- 一般貨物自動車運送事業を始めるには、法人格や車両5台、管理者などの有資格者の配置などの厳しい要件を満たして国の許可(緑ナンバー)を得る必要があります。
- 申請から取得まで通常2〜3ヶ月程度かかり、登録免許税12万円のほか車両購入などの初期費用として数百万円単位の資金準備が不可欠です。
- 法改正により5年ごとの更新制が導入される見通しのため、許可取得後も法令遵守や適切な帳簿管理を徹底し、失効や取消しを防ぐ体制づくりが重要です。
シフトアップ代表の川合が解説する「運送業許可を取りたいと思ったら何から考えるべき?」
当所代表の川合が運送業許可を取得をご検討されている方向けに”運送業許可を取得したいと思ったら何から考えるべき?”について、わかりやりやすく解説しています。
これから運送事業を展開される方、事業を拡大される方にもぜひご視聴いただいたい内容となっておりますので、ぜひ一度ご覧ください!
しふとあっぷチャンネルはこちらからご覧ください。
一般貨物自動車運送事業とは
一般貨物自動車運送事業の基本や類似制度との違いについて整理します。
はじめて運送業に取り組む方でも理解しやすいよう、専門用語もかみ砕いて解説していきます。
一般貨物自動車運送事業の定義
一般貨物自動車運送事業とは、「他人の貨物を、有償で自動車を使って運送する事業」のことを指します。根拠法は貨物自動車運送事業法で、国土交通省の管轄下にあります。緑ナンバーのトラックを使い、請け負った荷物を運ぶ営業行為はこの許可を得た事業者でなければできません。
たとえば個人商店が知人の引っ越し荷物をトラックで運び、その対価を受け取った場合、それが反復・継続していればこの事業に該当する可能性があります。こうした営業運送は、許可がなければ法令違反となるため注意が必要です。
参考記事: 流通業務総合効率化法と貨物自動車運送事業法がよくわかる記事
自家用運送と営業運送の違い
自家用運送は自社の荷物を自社の車両で運ぶ行為で、許可は不要です。たとえばパン屋が自分の店舗間で商品を配達するようなケースです。
一方、営業運送は他人の荷物を有償で運ぶ行為となり、こちらは一般貨物自動車運送事業の許可が必要です。
混同しやすいのが「運送費をもらわないから白ナンバーでも大丈夫」という考え方です。実際には対価が発生していなくても、名目上の報酬があった場合や継続性がある場合には営業運送と見なされることもあるため、注意が必要です。
参考記事:白ナンバーで運送業をおこなうのは違法?罰則はある?
軽貨物運送事業との違い
軽貨物運送事業は、軽トラック(最大積載量350kg以下)を使って荷物を運ぶ事業です。こちらは貨物軽自動車運送事業として、届出制で開業できます。
一方で、一般貨物自動車運送事業は2トントラックなども含み要件も厳しく許可制です。
たとえば、個人でフリーランス配送業者としてスタートしたい場合には軽貨物運送が適していますが、法人として複数台のトラックで継続的に他社荷物を運ぶなら、一般貨物自動車運送事業の許可が必要になります。扱える荷物の量や業務の範囲も大きく異なります。
許可を取得するための要件
許可を取得するには事業者としての体制や施設、人員、財務状況などが一定の基準を満たしていなければなりません。
ここでは、具体的にどのような条件が求められるのかを一つずつ見ていきます。
法人の設立が必要な理由
一般貨物自動車運送事業の許可を得るには、法人格を持っていることが基本条件です。個人事業主では原則として申請できません。これは事業の継続性・安定性が求められるためであり、資本金や組織構成などを通じて社会的責任を果たせる体制が必要とされるためです。
たとえば株式会社や合同会社を設立して登記し、定款に「貨物運送業」を含めておくことで、許可申請の土台が整います。設立後は事業開始までに所定の準備を整える必要があります。
営業所に関する要件
営業所とは事業の指令・管理を行う拠点です。単なる倉庫や駐車場では代用できません。ここでは電話やPCが常設され、運行管理者が常駐できるような環境が求められます。さらに、用途地域が商業地域や準工業地域など、運送業の営業活動が可能な場所であることも重要です。自治体によっては用途制限の厳しい地域もあるため、賃貸前に調査することをおすすめします。
参考記事:運送業の営業所新設|事務所・休憩室・睡眠施設と駐車場の要件
車庫に関する要件
車庫は営業所から直線距離で10km以内である必要があります。さらに、使用するすべての車両を無理なく収容できる広さが必要です。出入口の幅や車路の確保などもチェックされます。
