トラック運送事業者に必須の点呼ですが、点呼と言われても何の点呼なのか、点呼にはどのような種類があるのか、その実施方法や記録の仕方などについてよく理解していない方も多いかもしれません。
そこでこの記事では点呼の実施方法やその種類、罰則、点呼記録について詳しく解説します。
なお、記事の最後で点呼簿のエクセル様式をダウンロードして頂けるのでご活用ください。
点呼とは
点呼とは、ドライバーの健康状態などを把握するために義務付けられている、トラック運送事業者が行う輸送の安全に関する取り組みの一つです。
3種類の点呼
ドライバーがトラックへ乗務する前に行う乗務前点呼と、乗務終了後に行う乗務後点呼、乗務中に行う中間点呼があります。
点呼の実施方法:基本は対面
点呼は所属する営業所単位でドライバーに対して対面により実施することが基本です。
例外として、1泊2日以上の運行により遠隔地で乗務を開始・終了するため、乗務前点呼または乗務後点呼を対面で実施できない場合に限り、電話等による点呼でも良いとされています。
ただし、乗務前点呼と乗務後点呼のいずれかは必ず対面で実施する必要があります。
対面点呼が難しい場合の注意点
車庫と営業所が離れている場合、早朝・深夜等に運行管理者や運行管理補助者が営業所に出勤していない場合等は特別な理由には該当しませんので注意してください。
営業所の運営体制を工夫して、対面点呼を実施できる体制を整えることが重要です。
誰が実施するのか
緑ナンバー車両の点呼は運行管理者または運行管理補助者が執行します。
運行管理補助者の点呼実施制限
運行管理補助者は月の3分の2まで運行管理者に代わって点呼を執行することが可能です。
つまり、月の3分の1は運行管理者が点呼を実施しなければいけません。
この比率をしっかり管理しておくことで、監査時の指摘を避けることができます。
どこで実施するのか
運行管理者または運行管理補助者が実施する点呼は、一般貨物自動車運送事業許可申請や変更認可申請の運行管理体制に記載した「対面点呼実施場所」でおこないます。
一般的には、営業所となる場所でおこなうことになるかと思いますが、もし、営業所・休憩室とは別に点呼場を設ける場合は、都市計画法や建築基準法違反となる建物を使用しないよう注意してください。
プレハブ・トレーラーハウスの使用に関する注意
運輸局へ登録することなく車庫内にプレハブを置いて点呼場(多くの場合は営業所も兼ねている)としているトラック運送事業者がたくさんいます。
多くの場合は違法に設置したプレハブ等を点呼場としており、且つ運輸局への点呼場使用の届け出もしていません。監査となれば行政処分の対象となるので気を付けてください。
営業所や点呼場の建物に関しては、事前に運輸支局に相談し、法令に適合した施設を使用することをお勧めします。
点呼場所の法令適合性確認が重要
営業所や点呼場の設置に関して、都市計画法や建築基準法の違反がないか、事前に運輸支局に確認することをお勧めします。後から指摘されると改築費用などで大きな負担になります。
※営業所や点呼場の設置についてご不明な点があればお気軽にご相談ください。
点呼の実施方法:3種類の点呼
点呼の種類は乗務前点呼、乗務後点呼、中間点呼の3種類です。それぞれの内容について見ていきましょう。
乗務前点呼
乗務前点呼とは運転者が当日の業務を行うために、初めてトラックへ乗務する前に実施する点呼のことです。
対面で実施することが基本ですが、長距離輸送などで定められた点呼場所による点呼実施ができない場合は、電話等による点呼も認められています。
乗務前点呼の最適なタイミング
実施のタイミングは、乗務の5分~10分前の間で決めておくのが良いでしょう。
なぜなら、乗務開始の30分以上前に実施すると、点呼実施から乗務開始までの間に運転者の健康状態が悪くなったり、場合によっては飲酒するといった可能性があるからです。
乗務前点呼を実施するタイミングは、会社ごと、あるいは営業所ごとに運行管理規定で定めておきましょう。
乗務後点呼
乗務後点呼とは運行終了後に実施する点呼のことで、トラックを車庫へ駐車した後速やかに行う必要があります。
