「埼玉県で運送業を始めたいけど、何から手を付ければいいかわからない」
「許可申請はどのように進めたらいいの?」
と疑問に思っている方のために、本記事では埼玉県で運送業許可を取る方法を一から解説します。
許可取得までの流れや必要書類についても詳しく解説していくので、これから運送業を始めたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
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トラック運送業を始めるには一般貨物自動車運送事業の許可を取る
トラック運送業をはじめるには、国土交通大臣または地方運輸局長から、一般貨物自動車運送事業の許可を得る必要があります。
埼玉県内に営業所を構えるなら、埼玉運輸支局に申請をおこなうことになります。
申請書の作成や法令試験など、するべきことは多くありますが、まずは許可申請に当たって満たすべき要件を確認していきましょう。
許可に必要な要件(条件)
運送業の許可を得るために必要な要件は、大きく分けて以下の4つです。
- 営業所の確保
- 車庫
- 資金の確保
- 運行管理体制
順番に解説していきます。
営業所の確保
まずは、運送業を営む「営業所」を確保する必要があります。
物件は自己所有でも賃貸でも、どちらでも問題ありません。
しかし、以下の書類で使用権限を証明する必要があります。
- 自己所有の場合:発行後3ヶ月以内の登記簿謄本など
- 賃貸の場合:契約期間2年以上の賃貸借契約書など
なお、賃貸契約が2年未満であっても満了時に自動更新されるのであれば、使用権限があるものだとみなされます。
加えて、都市計画法や建築基準法、農地法などの法令に違反しない場所かも調べなければなりません。
また、広さはおおよそ10㎡以上あるか、10㎡未満のものについては机や椅子、電話などの設備を有しているかも確認しましょう。
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営業所に車庫が併設されていること
原則、車庫は営業所に併設されなければなりません。
併設できない場合は、営業所から10km以内(埼玉県の場合)の場所に設置する必要があります。
また、トラックが車庫に出入りするのに十分な幅があり、前面道路との関係において車両制限令に抵触していないことも要件の一つです。
資金の記載をしているか
許可申請の際には、運送業を始めるための資金と、事業開始後の当面の資金があることを証明する必要があります。
経営許可申請書に「事業開始に要する資金及び調達方法」という項目があるので、そこに具体的な数字を記載します。
所要資金は、大きく分けて次の6つに分類されます。
- 車両費
- 建物費
- 土地費
- 保険料
- 各種税
- 運転資金
また、所要資金以上の資金が、申請日から許可取得日まで常時確保されている必要があります。
運行管理体制ができているか
事業者は運営を適正に行うために、運行管理体制を整える必要があります。
運送業許可を得るためには、最低でも「運行管理者1名」+「運転者5名」の合計6人が必要です。
なお、ここでいう運転者は、日々雇い入れられる者や、2ヶ月以内の期間を定めて雇用される者、試用期間中の者以外でなければ認められないため注意してください。
また、上記の他に「整備管理者」も確保する必要があります。
ただし、整備管理者は運行管理者や運転手と兼務できるため、整備管理者の選任資格があれば、別で人材を確保する必要はありません。
許可が不要な場合もある
運送業を始めるには許可が必要ですが、場合によっては許可を取らなくていいケースもあります。
- 自社の荷物を運ぶ場合
- 軽自動車で荷物を運ぶ場合
- 二輪自動車(125cc超え)を使って荷物を運ぶ場合
自社の荷物を運ぶ場合は運賃は発生しないので、運送業の許可を取る必要はありません。
また、運賃が発生する場合であっても、軽自動車や二輪自動車(125cc超え)を使って荷物を運ぶ場合は運送業の許可は不要です。
代わりに、「貨物軽自動車運送事業経営届出」を提出する必要があります。
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埼玉県で一般貨物自動車運送事業の許可申請をするまでの流れ
埼玉県で一般貨物自動車運送事業の許可申請をおこなう流れは以下のとおりです。
- 許可申請書を作成
- 埼玉運輸支局の担当窓口に申請
- 許可申請書の審査
順番に解説していきます。
①許可申請書を作成
前述した要件にクリアしていることが確認できたら、許可申請書の作成と送付書類の収集をおこないます。
②埼玉運輸支局の担当窓口に申請
申請書の作成が完了したら、送付書類と共に、営業所を管轄する埼玉運輸支局の担当窓口に提出します。
③許可申請書の審査
埼玉運輸支局で審査がおこなわれた後、支局を統括する関東運輸局で再度審査されます。
一般貨物自動車運送事業の標準処理期間は、4~5ヶ月程度です。
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埼玉県(関東)の運送業許可審査基準
運送業許可申請の審査は、前述した要件に加え、以下の項目を基準におこなわれます。
- 事業計画が、事業用自動車とその他の輸送の安全を確保するために適切であるか
- 車両数や車庫の規模などは事業を継続しておこなうために適切な計画か
- 事業を継続するための経済的基礎や能力が備わっているか
簡単にまとめると、事業計画・車両台数・車庫の規模は適切か、所要資金が十分にあるか、の2点が審査の主な基準になります。
参考資料:新規許可申請の処理方針(許可の審査基準)|埼玉運輸支局
埼玉運輸支局で実施している法令試験とは?
