当社シフトアップで問い合わせの多い第二種貨物利用運送事業。利用運送についての定義が分かりづらいために、ご相談者様は様々疑問を抱かれています。
そこでこの記事では、第一種貨物利用と第二種貨物利用の違い、許可取得の要件、申請に必要な書類、許可取得までの期間・費用などについて分かりやく解説しています。
まずは、「第二種貨物利用運送事業とは何か」から見ていきましょう。
第二種貨物利用運送事業とは
第二種貨物利用運送事業とは、一般貨物自動車運送、船舶運行、航空運送、鉄道運送のいずれか2種類以上の事業者を利用して、貨物集配の輸送手段の手配を一貫して行う事業のことです。
荷主の望む貨物の出荷地点から納品地点までの一連の輸送手段の手配を行うことで、「ドア・トゥー・ドア」で貨物運送サービスを提供する事業とよく言われます。
第二種貨物利用運送事業と第一種貨物利用運送事業の違い
二種利用が貨物の出荷地点から納品地点まですべての輸送手段の手配を行うことに対して、一種利用では、「出荷地点 → 納品地点」までの貨物輸送の一部のみの輸送手段の手配を行います。
下記で内航海運を使用するかもう輸送手配を例に、二種利用と一種利用の違いをわかりやすく解説します。
例1|国内港~国内港だけの輸送手段の手配をおこなう場合
一種利用の登録が必要となります。
この場合、出荷地点~国内港までのトラックなどによる陸路の輸送手段の手配をおこなわないため一種利用の登録で構いません。
例2|出荷地点から国内港までの輸送手段の手配をおこなう場合
一種利用の登録が必要となります。
この場合、出荷地点である国内の出荷場から国内港~国内港までの輸送手段の手配しか行わないことになります。つまり、ドア・トゥー・ドア輸送ではないため一種利用の登録で構いません。
例3|出荷地点~国内港(発)~国内港(着)~納品地点までの輸送手段の手配を行う場合
二種利用の許可が必要となります。
この場合、出荷地点から納品地点までに必要な陸路(トラック等)と海路(船舶)の輸手段すべての手配をおこなうため二種利用の許可が必要です。
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第二種貨物利用運送事業の許可要件
ここからは第二種貨物利用運送事業の許可要件を確認していきましょう。
要件1|営業所・保管施設の要件
適切な使用権原があること
営業所や貨物の保管施設について、建物登記簿謄本で申請者の所有であることを証明できること。賃貸の場合は、賃貸借契約書で証明できること。
都市計画法など関係諸法令に抵触していないこと
営業所は保管施設が、基本的に市街化調整区域内にないこと(例外あり)。市街化区域内にある場合は、事務所や保管施設を建築しても良い地目の区域内にある物件であること。
このほか、建物が建築されている土地が農地法に基づく田・畑でないこと、建築物が営業所や保管施設としての建築基準法の要件を満たしていることなど。
また、保管施設においては、適切な施設の規模、構造、設備を有することなどが要件となります。
要件2|財産的基礎を有すること
決算書における貸借対照表内の純資産が300万円以上であることが要件となります。
要件3|欠格要件に該当しないこと
欠格とは、第二種貨物利用運送事業の許可を有する資格を持たないことをいいます。欠格となる要件は下記のとおりです。
- 1年以上の懲役または禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から2年を経過していない者。
- 第一種貨物利用運送事業の登録または第二種貨物利用運送事業の許可の取り消しを受け、その取消の日から2年を経過しない者。
- 申請前2年以内に貨物利用運送事業に関し不正な行為をした者。
- 法人であって、その役員のうち上記1~3に該当する者のあるもの。
- その事業に必要と認められる国土交通省令で定める施設を有しない者。
- その事業を遂行するために必用と認められる国土交通省令で定める基準に適合する財産を有しない者。
要件4|事業計画が適切であること
- 第二種貨物利用運送事業の事業遂行に必要な組織を有すること。
- 事業運営に関する指揮命令系統が明確であること。
