ドライバー不足の原因と対策

コラム

ドライバーの人手不足の原因と4つの対策

トラック運送会社で働いている方や運送会社を運営している事業者にとって、死活問題なのが人手不足の問題です。人手不足を嘆いているのは運送業界だけではないのですが、異業種と比較してもトラックドライバー不足は深刻な状況です。

この記事では、「ドライバー不足を何とか解消したい」「求人を出しても応募が集まらない」といったお悩みをお持ちの方に向けて、人手不足の原因と取り組むべき対策を解説します。ぜひ参考にしてください。

まずは、運送業界の人手不足がどれくらい深刻なのか、現状から見ていきましょう。

 

トラック運送の有効求人倍率は全職種平均の2倍

有効求人倍率とは、企業の求人数÷働きたい求職者で算出します。つまり、有効求人倍率が1より大きくなるほど、求人に対して応募が少ない状態で、人手不足が深刻であるといえます。

反対に1より小さい場合は、企業の求人に対して働きたい人の数が多い状態なので、求職者にとっては希望通り就職しにくい状況となります。

では、運送業界の有効求人倍率を見てみましょう。2020年の4月時点で2.85%。全職業の平均は1.18%なので、その差はなんと約2倍で以上す。この有効求人倍率からも、異業種と比べて運送業界の人手不足は深刻な状況であることがお分かりいただけたと思います。

 

トラック運送の人手不足の深刻な原因とは

トラック運送業界の人手不足が深刻な原因は一体何なのでしょうか。以下で具体的に見ていきましょう。

 

労働時間に対して賃金が安い

大型ドライバーの平均労働時間は、1ヶ月あたり220時間。これは全職業の平均である177時間と比較して20%以上長い値です。一方で、ドライバーの平均年収は369万円。全職業の平均年収433万円より約10%も下回っています。

つまり、なかなか人材が確保できない原因として、長時間労働であるにも関わらず賃金が平均より低いという現実があります。

 

10代、20代がトラック運転手を志望しなくなった

2020年の賃金構造基本統計調査によると、トラックドライバーの平均年齢は49.4で、全職業の平均年齢41.3歳を下回っています。大型ドライバーに絞って見ると、40代のドライバーが40%、50代のドライバーが39%を占めているという調査もあります。

労働力のボリュームゾーンである40~50代が引退する約10年後から、ドライバーの人数が激減すると予測されます。そのため、次世代を担う若者を採用しなくてはなりませんが、10代、20代の若者がトラック運転手を志望しなくなり、ドライバーの高齢化が進んでいます。

 

若手ドライバー不足の原因|若者の自動車離れが進んでいる

若者がトラック運転手を志望しなくなったのはなぜでしょうか。その原因の一つは若者の自動車離れが進んでいる点です。ひと昔前までは、高校を卒業したら免許を取って、大学生や社会人になったら自分の車を持つことに憧れを抱く若者が多かったと思います。

しかし、カーシェアリングなど便利なサブスクリプションも後押しとなり、車を持たない若者が急増しているのです。そのため、そもそも免許を持っていなかったりペーパードライバーであったりするので、自動車に興味がなく「ドライバーになる」という発想になりにくいと言えるでしょう。

 

給料が安いというイメージの定着

さまざまな情報がインターネットで収集できる現代においては、あらゆる職種の平均年収や口コミなどが簡単に調べられます。

トラックドライバーの給与は、求人広告を見るとそれなりの金額であっても、基本給に長時間のみなし残業が含まれていたり、年齢を重ねてもあまり昇給しなかったりといったマイナスイメージが広がり「大変な割にはそこまで稼げない」という印象を持たれている傾向は否定できません。

 

劣悪な労働環境というイメージがある

トラックドライバーというと、夜間配送や長距離配送をイメージしがちで、拘束時間が長くて体力的に大変そうだと感じている求職者も多いようです。

特に最近の若者の価値観として、「ガツガツ働いてしっかり稼ぎたい」というタイプは珍しく、どちらかというと「効率よく仕事をして、プライベートの時間を大切にしたい」というタイプが増えています。

このような価値観を持つ多くの若者にとって、労働環境が大変そうというイメージを抱かれているトラックドライバーはなかなか選ばれないないのでしょう。

 

インターネット通販によって「宅配取扱個数」が急増

人手不足のもう1つ大きな原因は、インターネット通販です。Amazonや楽天などのEC市場は、2016年には15兆円を突破。毎年10%以上の成長を続けてきた上に、2020年にはコロナウイルスによるステイホームの影響で、さらに宅配取扱個数が急増しています。

ただでさえドライバーが不足している状況の中で、増え続ける配送量。ドライバーの数はまったく追い付かず、依頼はあるのに配送を断らざるを得ないトラック運送業者も多くいるのが実態です。

 

