車両制限令と道路幅員証明の違い

コラム

車両制限令・幅員証明と道路の関係が理解できる

行政書士法人シフトアップ 代表社員 川合智

川合 智

運送業許可など自動車系許認可の専門行政書士法人です。運送業、貸切バス、介護タクシー、産廃収集運搬などの許可をメインとしています。組織力でお客様の課題解決に当り、北海道から沖縄まで全国からご依頼いただいております。
【保有資格】行政書士【商工会議所】名古屋商工会議所【著書】 トラック運送業の運輸局監査対策行政書士のための運送業許可申請のはじめ方

トラック運送業を始めるために必ず必要なのが車両を駐車する車庫。その車庫を選ぶ際、さけて通ることができないのが道路幅員と車両制限令です。

道路幅と車両制限令や幅員証明という言葉を聞いたことがあっても、具体的な違いや注意点をくわしく知らないという方も多いのではないでしょうか。

この記事では、そんな疑問を分かりやすく解説していますのでぜひ最後までご覧ください。まずは、車庫の前面道路の条件から見ていきましょう。

 

トラック運送業における車庫の前面道路の条件

トラック運送業の車庫選びにおいて車庫の出入口前の道路幅が狭くて、なかなか車庫が決まらないという方が非常に多いのが現実です。

なぜなら、出入口前面道路の幅は、自動車より大きければ物理的には通行できますが、運送業の許可を取るためには「車両制限令または道路幅員証明」と呼ばれる許可を取る必要があるからです。

車両制限令・幅員証明では、車庫出入口の前面道路がトラック運送業で使用する車両に対して十分な幅があることを証明するために、道路を管轄する市や県などから許可を取ることになります。

道路の種類によって、許可を取るべき関係機関が異なりますので、間違った機関に書類を提出することのないよう、道路の種類と許可取得先の違いについて見ていきましょう。

 

前面道路が公道の場合

車庫の前面道路が公道の場合は、「車両制限令」または「道路幅員証明」の取得が必要となります。公道とは、国や地方自治体が管理する道路のことです。国道の場合は車両制限令・幅員証明の取得は必要はなく、都道府県道・市町村道の場合は取得が必要となります。

 

前面道路が私道の場合

前面道路が私道の場合は、「通行承諾書」と、私道が最初に接する公道の幅員証明または車両制限令を取得します。私道とは、個人や企業、組合などの任意団体などが所有している道路のことです。

私道の通行は管理者や団体によっては非常に承諾が煩雑となる場合があるため、通行承諾書の取得は運送業に詳しい行政書士に依頼する方がいいでしょう。

 

道路幅員証明と車両制限令の違い

ここまでの説明を読んで「道路幅員証明と車両制限令の違いは何なのか」と疑問に思われる方がいるかもしれません。それぞれの違いについて下記で解説します。

 

車両制限令とは

車両制限令とは、道路法第42条第1項に基づき、道路構造の保全または交通の危険を防止するため、通行できる車両の幅、総重量、隣接軸重(けん引車の場合のみ)、高さ、長さ、最小回転半径を定めた政令そのものをさします。

所定の様式の書類と添付資料を併せて道路を管轄する県あるいは市区町村役場へ提出することで取得可能です。書類の受理から車両制限令が出るまでは1週間~2週間かかります。

車両制限令では、指定した道路を指定した車両が通行(駐車)できるか否かの判断が下されます。

 

道路幅員証明とは

道路幅員証明とは、車庫に収容する車両が車両制限令に違反していないことを確認するために、車庫出入口前の道路の幅を証明するものです。

道路幅員証明も道路を管轄する県あるいは市区町村役場へ所定の様式の書類と添付資料を併せて提出します。

幅員証明が出るまでの期間は提出先によって変わり、3日~14日ほどです。

道路幅員証明は車両制限令と違い、指定した場所で指定した車両が通行できるか中の判断が下されるわけでなく道路の幅員が何メートルなのかの回答が来るにとどまります。

そのため、道路幅員証明の場合は、車庫に駐車する予定の緑ナンバー車両が通行できる道路の幅があるかしっかり確認して対応してください。

 

道路幅員と車両制限令の関係

運送業に欠かせない車庫において、特に出入口は危険をともなう場所なのは言うまでもありません。例えば、反対車線にトラックの頭をはみ出して切り返さないと、車庫に出入りすることができないとしたら、反対車線にはみ出すたびに事故の危険性が高まってしまいます。

そのため、運送業に使用する車庫の出入口が、交通安全上問題ないことを示すために、車両制限令があり道路幅員証明を取得する必要があるのです。

運送業許可|駐車場(車庫)の要件の疑問を解消!市街化調整区域etc」も併せてお読みください。

 

車両制限令と道路の種類

車両制限令で規定する道路は、大きく2種類あります。それは

  1. 市街地区域の道路
  2. 市街地区域外の道路

です。それぞれ通行可能車両の幅の違いがあるので以下で確認していきましょう。

 

市街地区域の道路

都市計画法の定義では、「すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」を市街地区域といいます。

 

市街地区域外の道路

上記の都市計画法の定義から外れた地域のことをさします。両者を比較すると、交通量が多い市街地区域の方が規定は厳しくなっています。

 

車両と通行できる道路の幅の関係

車両制限令・幅員証明が取れるかどうかの当たりをつけるには、まず使用したい車庫の出入口がある前面道路の幅員と予定している車両の最大幅を確認します。

その後、車両制限令に照らし合わせて、道路幅員が十分なのかどうかをチェックをしましょう。通行可能車両幅の考え方は下記の通りです。

 

市街地区域の場合

(道路幅員-0.5m)÷2=可能車両幅

 

市街地区域で駅前、繁華街など歩行者が多い場合

(道路幅員-1.5)÷2=可能車両幅

 

市街地区域外の場合

道路幅員÷2=可能車両幅

 

まとめ

トラック運送業を営む場合、車庫の前面道路の問題は絶対に避けられない課題です。道路幅員と車両制限令という言葉を初めて聞くと少し難しく感じるかもしれませんが、実際の計算方式はとてもシンプルなので、必要以上に身構える必要はありません。

しかし、道路幅員が足りずに車庫選びでつまずき、トラック運送業の許可申請に苦労される方が多いことも事実です。少しでも心配な方や、スムーズな許可申請を望まれる方は、プロに頼る方が安心でしょう。

「行政法人シフトアップ」では、車庫候補地が申請可能か的確にジャッジしますので、お気軽にご相談ください。

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