- 利用運送をおこなう実運送事業者との間に適切な業務取扱契約が締結されていること。
要件5|集配計画が適切であること(集配を他の者に委託する場合のみ)
集配営業所が、都市計画法、農地法、建築基準法など関係諸法令に抵触しないこと。
また、集配の委託を受けた者が、鉄道貨物、航空貨物、海上貨物の集配のために必用な業務運営体制を有していることが要件となります。
第二種貨物利用運送事業の種類
第二種貨物利用運送事業は、貨物の輸送を委託する者がどの輸送手段を有するかにより下記の種類(モードと言います)に分けられます。
内航海運モード
国内港の船舶輸送と貨物自動車を用いた陸路の輸送手配を行う場合は、内航海運モードの第二種貨物利用運送事業の許可を取得します。
外航海運モード
国内港から海外港の船舶輸送と貨物自動車を用いた陸路の輸送手配を行う場合は、外航海運モードの第二種貨物利用運送事業の許可を取得します。
国内航空モード
国内航空と貨物自動車を用いた陸路の輸送手配を行う場合は、鉄道モードの第二種貨物利用運送事業の許可を取得します。
ただし、航空会社の代理店になっていることなどが要件となるため、実際の申請はほとんどありません。
国際航空モード
国内航空と貨物自動車を用いた陸路の輸送手配を行う場合は、鉄道モードの第二種貨物利用運送事業の許可を取得します。
ただし、航空会社の代理店になっていることなどが要件となるため、実際の申請はほとんどありません。
鉄道モード
鉄道と貨物自動車を用いた陸路の輸送手配を行う場合は、鉄道モードの第二種貨物利用運送事業の許可を取得します。
ただし、鉄道会社の代理店になっていることなどが要件となるため、実際の申請はほとんどありません。
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申請に必要な書類のまとめ
第二種貨物利用運送事業の許可申請に必要な書類は主に下記のとおりです。
第二種貨物利用運送事業許可申請書 |
事業計画書 |
集配事業計画書 |
法人履歴事項全部証明書 |
定款の写し |
運送委託契約書 |
役員名簿 |
履歴書(役員全員分) |
直近の会計年度における貸借対照表の写し |
営業所の使用権原を証明できる書類など |
保管施設の使用権原を証明できる書類など |
事業に使用する施設が都市計画法等に抵触しない旨の宣誓書 |
欠格事由に該当しない旨の宣誓書 |
利用運送約款 |
許可取得までの流れ・期間・費用
申請から許可取得・事業開始までの流れ
第二種貨物利用運送事業の申請から事業開始までの流れは下記のとおりです。
1 | 申請要件の確認 |
2 | 申請に必要な添付資料の収集 |
3 | 申請書類の作成 |
4 | 第二種貨物利用運送事業許可の申請受付 |
5 | 国土交通省による審査 |
6 | 補正対応 |
7 | 許可取得(許可書の交付) |
8 | 登録免許税の納付 |
9 | 運賃料金設定届の提出 |
10 | 事業開始 |
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許可取得までの期間
許可取得に必要な国土交通省の審査期間(標準審査期間と言います)は、4ヵ月です。
第二種貨物利用運送事業の許可を取りたいという事業者様が申請に至るまでは当社平均2ヵ月ほどです。
海運事業者様とのつながりが既にあるなど、運送委託契約書の取付がしやすい状態のお客様が多いため、ご依頼から申請に至るまでの期間は比較的短い傾向にあります。
許可取得に必要な費用
許可所得に必要な費用は、登録免許税12万円。
行政書士に申請書類作成と提出代行を依頼する場合は、行政書士への報酬が必要となります。
まとめ
第二種貨物利用運送事業の許可の要件、一種利用との違い、許可取得までの期間や流れについてご理解いただけましたでしょうか。
許可取得をご検討中の方は、一種利用に比べて許可取得までの難易度が高いため、専門家に相談してみることをおすすめします。
当社シフトアップは、運送業系許可のプロ事務所として第二種貨物利用運送事業の許可申請の実績豊富です。お気軽にご相談ください。
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