乗務後点呼実施時のありがちな問題
ドライバーの中には、運行終了後に集配場で何時間も他のドライバーと話をしてから帰庫する、あるいは帰庫後、営業所や点呼場へ寄る前に車庫で業務以外のことを数時間行ってから点呼を受けるというドライバーがいる会社も少なくありません。
これでは正確な拘束時間の管理ができないばかりか、余分な残業代が発生してしまいます。社内ルールを決めて、運行終了後は速やかに帰庫し乗務後点呼を行うようにしてください。
乗務後点呼の最適なタイミング
乗務後点呼のタイミングは、帰庫後5分以内に行うのが良いでしょう。
乗務終了後の車両整備や洗車などは、乗務後点呼が終了してから実施するようドライバー教育を行ってください。
乗務後点呼でドライバーが報告する事項
乗務後点呼の際、ドライバーは自動車・道路および運行の状況と交代運転者に対する通告を行います。
具体的には、事故の有無や配送遅延の有無等について運行管理者(交替運転者がいる場合には交替運転者にも)報告します。
中間点呼
中間点呼は2泊3日以上運行の場合に実施する点呼です。
営業所で定めた点呼実施場所では、乗務前と乗務後の点呼が共に対面で実施できない場合のみ認められている非対面点呼で、電話やスマートフォンのアプリケーションなどで実施します。
中間点呼の実施回数
中間点呼は、乗務中の少なくとも1回、電話等で行う必要がありますので、2泊3日以上運行の場合は、乗務前と乗務後だけ電話で行えば良いということではないのでご注意ください。
なお、1泊2日運行の場合は、乗務前または乗務後のいずれかは対面で行うことになるため、中間点呼は不要です。
点呼時間についての重要な注意点
乗務前点呼は、ドライバーが業務を行うためにその日に初めてトラックへ乗務する前に行います。したがって、点呼を実施した時刻はトラックが動き出す前ということになります。乗務後点呼に関しては、当然トラックの帰庫後に実施することになります。
点呼簿の記録がトラックの出庫後に乗務前点呼を実施したことになっていたり、帰庫前に点呼を実施したことになっているということはあり得ないので注意して下さい。
監査時に時系列の矛盾が指摘されると、意図的に記録を改ざんしたと判断される可能性もあります。点呼時刻の記録には細心の注意を払いましょう。
点呼時刻の記録は監査時の重要なチェック項目
乗務前点呼の時刻がトラック出庫時刻より後になっていたり、乗務後点呼の時刻が帰庫時刻より前になっていないか、定期的に確認しましょう。
※点呼記録の管理体制についてもご支援いたします。
無点呼運行の罰則
点呼未実施の場合は以下のような重大な行政処分となります。
- 点呼未実施19件以下:初違反で警告、再違反で10日車
- 点呼未実施20件以上49件以下:初違反10日車、再違反20日車
- 未実施50件以上:初違反で20日車、再違反で40日車
- 全ての点呼を実施していない:30日間の営業所停止
点呼の未実施は、単なる管理ミスではなく、運送業許可の取消につながる可能性のある極めて重大な違反です。適切な点呼実施体制を構築することは、運送業の継続経営にとって不可欠です。
点呼記録への記載事項
点呼を実施したら、その内容を点呼記録簿に記載・保管します。点呼記録への記載事項は、各種点呼に応じて国土交通省通達「貨物自動車輸送安全規則の解釈及び運用について」で定められています。
乗務前点呼の記録事項
- 点呼執行者名
- 運転者名
- 乗務するトラックの登録番号または識別できる記号、番号等
- 点呼日時
- 点呼実施方法:アルコール検知器の使用の有無・対面または対面でない場合の具体的な点呼方法
- 酒気帯びの有無
- 運転者の疾病、疲労、睡眠不足の状況
- 指示事項
- その他必要な事項
指示事項は、当日の天候、道路、運行状況その他必要な事項に応じ、点呼時に必ず乗務員に関する指示を与え、その内容を点呼記録の指示事項欄に記載する必要があります。
中間点呼の記録事項
- 点呼執行者名
- 運転者名
- 乗務するトラックの登録番号または識別できる記号、番号等
