荷物を輸送することで成り立つ運送業界では、トラックの運行を止めることはできませんが、別の視点からであれば環境問題に取り組むことができます。
業界全体で持続可能な輸送体制を構築し、環境保護に寄与することを目指す取り組みとして、「トラック運送業界の環境ビジョン2030」が策定されました。
本記事では、トラック運送業界が掲げる具体的な目標や施策、そしてそれを実現するための具体的な取り組み内容について、わかりやすく解説します。
トラック運送業界の環境ビジョン2030とは?
「トラック運送業界の環境ビジョン2030」とは、2030年度を目標に、運送業界でカーボンニュートラルを目指す取り組みです。
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡にすることを指します。
具体的には、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出を可能な限り削減しながら、削減できなかった分を植林による吸収で差し引いて、全体としてゼロにします。
荷物の輸送を生業とする運送業では、トラックの運行を止めることはできませんが、別の視点からCO2の排出量を減らすことは可能です。
業界全体で持続可能な輸送体制を構築し、環境保護に寄与することを目指す取り組みとして、本ビジョンが策定されました。

トラック運送業界の環境ビジョン2030の内容
トラック運送業界の環境ビジョン2030では、各事業者が率先して取り組めそうなものを選んで実践できるように、施策を以下の3つに分類し、具体的な内容を定めています。
- 運送事業での取り組み
- 運送事業以外での取り組み
- その他の取り組み
①運送事業での取り組み
運送事業での取り組みには、以下のようなメニューが定められています。

出典:全日本トラック協会「トラック運送業界の環境ビジョン2030」
②運送事業以外での取り組み
運送事業以外で取り組むべき対策には、以下のようなメニューが定められています。

出典:全日本トラック協会「トラック運送業界の環境ビジョン2030」
③その他の取り組み
その他の取り組みには、以下のようなメニューがあります。

出典:全日本トラック協会「トラック運送業界の環境ビジョン2030」
トラック運送業界の環境ビジョン2030が掲げる目標
一般的に、トラックの輸送量が増えると燃料使用量(CO2排出量)も増加しますが、輸送量は経済情勢や景気に影響されるため、事業者が管理することはできません。
しかし一方で、輸送量1トンあたりの燃料使用量(CO2排出原単位)は、エコドライブや輸送効率化などで操作可能です。
このことから、経団連の行動計画では、運送業界のCO2排出原単位を、2030年までに2005年度の31%減らすことを目標に掲げました。
この目標は、業界で統一されたものとして、「トラック運送業界の環境ビジョン2030」のメイン目標にもなっています。
なお、カーボンニュートラルを達成するためには、運送事業者、全日本トラック協会、都道府県トラック協会が一体となり、明確な目標に向かって取り組むことが必要不可欠です。
そのため本ビジョンでは、この取り組みを業界全体で進めるために、メイン目標に加え、以下3つのサブ目標が設定されています。
- 8t以下の車両の電動車の割合を10%にする
- 自社車両のCO2排出総量または排出原を把握する
- 行動月間を設定する
ここからは、それぞれのサブ目標の内容を詳しく解説します。
① 8t以下の車両の電動車の割合を10%にする
1つ目には、「総重量8t以下の車両の電動車保有台数を10%とする」という目標が掲げられています。
これは、政府の「グリーン成長戦略」における社用車の目標を満たすために設定された目標で、具体的には、全日本トラック協会が、都道府県別のハイブリッドトラックや、EVトラックなどの保有台数を毎年把握し、公表します。
② 自社車両のCO2排出総量もしくは排出原を把握する
2つ目の目標は、「各事業者が自社車両のCO2排出総量もしくは排出原単位を把握する」というものです。
全日本トラック協会が提供する計算ツールを使用し、自社のCO2排出量の現状を把握します。
③ 行動月間を設定する
サブ目標の中には、「全日本トラック協会と全都道府県トラック協会が共通で取り組む行動月間を設定する」というものもあります。
具体的には、国などが定めた月間設定に合わせて、全国のトラック協会でイベントや広報活動を実施します。
例えば、環境月間である6月には、緑化や省エネ、ゴミの減量など環境保全に係るすべての活動が対象です。なお、各都道府県の実施内容は、全日本トラック協会のホームページで公表されます。
まとめ
「トラック運送業界の環境ビジョン2030」は、運送業界全体でカーボンニュートラルを目指すための取り組みです。
CO2排出量の削減を主な目標とし、運送事業の効率化やエコドライブ推進、電動車の導入など、様々な施策を掲げています。
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