「運行管理者資格に更新の有無はある?」
「資格者証を失くした場合はどうすればいい?」
運行管理者資格について、上記のような疑問や不安を持つ方もいるでしょう。
本記事では、そういった方に向けて運行管理者資格について解説します。
資格者証を失くしてしまった際の再交付手続きについても解説するので、ぜひ参考にしてください。
3-300x115.png)
運行管理者に更新手続きは必要ない
結論をいうと、運行管理者資格に更新手続きは必要ありません。
運行管理者は、輸送の安全を確保するために業務をおこないます。
国で定められた実務経験や試験を受けることで、資格者証を取得できます。
資格の有効期限や更新の有無は一切定められていません。
つまり一度取得すれば、重大な違反行為をおこなわない限りは、永遠に資格を持ち続けられます。
選任されたらは2年に1回の講習を受ける義務がある
ただ、何もしなくても永遠に資格が保持されるわけではありません。
運行管理者として選任され続けるためには、2年に1回の講習を受ける必要があります。
ちなみに資格を持っていても、運行管理者に選任されていなければ講習の受講義務は発生しません。
ただし新たに選任された際には、同年度内に一度、一般講習を受けなければならないため注意してください。
2年に一度の講習に関しては、今までは運輸支局長からの通知がありましたが、関係法令等の改正をきっかけに受講通知が撤廃されました。
そのため、講習を受ける際は事業所で管理する必要があります。
もし、受講しないまま運行管理業務をおこなった場合は、事業用自動車の使用停止処分が下される恐れがあるため注意してください。
すでに運行管理者に選任されている方が受講対象となる講習は、以下の2つです。
- 一般講習
- 特別講習
詳しく見ていきましょう。
一般講習
「一般講習」とは、
- すでに運行管理者に選任されている方
- 補助者として運行管理業務を実施している方
を対象とする講習です。
講習時間は5時間で、受講手数料は1人につき3,200円となります。
独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)のほか、認定を受けた民間企業でも受講可能です。
受講場所は定められていないため、事業者自ら講習実施機関を選択する必要があります。
特別講習
「特別講習」は、重大事故や法令違反を引き起こして行政処分を受けた事業所の運行管理者に対して実施される講習です。
講習時間は2日間で合計13時間、手数料は17,900円で、独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)の各支所で受講可能です。
未受講の場合は特別講習受講義務違反に問われ、初違反で20日、再違反で40日の自動車使用停止処分が下される場合があります。
注意!運行管理者資格に返納命令が下される6つのケース
定期的に講習を受ければ、保持したままでいられる運行管理者資格ですが、以下のような法令違反をした場合は返納命令が下されます。
- 名義貸しをおこなった
- 資格を不正に取得した
- ドライバーの勤務時間等の基準に違反した
- 点呼の未実施
- 運行管理者が運転する車が違反行為をおこなった
- ドライバーに違反行為を指示(下命容認)した
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①名義貸しをおこなった
運行管理の資格保持者が名義だけを貸して実際には業務をおこなわない場合、資格者証返納の対象となります。
この場合、名義を貸した本人だけでなく、借りた側(トラック運送事業者)にも何らかの行政処分が科されます。
②資格を不正に取得した
資格の不正取得が発覚した場合も、直ちに返納命令が下されます。
運行管理者試験を受験するためには、1年以上の実務経験を積まなければなりません。
しかし、なかには半年程度しか実務経験を積んでいないのに、虚偽の報告をして受験し、不正に資格を取得するケースがあります。
条件を満たさずに運行管理者になることはできないので、もちろん資格者証は返納されます。
③ドライバーの勤務時間等の基準に違反した
改善基準告示によって決められたドライバーの拘束時間等を守らず、過剰な勤務=過労運転をさせた場合にも、資格の返納命令が下されます。
過労勤務は、運行中の事故の原因となります。
運行管理者は輸送の安全を確保する目的で選任されているため、その業務を全うできないのであれば当然資格は剥奪されます。
④点呼の未実施
運行管理者は輸送時の事故やトラブルを防ぐために、ドライバーに対して毎日必ず点呼をおこなう義務があります。
点呼の実施を怠った場合も返納対象となるため、十分注意してください。
⑤運行管理者が運転する車が違反行為をおこなった
運行管理者自らが事業用自動車を運転した際に、以下の違反行為がおこなわれた場合は、返納命令が下されます。
- 救護義務違反(ひき逃げ)
- 酒酔い・酒気帯び運転
- 薬物等使用運転
- 妨害運転(あおり運転)
- 無免許運転
⑥ドライバーに違反行為を指示した
過積載やスピード違反など、運行管理者がドライバーに対して違反行為を指示したり、事実を隠蔽したりした場合も返納の対象となります。
運行管理者資格についてよくある質問
最後に、運行管理者資格についてよくある質問に回答します。
講習を受け忘れた場合はどうなる?
講習を受け忘れた場合、次の講習を受けるまで資格者証の効力はなくなります。
受講を忘れたからといって資格そのものが失効することはないので、安心してください。
ただし、受講期限を過ぎたままの状態で運行管理業務をおこなうと、行政処分の対象となるため十分注意しましょう。
資格者証を紛失した際はどうすればいい?
資格者証を失くしてしまった場合は、再交付手続きをおこないます。
破損したり、結婚して氏名が変わったりした際も同様です。
申請書類は、運輸支局の担当窓口およびホームページで取得可能です。
必要書類を集めて必須事項を記入し、印紙(270円分)を貼り付けて郵送または担当窓口に提出します。
【再交付手続きに必要な書類】
- 運行管理者資格者証訂正・再交付申請書
- 収入印紙(270円分)
- 本人確認書類(運転免許証や住民票の写しなど)
- 誓約書(紛失した方のみ)
- A4サイズの返信用封筒(窓口で受け取る際は不要)
- 既に交付を受けた資格者証(紛失したとき以外)
返信用封筒には460円分の切手を貼り、返信先の宛名を記入しておきましょう。
まとめ
原則、運行管理者資格の更新は不要ですが、選任された場合は2年に1回講習を受講する必要があります。
しかし、資格を持っていたとしても運行管理者に選任されていなければ、講習を受ける義務は発生しません。ただ、新たに選任された際には、同年度内に1回の一般講習を受ける義務が生じます。
また、名義貸しや資格の不正取得、その他違反行為が発覚した際は、返納対象となるため十分注意してください。
資格者証を失くしてしまったり破損したりした場合は、運輸支局で再交付手続きが可能です。
運送業許認可や巡回指導・監査対策に関するお問い合わせは行政書士法人シフトアップまでお気軽に。全国対応しております。