運送業の許可を得るためには、申請後に実施される「役員法令試験」に合格する必要があります。
役員法令試験は、輸送の安全を確保するために必要な法的知識を事業者が備えているかを判断するためにおこなわれます。
運送業に専従する役員が取得必須
法令試験は、運送業に専従する役員が受験する必要があります。
ちなみに役員=執行役員ではなく、登記された役員でなければならないため注意してください。
試験の難易度
出題形式はどの地方運輸支局でも基本的に同じですが、問題や傾向はそれぞれで全く異なります。そのため、地域によって難易度にばらつきが見られることもあります。
関東運輸局では、以前は合格率30%台のときもありましたが、令和4年の5月以降は60%以上と高くなっています。
試験日程 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
令和3年5月 | 94 | 70 | 74.5 |
令和3年7月 | 90 | 51 | 56.7 |
令和3年9月 | 88 | 42 | 47.7 |
令和3年11月 | 108 | 69 | 63.9 |
令和4年1月 | 88 | 59 | 67.0 |
令和4年3月 | 66 | 39 | 59.1 |
令和4年5月 | 73 | 55 | 75.3 |
令和4年7月 | 57 | 38 | 66.7 |
令和4年9月 | 77 | 48 | 62.3 |
令和4年11月 | 78 | 54 | 69.2 |
令和5年1月 | 66 | 44 | 66.7 |
参考元:国土交通省 関東運輸局
かといって、誰でも受かる試験ではないため、過去問を繰り返し解くなどして勉強する必要があります。
役員法令試験の受講者向けセミナーも開催されているので、不安な場合は参加すると安心でしょう。
2回不合格で許可申請却下される
1回目の法令試験に合格できなかった場合は、翌々月に再試験を受けられます。
ただし、再試験にも不合格になってしまった場合は、運送業の許可申請自体を取り下げられてしまうため注意が必要です。
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埼玉運輸支局の法令試験に合格した後の流れ
役員法令試験に合格した後は、以下のような流れで許可申請が進みます。
- 残高証明の再提出
- 許可連絡
- 登録免許税の納付
- 労働保険や社会保険などの手続き
- 営業前の届け出
順番に見ていきましょう。
①残高証明の再提出
申請時に提出した残高証明書の再提出が求められるので、営業所を管轄する埼玉運輸支局へ再度提出します。
このとき、1度目よりなるべく金額が下回らないようにしてください。
また、申請書の内容に不備がある場合は同じタイミングで補正依頼が入るので、そちらも忘れずに対応しましょう。
②許可連絡
残高証明書の再提出と補正が完了すると、数日後に許可の連絡がきます。
その後、営業所を管轄する埼玉運輸支局で、運送業許可証の交付式がおこなわれます。
③登録免許税の納付
運送業許可証の交付と同時に、登録免許税12万円の納付書が渡されます。
許可を取得してから1ヶ月以内に、銀行・郵便局・法務局のいずれかで納付しましょう。
※コンビニでの納付はできません。
また納付が完了したら、領収書を「登録免許税領収書届出書」に貼り付けて運輸支局へ送付することも忘れずにおこないましょう。
④労働保険や社会保険などの手続き
労働保険や社会保険に加入義務がある従業員を、各種保険に加入させます。
基本的に、法人の役員・パート・アルバイト以外の従業員に加入義務があります。
それぞれの届出先は、以下の通りです。
- 労働保険(労災、雇用保険):管轄する労働局
- 社会保険(健康、厚生年金保険):管轄する日本年金機構事務所
⑤営業前の届け出
運行管理者と整備管理者を運輸局で登録してもらうために、「運行管理者選任届」と「整備管理者選任届」を必要書類と共に提出します。
その後、「運輸開始前届」を提出します。
運輸開始前届の提出には、以下の書類の写しを送付する必要があります。
- 運行管理者・整備管理者の選任届出書
- 社会保険・労働保険加入の証明
- 36協定書
- 運転者の免許証
これらの届出が問題なく受理されたら、営業ナンバーの登録や運賃の設定をおこない、晴れて運送事業者の仲間入りです。
運送業許可の詳しい流れについては以下の記事で解説しているので、ぜひ合わせてお読みください。
トラック運送事業者の原油価格高騰に対する緊急支援とは
埼玉県では、原油価格高騰の影響を受けるトラック運送事業者に対して、支援金を交付する制度が設けられています。
交付の対象となるのは、令和4年9月1日において、埼玉県で貨物自動車運送事業法に規定されている事業許可または届出を受けた事業者です。
小型・普通自動車(緑ナンバー):1台につき30,000円
軽自動車(黒ナンバー)・オートバイ(緑ナンバー):1台につき10,000円
令和4年12月1日(木)~令和5年2月24日(金)
※現在は終了しています。
参考資料: 埼玉県トラック運送事業燃料価格高騰支援金事業|埼玉県庁
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自力で許可を取れないこともありませんが、多くの時間と労力が必要になります。
手間なく、早く、確実に許可を取りたい方は、運送業許可を専門に取り扱う事務所に依頼するのがおすすめです。
まとめ
本記事では、埼玉県で運送業許可を取得する方法について解説しました。
要件や必要書類が多く、許可申請の流れを見ただけで自分は許可を取得できるだろうかと不安になる方もいるでしょう。
そのような場合は、ぜひ弊社シフトアップにご依頼ください。
要件の確認から必要書類の収集、書類の作成まで、とことんサポートします!
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