- 点呼日時
- 点呼実施方法:アルコール検知器の使用の有無・対面または対面でない場合の具体的な点呼方法
- 酒気帯びの有無
- 運転者の疾病、疲労、睡眠不足の状況
- 指示事項
- その他必要な事項
(8、9は乗務前点呼と同様です)
乗務後点呼の記録事項
- 点呼執行者名
- 運転者名
- 乗務するトラックの登録番号または識別できる記号、番号等
- 点呼日時
- 点呼実施方法:アルコール検知器の使用の有無・対面または対面でない場合の具体的な点呼方法
- 自動車、道路および運行の状況
- 交替運転者に対する通告
- 酒気帯びの有無
- 運転者の疾病、疲労、睡眠不足の状況
- その他必要な事項
交替運転者に対する通告について
交替運転者に対する通告とは、乗務終了後に他の運転者と交代するときに、交替運転者に対して自動車、道路および運行の状況に対して知らせることをいいます。
複数のドライバーで同じトラックを使用する場合、後続のドライバーに正確な情報を伝えることで、安全運行を確保できます。
点呼記録の保管期限
点呼記録の保管期限は1年です。
保存方法に決まりはありませんが、管理のしやすいように月ごとに保管しておくことをお勧めします。
監査時に点呼記録の確認が行われますので、いつでも提示できるよう整理・保管しておきましょう。
点呼記録の適切な管理が監査対策の基本
点呼記録は監査時の最重要チェック項目です。記載漏れ、時間の矛盾、保管漏れがないよう、日々の管理体制を整備することが大切です。
※点呼記録の整備、監査対策についてもご支援いたします。
点呼簿のダウンロードはこちら
点呼簿(エクセル版)のダウンロードは下記のボタンをクリックまたはタップして下さい。
中間点呼の有無により、2つのテンプレートを用意しております。貴社の運行形態に合わせてご利用ください。
中間点呼がない場合
中間点呼がある場合
※ダウンロード頂いた書類に関するお問い合わせは受け付けておりません。
点呼管理における実務的なポイント
点呼は単なる法令遵守だけではなく、運送業の安全文化を築くための重要な業務です。
以下のポイントを意識することで、より実効性のある点呼体制を構築できます:
- タイミングの厳格な管理:乗務前は5~10分前、乗務後は帰庫5分以内を徹底
- 記録の時系列確認:トラックの出庫・帰庫時刻と点呼時刻の矛盾をチェック
- 補助者の月別管理:補助者が月3分の2以下の点呼になるよう管理
- 定期的な月間集計:点呼未実施がないか、毎月確認して記録
- ドライバー教育:点呼の重要性を理解させ、報告事項の正確性を確保
まとめ
点呼は、トラック運送事業者にとって安全運行の基本であり、法令遵守の要となる業務です。
無点呼運行は最大40日車の営業停止処分に至る重大違反であり、適切な点呼実施体制を構築することは経営の継続性を左右します。
3種類の点呼(乗務前・乗務後・中間)のそれぞれの要件、記録事項、保管義務を正確に理解し、日々の運行管理に反映させることが重要です。
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参考文献
この記事の作成にあたり、以下の公開資料を参考にさせていただきました。
- 中部運輸局(点呼関連資料) — 点呼の実施基準、記録方法、安全管理
- 日本トラック協会(点呼教育DVD) — 点呼の重要性、実施方法の教育資料
- デンソーテン(点呼コラム) — 点呼の実務的なポイント、システム活用
- NPK CARGO(点呼の種類と方法) — 各点呼タイプの具体的な実施方法
- 東海電子(e点呼システム) — デジタル点呼の仕組みと運用
- 国土交通省(貨物自動車輸送安全規則の解釈及び運用について) — 点呼実施方法、記録事項、保管期限等
- 国土交通省(自動車安全ポータルサイト) — 点呼制度、運行管理基準告示
- 国土交通省(改善基準告示等の解釈及び運用について) — 拘束時間、休憩時間、点呼との関連

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