コラム

運輸安全マネジメント制度とは?整備管理者との連携や最新ルール

運輸安全マネジメント制度とは?整備管理者との連携や最新ルール

運送事業者に求められる安全基準は年々厳しくなってきています。

平成18年に国土交通省から発令された運輸安全マネジメント制度は、国土交通省と運輸事業者が一体となって安全確保に取り組む大きな改革でした。

この記事では、運輸安全マネジメント制度について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

まずは、運輸安全マネジメント制度の概要と発令の背景について解説します。

運輸安全マネジメント制度とは?

運輸安全マネジメント制度とは、運輸の安全性の向上を目的に国土交通省が平成18年10月に導入した制度です。運送事業者の中で一定規模以上のものに安全統括管理者を選任することと、安全管理規程の制度が義務付けられました。

これにより、経営トップのリーダーシップのもと、全社一体で安全管理体制を構築することを推進。その安全管理体制について、国土交通省が運輸事業者の取り組み状況を確認し、必要な助言などを行なう(これを「運輸安全マネジメント評価」と言います)制度です。

この取り組みにより、「ヒューマンエラー」を起因とする事故をなくし、安全な運輸事業の構築を目指しています。

 

導入理由はヒューマンエラーによる事故の多発

運輸安全マネジメント制度を導入するキッカケとなったのは、平成17年に連続して起こったヒューマンエラーを起因とする事故です。

具体には、JR西日本福知山線列車脱線事故、東武鉄道伊勢崎線の踏切事故、磐越鉄道バス横転事故、フェリー「なるしお」の防波堤衝突、新千歳空港や小松飛行場等の客室乗務員非常口の操作忘れと、ヒューマンエラーが原因の事故やトラブルが多発しました。

輸送の安全確保は、運輸事業の根幹であり、利用者である国民に信頼される輸送サービスの実現になくてはならないものです。

輸送の安全確保に対して、各交通モードの事業法にもとづく保安検査に加えて、運輸事業者の経営トップから現場まで一体となって安全管理に取り組む体制を目指して導入されました。

 

JR福知山線の列車脱線事故の死者107名、負傷者582名

中でも国民に衝撃を与えたのが、JR福知山線の列車脱線事故です。平成17年4月25日午前9時18分ごろ、塚口駅~尼崎駅間を走っていた快速列車がカーブで脱線し、線路沿いのマンションに衝突。

先頭1~2両目は原形をとどめないほどに大破し、死者107名、負傷者582名という甚大な被害をもたらしました。この事故の原因は、ブレーキ操作の遅れによりカーブで曲がり切れずに脱線したものです。

こうしたヒューマンエラーによる事故やトラブルが多発した背景に、安全意識・安全風土の低下があったのではないかと考えられ、運輸安全マネジメント制度の導入にいたりました。

 

運輸マネジメント制度の導入(2006年10月)

安全意識・安全風土の低下はどのようにして起こってしまったのでしょうか。国土交通省は、経営層と現場および部門間の意思疎通や情報共有が不十分であること、経営陣の安全確保に対する関与が不十分であることを課題とし、新たな安全確保の取り組みを求めることになりました。

従来の行政手順は、技術基準などの安全規制(車両や施設などに関する基準や事業参入時の基準の設定)と、保安監査(基準を満たしていない場合は行政処分)という2軸。

この2軸にプラスされたのが、運輸マネジメント制度です。平成18年10月には、運輸安全一括法を施行し、安全管理規定の策定・届出や安全統括管理者の選任・届出は義務となり、国土交通省から運輸事業者へのチェック体制も強化されました。

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運輸安全マネジメントに欠かせない6つの項目

それでは、運輸安全マネジメント制度には、どのような項目があるのでしょうか。6つの項目の内容を見ていきましょう。

 

①経営トップの安全への主体的関迎・責務遂行

ヒューマンエラーが多発した背景に、安全意識・安全風土の低下があったと考えられました。経営陣の安全確保に対する関与が不十分であるとして、経営トップが自らリーダーシップをとって会社全体の安全管理の意識の向上に努めるという項目です。

 

②安全方針・重点施策の策定と実施

会社における安全方針・重点施策を構築し、実施・改善に取り組むという項目です。

 

③経営トップと現場とのコミュニケーションの確保

経営層と現場および部門間の意思疎通や情報共有が不十分であったことも重要な課題だと指摘されています。そのため、経営部門と現場との距離を縮め、経営トップと現場の双方向のコミュニケーションの確保に努めるという項目です。

