昨今、国交省や日本自動車工業会などが取り組んでいる、トラックの隊列走行をご存知でしょうか。隊列走行が実用化すれば、ドライバーの人員を削減しながら多くの荷物を運ぶことができるため、トラック事業者にとっては希望の光です。
本記事では、「隊列走行について興味がある」「将来的に導入を検討したい」そんな方に向けて、隊列走行のメリットを分かりやすく解説しています。ぜひ参考にしてください。
まずは、トラックの隊列走行とは何かについて見ていきましょう。
トラック隊列走行とは何か
トラックの隊列走行とは、複数のトラックが縦に並んで走ることです。トラックとトラックを物理的に繋げるわけではなく、通信により自動で車間距離をとって走行する技術の研究開発が進められています。
トラックの隊列走行は、2018年1月新東名高速道路を皮切りに、さまざまな公道実証実験が行なわれている最中。自動運転の技術開発や必要な法整備など、実用化に向けて国交省などが推進に取り組んでいます。
ドライバー不足が年々深刻になる物流業界。インターネット通販などの急拡大で運ぶ荷物は増え続けていますが、ドライバーが確保できず人材の高齢化が進んでいます。トラックの隊列走行は、最終的に後続車を無人で走らせることでドライバーの人員削減を目指しているので、物流業界の未来に大きな影響を与えます。
導入型|後続有人隊列走行
それでは、トラックの隊列走行を実用化するためには、どんな取り組みが必要なのでしょうか。実用化には3つのステップを乗り越える必要があります。
まず、導入型として後続有人隊列走行です。導入型では、すべてのトラックにドライバーが乗り、一部の機能を自動運転がサポートします。自動運転がサポートするのは、車間制御と車線維持となり、それ以外の運転操作はドライバーが行ないます。
発展型|後続有人隊列走行
続いて、発展型としての後続有人隊列走行です。発展型では、すべてのトラックにドライバーが乗車することは同じですが、自動運転がサポートする機能が拡大。自動運転によりサポートされる機能は自動車線変更などで、後続車の運転の大半をシステムが行ない、ドライバーは補助的に待機しているイメージです。
後続無人隊列走行
最終段階は、後続無人隊列走行です。読んで字のごとく、最終段階では全車両自動運転となります。先頭車両のみドライバーが乗車し、後続車はすべて無人で走行することを目指しています。
トラック隊列走行のメリットは5つ
トラックの隊列走行には、メリットがたくさんあるので、5つに分けて解説します。
メリット1|安全性の向上
メリット1つ目は、安全性の向上です。隊列走行は、最先端の自動運転技術が搭載されます。自動運転によりドライバーの運転操作がどんどんなくなるため、運転ミスの防止に繋がります。
これまで、ドライバー頼りだった安全性が、最新の技術と通信により常に一定水準に管理されることで、安全走行による輸送品質の向上にも繋がるでしょう。
メリット2|ドライバーの負荷軽減
メリット2つ目は、ドライバーの負担軽減です。自動運転により後続車のドライバーの緊張緩和に繋がり運転負担が軽減されます。また、ドライバー不足が続く物流業界の中では、長時間労働などドライバーの労働環境が課題となっています。
隊列走行は、ドライバー不足の改善に大きく貢献することが期待されます。
メリット3|燃費改善
メリット3つ目は、安定した走行にともなう燃費改善です。自動運転は、一定のスピードや車間距離を維持し、アクセルやブレーキをなるべく踏まない走行になります。そのため、安定した省エネ走行を実現。空気抵抗軽減の相乗効果もあり、トラックの燃費が改善します。
メリット4| 渋滞緩和
メリット4つ目は、自動運転で速度をコントロールすることで渋滞緩和が期待できることです。
高速道路で渋滞が発生する大きな原因といわれているのが「サグ部」で、サグ部とは、道路が下り坂から上り坂に代わる谷の部分のことを指します。
サグ部では、ドライバーが上り坂を認識しにくく、いつの間にか車の速度が低下。後続車は、前の車の速度が下がったためにブレーキを踏む、その後ろの車もブレーキを踏む……
それを繰り返した結果、渋滞がどんどん後ろに伸びていく現象がサグ部では起こりやすいのです。しかし、自動運転であれば、自動で速度を保ってくれるため、渋滞緩和にも寄与します。
メリット5| CO2排出削減
メリット5つ目は、CO2排出削減に繋がることです。一定の速度を保つ自動運転は、急発進や急ブレーキをしないエコドライブとなり、CO2排出削減にも期待ができます。トラック事業者として、今後も避けて通ることができない環境問題にも貢献できることは、一石二鳥といえるでしょう。
まとめ
いかがでしょうか。トラックの隊列走行について、ざっくりと解説しました。自動運転により無人で荷物を運べるなんて、まだまだ未来の話……と思われたかもしれません。しかし、隊列走行ができる車両の商品化は、2021年頃を目指して進行中。
最新技術はもうそこまで来ています。今後のインフラの制度整備やトラック事業者への情報を追っていく価値は、大いにあるのではないでしょうか。
ご不明な点はございませんか?
遠方からご依頼の方のためのQ&A集 |
運送業許可とは?必要か不要かまで徹底解説 |
緑ナンバー(営業ナンバー)とは?白ナンバーとの違い・メリット・取得方法を知る |
【見逃しNG】運送業許可の要件が誰でも5分わかる記事 |
運送業の起業を失敗しないための重点ポイント |
運送業の営業所増設・移転のポイントが5分でわかる記事 |
愛知県/岐阜県/三重県でトラック運送業専門の行政書士をお探しの方へ |