一例として月極駐車場を車庫として使いたい場合、契約書に「運送業用途での使用が可能である」ことが明記されていなければ認められないことがあります。見落としやすいポイントなので注意しましょう。
参考記事:運送業許可|駐車場(車庫)の要件の疑問を解消!市街化調整区域etc
車両に関する要件
許可を取得するには、最低でも営業ナンバー(緑ナンバー)を付けられる車両を5台以上所有またはリースしていることが求められます。この車両数は、運送業を安定して運営するための最低基準として定められています。
たとえば中古トラックをまとめて購入するケースもありますが、その際は整備状況や年式に注意しましょう。古すぎる車両は審査で不利になることがあります。
運行管理者の配置義務
運行管理者は、運転手の勤務時間・休憩・運行ルートなどを管理する責任者です。国家資格を有している必要があります。常勤で営業所ごとに1名以上配置しなければなりません。
例として、社内に有資格者がいない場合は、外部の講習を受けて資格取得を目指すか、採用によって確保する方法があります。無資格者による代行は認められていないため、注意が必要です。
参考記事:運行管理者とは?試験や基礎講習、役割と業務内容についても解説
整備管理者の配置義務
整備管理者は、車両の安全性を維持するための整備・点検の計画と実施を管理します。整備士資格または実務経験があることが条件です。もし社内に該当者がいない場合、専任として外部から招く必要があります。整備管理者の不在は許可取得の重大な妨げになるため、申請前に必ず確保しておきましょう。
参考記事:運送会社の整備管理者とは?選任の要件や仕事内容を解説
財務基準と資金要件
運送業は設備投資・人件費・維持費など初期費用が大きい事業です。そのため、一定の資金力があることが審査で求められます。目安としては、自己資金が500万円以上あることが望ましいとされています。
資金の出所についても明示が必要で、銀行残高証明や出資金証明などの書類が必要となります。借入を含む資金調達をする場合は、返済計画書なども求められることがあります。
欠格事由の具体例
申請者が過去に重大な法令違反を犯していた場合、たとえ他の要件を満たしていても、許可が下りないことがあります。これを「欠格事由」と呼びます。
過去5年以内に運送業の許可取り消し処分を受けた法人の役員だった場合や、禁錮以上の刑を受けて執行が終わっていない場合などが該当します。自社の関係者が該当しないか、事前にしっかり確認しておきましょう。
許可申請から取得までの流れ
申請に必要な要件を満たしたら、次は実際の手続きに入ります。申請前の相談から許可取得後の対応まで、流れに沿って順番に解説します。
事前相談の重要性
許可取得をスムーズに進めるためには、申請前に「管轄の運輸支局」で事前相談を行うことが重要です。この場で申請者が要件を満たしているか、提出すべき書類の確認を受けることができます。
車庫の位置が基準に適合しているか不安な場合、事前相談で地図や賃貸契約書を提示すれば、その場で判断を仰ぐことができます。書類をそろえて提出後にNGが出てしまうと大幅な手戻りになるため、必ず相談の時間を取りましょう。
申請書類の準備と内容
許可申請では、多数の書類を提出する必要があります。主なものは以下のとおりです。
- 事業計画書(運送区間や輸送品目の記載)
- 定款と登記事項証明書
- 営業所・車庫の使用権限を示す書類(賃貸契約書など)
- 車両一覧表・車検証のコピー
- 運行管理者・整備管理者の資格証明書
- 財務状況を示す書類(貸借対照表、資金計画書)
申請書類の提出先と方法
申請書類は、営業所の所在地を管轄する地方運輸局または運輸支局に提出します。原則として窓口での提出となりますが、事前予約が必要なケースもあります。
たとえば、東京都内であれば「東京運輸支局」が提出先となります。窓口では書類の形式だけでなく、内容についてもチェックされることがあり、担当官とのやり取りが発生する場面もあるため、書類の控えを持参しておくと安心でしょう。
許可交付後に行う手続き
審査を無事に通過すると、許可証が交付されますが、これで終わりではありません。営業を開始する前に、以下のような手続きが必要です。
- 登録免許税(12万円)の納付
- 営業開始届の提出
- 運輸支局からの事業開始報告書提出
- 運送事業用ナンバー(緑ナンバー)の取得
例として、許可証の交付日から2ヶ月以内に事業を開始しない場合、許可が失効するリスクもあるため、スケジュール管理は非常に重要です。
許可取得までにかかる期間
弊社シフトアップが運送業許可取得のご依頼をいただくときに、必ず質問をいただく「運送業許可取得までの期間と期限・更新の有無」についてご説明いたします。