 

④事故、ヒヤリハット情報の収集・分析・対応

事故やヒヤリハット情報などの収集・活用について、事故の再発防止などに関するリスク管理にかかわる情報の収集し、分析結果を活用するという項目です。

 

⑤必要な教育・訓練の実施

安全確保に必要な教育や訓練を決定し、実施・改善するという項目です。2026年現在、自動ブレーキやレーンキープアシスト等の「先進安全自動車(ASV)」の普及に伴い、現場の「整備管理者」が車両の最新電子システムの特性や正しい点検手順を熟知し、それを運行管理者や現場ドライバーへ教育・訓練として落とし込む連携が評価において重視されています。

 

⑥PDCAサイクルによる継続的改善

運輸事業者が自ら積極的に輸送の安全への取り組みを推進し、構築した安全体制をPDCAサイクルによって継続的に改善・安全性の向上を図ることを求める項目です。

Planは安全管理体制の構築、Doは安全管理体制の実施、Checkは安全管理体制のチェック、Actは安全管理体制の見直し・改善を意味します。ハード(車両の整備)を担う整備管理者と、ソフト(運行状況)を担う運行管理者が、このサイクルを一体となって回すことが、形骸化させないマネジメントの真髄です。

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運輸安全マネジメントには「認定セミナー」がある

ここまでの説明で、運輸安全マネジメント制度が運輸事業者にとって遵守しなくてはならない重要な制度であることはご理解いただけたと思います。それでは実際に、運輸事業者としてどんな取り組みをしていったらいいのかお悩みの方もいるかもしれません。

そこでご活用いただけるのが認定セミナーです。

 

認定セミナーの概要

認定セミナーは、運輸安全マネジメント制度のさらなる浸透・定着を図るために開催されるものです。この認定セミナーを、運送事業者の経営管理部門(経営トップ、安全担当の役員・部長など)が受講し、受講内容を活用して安全管理体制の構築・強化に取り組んでみてはいかがでしょうか。

なお、過去に存在した「受講による一般監査の免除インセンティブ」は、運輸局による悪質業者への取り締まり強化に伴い実務上すでに廃止されています。2026年現在はインセンティブ目的ではなく、万が一の重大事故発生時に「マネジメント体制の形骸化(重大な過失)」と見なされて一発で許可取消処分等になるリスクを回避するための「最強の防衛策」として、セミナー受講や社内整備の重要性が高まっています。

 

認定セミナーの3つのテーマ

認定セミナーのテーマは以下3つです。いずれのテーマにおいても、事故を未然に防ぐ社内体制の構築が学べます。

 

①ガイドライン

安全管理体制を構築・改善するための全般的な方法を、事例を交えながら具体的に解説する内容です。

 

②内部監査

内部監査について、組織体制、内部監査員の選出、内部監査計画の立案、監査技法といった内部監査を実施するために必要な要素を具体的に解説する内容です。

 

③リスク管理

事故やヒヤリハット情報などの収集・活用について、事故の再発防止などに関するリスク管理にかかわる情報の収集、分類、分析方法から分析結果を活用する手法を具体的に解説する内容です。ここでは、運行データだけでなく「整備管理者」が管理する「車両の日常点検・3ヶ月点検で発覚したトラブルの予兆」をどのようにリスク分析に連携させるかといった視点も重要になります。

 

まとめ

トラック運送事業を経営する中で、安全確保への取り組みは中核となる重要事項です。国土交通省からの厳しいチェックがあるから、ペナルティーがあるからといったマイナスな要因だけでなく、ヒューマンエラーをなくすことは、自社サービスの質の向上にも繋がります。

より安心安全なサービスを提供する足掛かりとして、運輸安全マネジメント制度に取り組んでみてはいかがでしょうか。

行政書士法人シフトアップは運送業許認可だけでなく、運行管理者や整備管理者の適正な配置を含めた運輸局の監査・巡回指導対策も行っています。社内の管理体制に不安がある場合は、お気軽にお問い合わせください。

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川合 智

12年間の運送会社勤務経験を持ち、累計相談数は10,000件以上。運行管理者・配車・総務経理など運送事業の現場を知り尽くした圧倒的な業務ノウハウを基に運送業、貸切バス、介護タクシー、産廃収集運搬などの許認可をメインに日本全国対応で力強くサポート。
【保有資格】行政書士【商工会議所】名古屋商工会議所【著書】 トラック運送業の運輸局監査対策行政書士のための運送業許可申請のはじめ方

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