トラックの走行距離と寿命の関係

コラム

トラックの走行距離と寿命の関係性を誰でもわかるように解説

行政書士法人シフトアップ 代表社員 川合智

川合 智

運送業許可のプロ事務所「行政書士法人シフトアップ」の社長★トラック運送会社に12年勤務後に開業。著書【トラック運送業の運輸局監査対策】【行政書士のための運送業許可申請のはじめ方】★行政書士向けに運送業許可を教える「くるまスクール」主催者

トラックの寿命について「何となくは知っているけど、具体的な基準や目安はよくわからない」という方も多いのではないでしょうか。
本記事では、トラックの走行距離と寿命の関係性を、誰にでもわかるように解説しています。ぜひ参考にしてください。

まずは、トラックの寿命に影響を与える「走行距離」について見ていきましょう。

 

トラックの寿命に影響を与えるものは「走行距離」

トラックの寿命を考える上で、欠かせないのが「走行距離」です。走行距離が延びるほどに、エンジンのオーバーホールや部品の消耗は激しくなり、乗り続けるための整備代は上り、買取価格は下がっていきます。

 

トラックが寿命を迎える走行距離は何km?

トラックの寿命は、10年〜15年と言われていますが、小型・中型・大型といったトラックの種類によって、寿命とされる走行距離は異なります。
ここからは、小型・中型・大型に分けて、10年〜15年で走れる走行距離を見ていきましょう。すべて、メンテナンスをしっかり行う前提での想定になります。

 

小型トラックの場合

小型トラックが寿命を迎える走行距離は、20万kmが目安です。乗用車の寿命は10万kmとされていますが、小型トラックは乗用車より排気量が大きい分、長く走れます。このことから、中古でトラックを購入する場合、走行距離10万kmでも小型トラックであればまだまだ乗れると判断できます。

 

中型トラックの場合

中型トラックが寿命を迎える走行距離は、40万〜50万kmが目安です。目安の距離に10万kmも差があるのは、中型トラックの場合、メンテナンス状況によって寿命が大きく左右されるためです。

もし、中型トラックを中古で購入するときは、走行距離だけで判断するのではなく、点検記録簿などをチェックし、どれだけしっかり手入れがされてきたかを見ることをおすすめします。

 

大型トラックの場合

大型トラックが寿命を迎える走行距離は、70万kmが目安です。大型トラックは排気量が大きいことはもちろん、長く乗ることを前提に作られているためメンテナンスがしやすいことが特徴です。

メンテナンスがしっかりされた大型トラックは、100万km以上乗れることも珍しくないため、高額な大型トラックを入手する際は、中古で状態のいい車体を探すトラック事業者の方も多いです。

 

大型トラックの寿命が長い理由

小型トラックと比べて、約3倍も走れる大型トラック。大型トラックの寿命が長い理由は、高速道路を走ることが多いことと関係します。車の寿命を縮める要因として大きいのがエンジンへの負荷。アクセルとブレーキを踏めば踏むほど、エンジンに負荷がかかり寿命は縮んでいくと言っても過言ではありません。

一方で、小型トラックは市街地を走ることが多く、信号や速度制限などでアクセルとブレーキを踏む機会が多いため、エンジンや駆動部への負担が大きいのです。

そのため、高速道路を走ることが多い大型トラックは、エンジンに負荷をかけるブレーキの多用や、アクセルを踏んで高速回転させる運転も少ないため、寿命が長くなっています。

 

トラックの寿命を伸ばす方法

ここまでの解説で、小型・中型・大型トラックの平均寿命はお分かりいただけたと思います。それでは、できる限りトラックの寿命を伸ばすにはどうしたらいいのでしょうか。

 

方法1| 定期的なメンテナンス

まずは、定期的なメンテナンスが欠かせません。先に説明した寿命とされる走行距離はあくまで目安です。普段からこまめにメンテナンスをすれば、エンジンの劣化を防ぐことができます。また、定期的にチェックをすることで、早期に不調に気づくことができ、手遅れになる前に手入れすることもできるのです。

それでは、具体的なメンテナンス内容を見ていきましょう。

 

冷却水の交換

トラックのエンジンは、長距離を走るために熱を発生し続けています。熱を持ったエンジンを冷やすために必要なのが冷却水。この冷却水が不足すると、エンジンが異常加熱する『オーバーヒート』が起こります。

長くトラックに乗っていると、冷却水は蒸発や水漏れなどの原因で不足することがあります。そのため、定期的に冷却水の量をチェックし、補充しましょう。

 

エンジンオイルの交換

エンジンオイルは、エンジンのスムーズな動きを支える大切なオイルです。エンジンに負荷がかかるほど、エンジンオイルは劣化していきます。乗用車では約6ヶ月ごとに交換するエンジンオイルですが、トラックの場合は積載量に関わらず12ヶ月ごとに交換することが推奨されています。

走行距離から考える交換目安と必要量は、次の通りです。

  • 乗用車/3000〜5000km(約2〜5L必要)
  • 小型トラック/2万km(約8L必要)
  • 中型トラック/3万km(約10L必要)
  • 大型トラック/4万km(約30L必要)

 

<h3>方法2| タイヤの点検・交換

トラックを走行すればタイヤはすり減っていきますが、そのすり減り方が寿命と関係します。タイヤが均一にすり減っていけば、路面との摩擦を保って安全に走行できますが、特定の部分だけがすり減っていると危険を伴います。

タイヤが特定方向にのみすり減る偏摩耗を起こすと、振動で駆動部にダメージを与えたり、運転操作が難しくなったりします。

また、タイヤの溝がなくなってスリップサインが出ていると、道路運送車両法に違反し、車検にも通らなくなるので、注意してください。タイヤのコンディションは、トラックの寿命に影響を与えるだけでなく、安全に走行するために重要な役割を持つため、定期的に点検を行いましょう。

 

方法3| エンジンのオーバーホール

トラックの寿命を伸ばすためには、消耗した部品を新しく交換する必要があります。その代表的な方法にオーバーホールがあります。

オーバーホールとは、エンジンを解体して、消耗した部品を新しいものに交換して、きれいに清掃し、再び組み立てることを言います。

オーバーホールはプロの整備士でしかできないため、整備工場やディーラーに相談しましょう。整備費用は、整備工場で30万〜70万円、ディーラーで50万〜200万円ほどかかります。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。トラックの寿命とは何を根拠に判断されているのかを解説しました。トラックをしっかりメンテナンスすることは、長く乗れるだけでなく、買取の査定額もアップします。

日頃から点検することで、不調が出る前に対策を打てるとベストでしょう。

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