初めてのご相談から運送業が開始できるまでの期間
弊社シフトアップのお客様では、初めてのご相談から運送業許可が取れるまでの期間は平均して約6か月です。長いと1年かけて運送業を始める方もいらっしゃいます。
非常に長いと感じる方も多いかと思いますが、それだけ運送業許可申請の難易度が高いということです。「どこにそんなに時間がかかるの?」と思った方のために、初めてのご相談から運送業を始めるまでの期間を分解してご説明していきます。
初回のご相談から運送業許可申請受付までの期間
初めて運送業許可取得のご相談を受けてから運送業許可申請の受付ができるまでの期間は、早い方で1か月。遅いと半年以上かかる方もいらっしゃいます。弊社シフトアップのお客様の平均値は約3か月です。
初回ご相談時に、営業所や駐車場の場所が決まっており、運送業許可の要件をクリアできる場所であれば早く申請書類作成が進められます。ですが、これから営業所・駐車場の候補地を探すという方の場合は、候補地探しにかなりの時間を要する可能性が十分にあります。
特に、候補地を探すのに時間がかかる可能性が高いのは駐車場です。運送業に使用できる駐車場はそもそも数が多くありません。そのため、お気に入りの駐車場を探すには相当の時間がかかります。都市部へ行くほどこの傾向は強くなります。
例えば、愛知県の場合は自動車メーカーのトヨタ本社近隣の市町村では、なかなか運送業に使用する駐車場が見つかりません。
なぜなら、トヨタで製造される部品を運ぶ仕事が多いため、近隣の駐車場は多くの運送会社がすでに押さえています。
トヨタ本社近隣の豊田市、刈谷市、安城市などはなかなか駐車場が見つかりません。弊社シフトアップのお客様では豊田市、刈谷市、安城市と地域を広げて駐車場を探しながら、半年かけてようやく見つかったというお客様も少なくありません。
ですから、地元の大手製造業などがある地域の方は、駐車場探しにかなりの時間を要する可能性があることも考慮してください。
また、運送業許可申請の受付をするには、申請書類を作成する必要があります。申請書類の作成には、個人事業主や法人役員様の履歴書、車両の仕様権限を証明する書類など多種多様な書類をお客様に揃えていただきます。
申請者様お一人で書類の収集を行う場合は、どうしても申請に必要な書類が揃うのまでの期間が長くなります。なぜなら、運送業許可を取るまでの間、別の事業をやっているため、なかなか時間が取れないという方が多いからです。
対して、申請者様以外に書類を揃えてくれる方がいる場合や、比較的時間があるという申請者様の場合は書類が揃う期間が早い傾向にあります。
ポイント
書類の準備や駐車場の選定などに時間がかかり、ご依頼から申請の受付までにかかる期間は平均して3か月。計画的に準備をしましょう。
法人を作ってから運送業を始める場合は会社設立までの期間を加味する
運送業許可を取るに当たって会社を作るという方は、会社設立までの期間を考慮しなければいけません。法人設立までの期間は平均して1か月です。ですので、初めてのご相談から運送業開始までにかかる期間6ヶ月に、会社設立の期間約1か月をプラスして考える必要があります。
法人を設立する場合は、会社の名称を決めたり、取締役の数、どこを会社の住所(本店所在地と言います。)にするか、資本金をいくらにするか、定款に記載する事業目的を何にするかなど決めるべき事項がたくんさんあります。
必要事項を決定したら、次は定款認証という作業を行い、その後資本金を振込み、法務局へ法人設立申請をします。申請から設立までは早くて約10日、遅いと3週間ほど必要です。ですから会社設立に必要な事項を決める期間と法人設立が完了するまでの期間を併せると平均して1か月です。
初めてのご相談から運輸開始までの期間まとめ表
法人を「設立した場合」と「設立していない場合」とで、初回のご相談から運輸開始までの期間をわかりやすく表にまとめると以下のようになります。
※下記の数値はすべて平均値です。
【法人を設立した場合】トータル6か月
| - | 区分 | 期間 |
| ① | 初めてのご相談から申請受付まで | 2か月 |
| ② | 申請受付から許可取得まで | 3か月 |
| ③ | 許可取得から運輸開始まで | 1か月 |
【法人を設立していない場合】トータル7か月
| - | 区分 | 期間 |
| ① | 会社が設立できるまで | 1か月 |
| ② | 初めてのご相談から申請受付まで | 2か月 |
| ③ | 申請受付から許可取得まで | 3か月 |
| ④ | 許可取得から運輸開始まで | 1か月 |
運送業許可を取るまでの期間を理解したら考えるべきこととは?
