「利用運送会社」を設立して利用運送を行いたいという方のために、この記事では
- どのような場合に利用運送会社を設立した方が良いのか?
- 利用運送会社設立の手順は?
- 気を付けるべき3つのポイントとは?
について、弊社シフトアップへのご相談内容をもとに、分かりやすくご説明して参ります。
なお、このページでは利用運送許可取得のご依頼の中でも、90%以上を占める第一種貨物利用運送事業登録を行うための会社設立のご説明とさせていただきます。
加えて、正確には第一種貨物利用運送事業登録といますが、一般に浸透している「許可」と表記しております。
どのような場合に、利用運送会社設立が必用になるのか
利用運送会社を設立したいとお考えの方は、当然、利用運送を行なおうと考えている方だと思います。
ここで、ご注意いただきたいことは、お客様の事業の形態が、利用運送許可が必要かどうかと言うことです。
弊所に利用運送会社を設立したいとご相談いただく方の中には、よくよくお話をお伺いすると、利用運送許可を取得しなくても良い事業形態であることがよくあります。
まずは、利用運送の定義からご理解ください。
利用運送の定義
利用運送とは、「自らは運送手段を持たずに、実運送事業者の行う運送を利用して貨物の運送を行う事業」のことです。
別の言い方をすると、荷主から貨物輸送の依頼を受け、実運送事業者へ輸送手配を行い、その対値として荷主から運賃(利用運賃と言います。)をもらい、実運送事業者にその運賃の一部を支払う形態と言うことができます。
※実運送事業者とは、トラック運送業許可(一般貨物自動車運送事業許可)を持っている運送会社のことです。
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利用運送許可が不要な場合|重要です
以下のような場合は利用運送行為にあたりません。
- 貨物の輸送手配は行うが荷主から利用運賃をもらわない場合(ただし、名目は違っても実質的に利用運賃である場合は利用運送行為に当たります)。
- 荷主から荷物は預かるが実運送会社を手配しない場合(運送の取次に該当します)。
- 自社の荷物を実運送事業者に輸送してもらう場合。
など。お客様の業務が上記のいずれかに該当していたら利用運送許可は不要となります。
利用運送会社は儲かるのか?
当事務所のご依頼者様で利用運送会社を設立した方には、稼働初月から月商200万円超えという方もいれば、日本中の運送会社へ営業にまわって、月商800万円を超えている方もいらっしゃいます。
このような例からも、利用運送事業は決して儲からない業種ではありません。
しかし、すべてのお客様が、大きな売り上げを上げているわけではありません。どんなビジネスにも共通ですが、人脈を築いたり、泥臭い営業をしたり、地道な努力が必用なことは忘れないでください。
※お急ぎの方は代表直通 080-3687-6848 までお掛けください。
利用運送会社設立の手順
ここからは、利用運送会社設立の手順に入ります。その流れはざっくり以下のようになります。
- 会社設立
- 利用運送業許可申請
以下で、詳細を見ていきましょう。
会社を設立する
会社を設立をするのに必要なことは以下のとおりです。
- 会社名の決定
- 会社の拠点(本店所在地と言います)となる住所地の決定
- 法人代表者印、銀行印、認印の作成
- 利用運送以外で会社が行う事業の決定(利用運送しか行わないときは不要)
- 資本金を出す人の決定
- 代表取締役、その他の役員の決定
- 資本金額の決定
ここまで決まったら、定款を作成します。定款とは、会社を運営するうえで重要な事項を決定するために必要な事項を記載した書類です。
定款を作成したら、次は
- 定款の認証
- 資本金の払い込み
- 会社設立書類の作成
- 法務局へ会社設立申請書の提出
- 会社設立(法務局へ書類を提出してから1週間~2週間後)
ざっくりこのような流れでお客様の会社はできあがります。
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利用運送会社設立時に絶対ハズしてはいけない3つのポイント
ポイント1|資本金額は必ず300万円以上にする
利用運送会社の資本金は、必ず300万円以上にしましょう。なぜかというと、利用運送許可を取得するには「申請日直前決算期の純資産が300万円以上あること」が条件となっているからです。
「純資産」とは、簡単に言うと資本金額などを含む会社の財産のことです。立ち上げて1年を経過していない会社は、基本的に営業活動で得た利益や使った経費を確定する「決算処理」を行っていないため、会社設立時の資本金が純資産となります。
したがって、資本金を300万円以上にして会社設立しないと、利用運送業許可を取得できないことになります。
