利用運送の3つのパターン
第二種貨物利用運送事業は、次の3パターンに分けられます。
① 海上運送+トラックによる集配業務
- 集荷先までトラックで集荷し港までトラックで輸送
- 船舶による輸送
- トラックが港で集荷し配達先へ輸送
② 航空運送+トラックによる集配業務
- 集荷先までトラックで集荷し空港までトラックで輸送
- 飛行機による輸送
- トラックが空港で集荷し配達先へ輸送
③ 鉄道運送+トラックによる集配業務
- 集荷先までトラックで集荷し駅までトラックで輸送
- 鉄道による輸送
- トラックが駅で集荷し配達先へ輸送
上記3つが第二種貨物利用運送事業の輸送形態となります。
第二種貨物利用運送のポイント
ポイント1
第二種貨物利用運送事業は、モードの違う複数の運送事業者を手配し、荷物の集荷先から配達先への輸送を一貫して行うため、「ドア・to・ドア」の輸送と言われます。
ポイント2
例えば、鉄道運送会社が他の鉄道運送会社へ荷物の配送を依頼する場合は、荷主である鉄道運送会社は利用運送登録を有していなければなりません。このケースの輸送手配は、一般的に「利用の利用」と呼ばれています。
船舶や航空も同様です。
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第一種貨物利用運送とは
噛み砕いていうと、貨物の流通の一部の輸送をするために、配送業者(=実運送事業者)を手配することを第一種貨物利用運送と言います。
こちらは登録制で、利用するモードは1種類以上となります。
貨物利用運送事業法第2条によると、第一種貨物利用運送事業とは以下のように定義されています。
“他人の需要に応じ、有償で利用運送を行う事業者であって、第二種貨物利用運送事業以外のものを言う。”
そして、第一種貨物利用運送は以下の4つのパターンに分けられます。
- 港から港までの海上輸送(ポートtoポート)
- 鉄道の駅から駅までの鉄道輸送(ステーションtoステーション)
- 空港から空港までの航空輸送(エアポートtoエアポート)
- 集荷先から配達先までの貨物自動車運送(集荷先to配達先)
第一種貨物利用運送のポイントをまとめるとは以下のようになります。
第一種貨物利用運送のポイント
ポイント1
貨物自動車運送では、集荷先から配達先への貨物の輸送で一連の流通が完了するドアtoドア輸送になる場合もありますが、モードが貨物1種類のみとなるため、第一種貨物利用運送事業に当たります。
ポイント2
トラック輸送と海上輸送の配送手配を行うなど、複数モードの利用運送をする場合は、モードごとに第一種利用運送登録が必用となります。
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第一種と第二種の違いのまとめ
区分 | モード数 | 運送手配 |
第二種貨物利用運送 | 2つ以上 | 貨物の流通すべての運送手配を行う |
第一種貨物利用運送 | 1つ又は複数 | 貨物の流通の一部の運送手配を行う |
第二種貨物利用運送事業
利用を行うモードが2つ以上で、貨物の流通すべてに対して運送責任を負う。いわゆるドアtoドア輸送のこと。
第一種貨物利用運送事業
港から港まで、集荷先から配達先までなど、貨物の流通の一部の輸送を担う実運送事業者を手配し、荷物の流通の一部に対してのみ運送責任を負う。
ポイント
利用するモードが2つ以上となる場合でも、貨物の流通すべての運送手配を行わなければ必用なのは第一種貨物利用運送事業登録となります。
利用運送Q&A
質問1
貿易業を行っているA貿易です。国内の港から海外の港までの船の手配をして、荷主から運賃をもらうのですが、第一種貨物利用運送事業登録か第二種貨物利用事運送業許可のどちらが必要になりますか?
回答
第一種貨物利用運送事業登録が必要です。海上運送は、内航海運、外航海運を問わず港から港までの荷物の輸送を手配する場合は第一種利用運送を行うことになります。
国内から海外への海上輸送を手配するから第二種貨物利用運送事業許可が必要ということではありません。
質問2
貿易業を行っているB貿易です。国内の集荷先である北海道の製造業者の株式会社Cから出る荷物に対して、株式会社Cから函館港までの貨物自動車運送の手配をし、函館港から大阪の南港までの船舶による貨物の配送手配まで行います。
大阪南港から最終配達地である和歌山までは株式会社Cの子会社であるD運送が行うため貨物運送事業者の手配はしません。この場合は、第二種利用貨物運送事業許可が必用となりますか?
回答
いいえ、必用ありません。貨物自動車運送の第一種貨物利用運送事業登録と、海運運送事業の第一種貨物利用運送事業登録が必用となります。この場合、貨物自動車の利用運送と海運運送事業の利用運送登録は別々に申請する必用があるため注意してください。
発地から最終着地までのドア・to・ドア輸送の手配をするわけではないので第一種貨物利用運送業登録で良いことになります。
総まとめ
第一種貨物利用運送と第二種貨物利用運送の違いはご理解いただけましたでしょうか?
第二種貨物利用運送事業は、モードが2種類以上、ドア・to・ドア、かつ全ての運送責任を負う利用運送事業です。
対して第一種貨物利用運送事業は、流通の一部のみの輸送の手配を行い、手配した貨物輸送に関してだけ運送責任を負う利用運送事業となります。
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