運送業許可を取るまでの期間を把握したら、次に決めることは「いつまでに運送業を始めたいのか」です。
初めての誤送んだんから実際に運送業を始めるまでの期間は平均6ヶ月。会社設立も行う場合は7か月。ここから逆算していつから準備しないといけないかを決めるようにしてください。
例えば、会社設立なしで8月初めに運送業を開始したいのであれば
- 初回相談:2月
- 運送業に必用な書類の準備:2月~4月の間にすべて揃える
- 運送業許可申請から許可取得:8月
- 運輸開始:8月初旬
このようなスケジュール感が必要です。弊社シフトアップへご相談いただくお客様の多くは、実際に運送業を開始したい月が、初めてのご相談から半年以上先の場合は、ゆっくり準備を始めれば良いとお考えです。
しかし、実際のスケジュール感をお伝えすると、すぐに準備を始めないといけないというお話になります。思っているよりも、初回相談時から運送業を開始するまでの期間は長いということを憶えておいてください。
許可取得に必要な費用
申請手数料の金額
許可申請には、登録免許税として12万円の費用が発生します。
行政書士への依頼費用の相場
おおよそ10万〜30万円が一般的な相場です。
その他の初期費用の内訳
| 費用項目 | 金額の目安(円) | 説明例 |
|---|---|---|
| 営業用車両(5台) | 500万〜1,000万 | 中古トラックの購入またはリース |
| 車庫の賃貸費用 | 月10万〜30万 | 立地や面積により大きく変動 |
| 営業所の整備費 | 50万〜150万 | 内装・事務設備・看板など |
| 保険・税金 | 20万〜50万 | 車両保険・自動車税等 |
| 登録免許税 | 12万 | 法定費用(固定) |
許可取得のための資金調達
日本政策金融公庫の制度融資
無担保・無保証人で借入ができる「新創業融資制度」などが利用可能です。金利は通常1.5〜2.5%程度、自己資金は全体の10%以上を保有していることが望ましいです。
地方自治体の補助金制度
営業所の改装費やIT機器導入などに対して補助が出る場合があります。たとえば東京都の「創業助成事業」などが挙げられます。
運送業許可の5年更新制について
運送業許可は、これまでは一度取得したら更新する必要はありませんでした。
しかし、2025年6月4日に「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律案(通称:トラック新法)」により、トラック運送業許可に5年更新制が導入される方針が打ち出されました。これまでは一度許可を取れば、大きな違反がない限り「一生モノ」の資格でしたが、今後は5年ごとにチェック(更新審査)をクリアしなければ事業を継続できなくなります。
一般貨物自動車運送事業の許可に対する5年更新制については以下の記事で詳しく解説しておりますのでご参考ください。
参考記事:トラック運送業の5年更新制とは?制度の概要・施行の狙い・物流業界への影響を解説
想定される更新のタイミングと申請スケジュール
以下は更新の申請受付のタイミングと申請のスケジュールを予想です。
- 許可満了日の3か月前から申請受付開始
- 遅くとも満了日の1か月前までに申請が必要
更新審査で重視される可能性があるポイント
以下は更新審査で重視される可能性があるポイントをまとめました。
- 営業報告書・帳簿の提出状況
- 財務健全性
- 所定の人員配置
- 行政処分歴とその改善状況
許可取り消しにつながる典型的な違反行為
- 名義貸し:発覚すれば即時の許可取消処分につながる可能性が高いです。
- 違法な運送行為:白ナンバー車両による有償運送など。
- 帳簿不備・報告義務違反:日報・点呼記録の不備など。
白ナンバー運送のリスク
白ナンバーと緑ナンバーの違い
- 白ナンバー:自家用車両。自社の荷物を運ぶための車。
- 緑ナンバー:営業用車両。他人の荷物を運び報酬を得るための車。
白ナンバーでの営業運送は「無許可営業」として摘発の対象となります。
行政書士に依頼すべきケース
自力申請が難しい場合(時間がない、制度が理解できない等)は専門家への依頼が有効です。行政書士法人シフトアップでは、業界水準より約10%お値打ち価格でサポートしております。
まとめ
運送業許可を取るまでの期間については、会社設立しない場合で平均6ヶ月。会社設立をすれば平均7か月の長期間に渡ります。
運送業を開始する時期が遅れると、荷主に迷惑をかける場合も出てくるかと思います。いつまでに運送業を開始したいのかを決めて準備に取り掛かるようにしてください。
なお、運送業許可の要件や流れを詳しく知りたい方は「【運送業許可とは】種類/必要不要/要件/流れ/費用/期間すべて解説」の記事をあわせてチェックしてください。
運送業許可に関してご不明な点や、聞いてみたいことがあるという方は、年間相談件数860件超えの運送業専門事務所「行政書士法人シフトアップ」へお気軽にご相談ください。

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