最近、ビジネスの世界ではよく耳にする3PLという言葉。今や物流業界においては、欠かせない重要な企業戦略となった3PLですが、詳しくは知らない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、3PLについての基本解説から、メリット・デメリットまで分かりやすく解説していますので、参考にしてください。まずは、そもそも3PLとは何なのか?という基本から見ていきましょう。
3PLとは
3PLとは、「サードパーティー・ロジスティクス」の略で、企業の物流部門を外部へ委託することを意味します。例えば、メーカーが自社商品を顧客へ届けようとする際、トラックや倉庫を確保し、効率的な輸送ルートを考え、必要なソフトウェアを導入し、ドライバーや構内作業スタッフなどの人材を確保する必要があります。
物流の知見がない企業が、これら物流機能をイチから整えるのは費用も時間もとられることに多くの事業者がジレンマを抱えていました。そんな事業者の悩みを解消するのが3PL。
その歴史は1990年代にヨーロッパから始まり、日本では1990年代後半から急速に導入が広がりました。日本において有名なのは、Amazonや日本通運が3PLをリードしています。
3PLを企業が導入する際の3つのメリットとは
3PLとはそもそも何かをざっくりと解説してきました。それでは、実際に3PLを導入すると企業側にはどんなメリットがあるのでしょうか。3PLを導入する企業のメリットを、3つのポイントに分けて解説します。
メリット1|経営資源の集中
メリットの1つ目は、経営資源を本業に集中させられることです。物流業務を自社で抱えていた場合にかかっていた設備費や人件費を、本来最も力を入れたい部門へ投資することができます。
物流業務を丸ごと外部のプロに委託することで、メーカーが商品開発など中核業務へ集中できるのです。
メリット2|コスト削減
メリットの2つ目は、コスト削減につながりやすいことです。3PLの業者にも様々なサービスがあり、輸送だけでなく在庫管理まで一括して任せられるケースもあります。このようなサービスを有効活用することで、在庫の最適化・業務効率化・キャッシュフローの改善など相乗効果が生まれ、大きくコスト削減を実現できることもあるのです。
コストが明確になることで予算計画の見通しが立てやすく、コスト削減目標も考えやすくなるでしょう。
メリット3|物流プロセスの効率化
メリットの3つ目は、物流プロセスの効率化です。企業が商品を顧客の元へ届けるまでには、大まかに「企業→運送→保管→流通加工→運送→顧客」というプロセスを踏みます。この物流プロセスを一括して3PLの業者へ任せれば、最も効率的なプロセスを提案してもらえるので効率化が一気に進むのです。
さらに、物流プロセスの効率化には、テクノロジーとの連携が欠かせません。近年、IotやAIなどのIT技術が物流へ参入することで、現場のオペレーションが大きく変わってきています。このような最新技術を自社で見極めて導入するのは簡単ではありません。しかし、外部のプロに任せてしまえば、最新技術を使ってコンサルティングしてもらえることも良い点です。
3PLを企業が導入する際の3つのデメリットとは
ここまでの解説で、3PLのメリットは大きいことがお分かりいただけたと思います。それでは、3PLのデメリットはどんなことが考えられるのでしょうか。
デメリット1|運用管理が行き届きにくい
デメリット1つ目は、運用管理が行き届きにくいことです。物流業務を外部へ委託するため、倉庫や輸送のプロセスについて、企業側が3PLの業者へ丸投げにしてしまうケースがあります。
特に導入初期の段階で、「仕入れ先から倉庫に届いた商品の検品フロー」「不良品が出た時のフロー」などの対応を3PL業者としっかり決めておくことが大切です。
実際に業務委託が始まってからも、企業側は「問題が生じてないか」「3PL業者と方針が共有できているか」といった確認を続けていく姿勢が大切です。
デメリット2|緊急時の対応を迅速にできない
デメリット2つ目は、緊急時にスピーディーな対応ができないことです。自社ですべての物流を抱えていた時は、緊急事態が発生した際、同じ社内での対応なのでコミュニケーションに困ることは少ないでしょう。
しかし、3PLでは外部の委託先に物流を丸ごとお願いしているわけなので、外部である3PL業者と連携して緊急対応する必要があります。事前に、企業側と3PL業者の間で、緊急時の対応フローを共有しておくことが大切です。
社内の物流担当者の育成力が弱くなる
デメリット3つ目は、企業側の社内で物流に対する知見が育たないことです。物流を外部に委託すると中核業務に集中できる一方で、どの業種でも避けて通れない物流に対して社内で精通している人がなかなか育たないという弊害はあります。
3PL業者に任せたとしても、自社の物流がどんな状態なのか正確に把握している担当者の存在は欠かせません。3PLを導入する企業の中には、社内の若手を出向させることで社内の物流担当者を育てる戦略をとっている企業もあります。
まとめ
経営資源の集中やコスト削減など、様々なメリットある3PL。EC市場の急拡大により、Amazonのマーケットプレイスなどが急速に拡大し、サービスも進化しています。
物流大手も3PLへの参入に積極的であり、今後、ますます3PLは重要な企業略になっていくと予想されます。
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