トラック運送の人手不足の4つの対策

ここまでの説明で、運送業界の人手不足の現状はご理解いただけたと思います。それでは、そんな人手不足を解消するためにはどのような対策をすればいいのか、4つのポイントに分けて解説します。

 

対策1|働き方改革を推進し、ホワイトに労働環境を改善させる

まずはホワイトな労働環境にすることが不可欠です。国土交通省も運送業界の働き方改革には提言を出しています。具体的な対策としてできることは、長時間労働を是正するためのガイドラインの作成、高速道路の有効活用、宅配ボックスの普及促進、IT点呼など運転以外の業務効率化などがあげられます。

他にも、荷待ち時間の記録が義務付けになるなど、労働時間に対して正しく報酬が支払われるように方針が出されています。こういった国の指針などをしっかり活用することで荷主から適正な運賃・料金を受け取り、ドライバーの働きやすい環境を作っていきましょう。

 

対策2|女性ドライバー「トラガール」の積極採用

トラックドライバーのうち女性が占める割合は、2013年の厚労省の調査で2.4%であり、全職業の平均42.8%と比較すると、非常に低い水準です。

そんな中でも、実は大型免許を保有している女性は全国に13万人以上いることが分かっています。ドライバーは男性の仕事というイメージを払拭し、「女性が活躍できる仕事であるとアピールすることで、業界全体の人手不足解消の一助になるのでは」と考えた国土交通省と運送業界。

そこで、女性ドライバーを増やす構想を掲げて様々な取り組みをしています。例えば、女性ドライバーを「トラガール」と名付け、全国で活躍している女性ドライバーの姿を発信する専用のウェブサイトを立ち上げて「トラガール促進プロジェクト」を展開。

インターネット通販の宅配など小型の商品を運ぶ場合は、普通免許で運転できるコンパクトな配送車でも十分可能です。普通に運転できれば、女性でも無理なく働ける仕事であると発信することが、新たな労働力の確保に繋がるのではと期待されています。

 

女性ドライバーを採用するには家庭と両立できる環境を整える必要あり

今後も、女性や主婦のドライバーを増やしていくのであれば、家庭と両立できる環境を整えることも大切です。例えば、産休育休の取りやすい職場作りや、お子さんの成長に合わせて、時短勤務や雇用形態を変更できるなど。

柔軟な労働環境を整えることができれば、ライフスタイルの変化があっても離職することなく長く活躍してくれるでしょう。また、家庭と両立できる環境は、独身の社員や男性社員によっても、ワークライフバランスが整うことに繋がるため、従業員全体の満足度の向上に繋がります。

 

対策3|広報活動に力を入れる

有効求人倍率が高く、特に若者からの人気がなかなか上がらないトラック運送業界。このような状況の中では、ただやみくもに求人広告を掲載しても、応募は集まりません。

そこで大切なのが、インターネットやSNSを使った広報活動。いきなり応募を促すのではなく、働き方改革の取り組みや、女性ドライバーの活躍推進など、日々の企業努力を発信しましょう。

広報活動に力を入れると、見ている人のドライバーに対するイメージが変わったり、会社に好感を持ってもらえたりといった効果があり、その人たちが転職しようと思った時に、あなたの会社を思い出してくれるかもしれないのです。

実際にTwitterのツイートを見かけた求職者が会社に好感を持って応募してくれるケースもあります。まだ対策をしていない運送会社は、すぐに広報活動に着手すべきです。

 

対策4|若者への教育体制、キャリアパスの構築

人手不足で苦しむ中で、即戦力となる経験者を採用したいところですが、経験者はどこも高待遇で募集しているため、採用のハードルが高いです。そのため、未経験者を採用して、入社後に育てていくスタンスの方が現実的です。

ドライバーに必要なことを座学や実技を通してゼロから教育する体制を整えれば、未経験の若者にとっても魅力的にうつります。また、入社後のキャリアパスを提示することで、長く働ける職場であるとアピールすることもできます。

例えば、「中型や大型の免許取得が会社負担で受けられる」「リーダーやマネージャーに昇格すると年収〇〇万円にアップする」といったロールモデルを丁寧に説明すると、選んでもらいやすくなるでしょう。

 

まとめ

運送業界の有効求人倍率は、2009年から上がり続けています。その原因を一つひとつひも解いていくと、さまざまな要因が重なり合った結果だということがお分かりいただけたと思います。

そのため、何か1つ対策を打てば明日から一気に人手不足が解消するものではありません。「労働環境の改善」「女性の積極採用」「若者の教育制度」など、できることから少しずつ取り組んでみてはいかがでしょうか。

 

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川合智

川合 智

運送業許可のプロ事務所「行政書士法人シフトアップ」の社長★トラック運送会社に12年勤務後に開業。著書【行政書士のための運送業許可申請のはじめ方】★行政書士向けに運送業許可を教える「くるまスクール」主催者

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