増資と言って、会社設立後に資本金を増やす登記をして、許可申請することも可能ですが、登録免許税や申請書類の作成などが必用となり、二度手間となるので当事務所ではおすすめしておりません。
ポイント2|会社の住所に気を付ける
利用運送に使用する「事務所(営業所)」は、都市計画法という法律などで決められた、「事務所として使用できる場所」でなければなりません。
したがって、会社の活動を行う拠点となる住所と利用運送の事務所とする場所を同じ住所にする場合は、その住所が事務所(営業所)として使用できる場所であることが条件となります。
詳細は後述しますが、土地の中には、事務所を建築しても良い場所と、いけない場所というのが定められています。既に建っている建物を事務所とする場合でも同様の条件が付きます
もし、会社住所と利用運送の事務所住所を同じにするという場合は、必ず利用運送の事務所として登録できる場所かどうかを、利用運送許可のプロに調査を依頼してください。
※事務所と営業所は同じ意味合いです。
ポイント3 事務所(営業所)は会社名義で契約する
利用運送会社が利用運送を行う事務所(営業所)を賃貸する場合は、会社名義で契約し、契約期間は基本的に1年以上でなければなりません。また、賃貸借契約書の「使用目的」が、事務所として使用することを認める旨の記載も必用となるので注意しましょう。
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利用運送業許可を取得する
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会社が設立できたら、次は利用運送許可申請をし、許可を取得します。利用運送許可取得をするには
- 会社の純資産が300万円以上あること
- 事務所とする場所が、都市計画法という法律などに定められている場所でないこと
- 事務所とする場所の使用権限を有していること
- 会社の役員全員が欠格事由に該当しないこと
主に、この4つが条件となります。それでは以下で利用運送許可取得の条件の詳細を見ていきましょう。
会社の純資産が300万円以上あること
会社設立の項でも触れましたが、設立して1年を経過していない会社の場合は、資本金額が300万円以上あることが設立の条件となります
必ず資本金を300万円以上用意して利用運送会社を設立しましょう。
事務所(営業所)が都市計画法などに違反する場所にないこと
利用運送に使用する事務所(営業所)とする場所は、建築物を建てることを制限している都市計画法という法律に違反してはいけません。
具体的には、市街化調整区域と呼ばれる、市街地化を抑制する場所でないことが条件となります(一部例外あり)。
そして、市街化調整区域以外の場所(市街化区域および非線引き区域と言います)であっても、土地の利用方法を定めた12種類の区分の中の
- 第1種低層住居専用地域(例外あり)
- 第2種低層住居専用地域(例外あり)
- 第1種中高層住居専用地域(例外あり)
- 第2種中高層住居専用地域(2階の建物なら可)
と呼ばれる場所にあってはいけません。
法律に違反しない場所にあるかどうかの調査は、運送業系許可の専門事務所に依頼しないと膨大な時間がかかる可能性が非常に高いのでご注意ください。
適切な事務所(営業所)の使用権限を有していること
会社設立の項でも説明した通り、利用運送の事務所(営業所)とする場所が賃貸の場合は、利用運送会社が契約者名義人となっており、「契約期間が1年以上」、且つ、賃貸借契約書の使用目的に「事務所として使用することを認める」旨の記載が必用です。
会社の役員全員が欠格事由に該当しないこと
欠格事由とは、簡単に言うと利用運送許可申請ができない理由のことです。具体的には、以下の事項にあてはまってはいけません。
- 1年以上の懲役または禁錮刑となり、その執行を終わり、または受けることがなくなってから2年以上経過しない者
- 利用運送の許可取消を受け、その取り消しの日から2年を経過しない者
など。
まとめ
利用運送会社を設立するには、会社設立、そして利用運送許可申請という順番を守りましょう。
先に利用運送業許可申請し、その後に法人設立が完了すると、申請の審査機関である地方運輸支局に、改めて申請書類のいくつかを提出し直すことになり、大変な手間がかかってしまいます。
会社設立時の資本金などに注意し、利用運送に使用する事務所が法律に違反していない場所かどうかの調査を、必ずプロの行政書士事務所に依頼してください。
プロに依頼しないと事務所の調査に膨大な時間を要したり、申請書類を何度も書き直すことになり、お客様の大切な時間の浪費になってしまいかねません。
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