一般貨物自動車運送事業許可の取得期間と許可の更新について解説

一般貨物自動車運送事業許可の取得期間と許可の更新について解説

【この記事のポイント】

  • 一般貨物自動車運送事業を始めるには、原則として営業所ごとに5台以上の事業用自動車を確保し、営業所・車庫・運行管理体制・整備管理体制・資金計画などの許可要件を満たす必要があります。法人だけでなく、個人でも申請できます。
  • 許可申請から許可までの期間は管轄する地方運輸局によって異なります。例えば関東運輸局では、一般貨物自動車運送事業の許可に関する標準処理期間は3~5ヶ月です。これとは別に、申請前の準備や許可後の運輸開始手続きに必要な期間も考慮する必要があります。
  • 2025年6月11日に公布された改正貨物自動車運送事業法により、トラック運送事業の許可に5年ごとの更新制度を導入することが決定しています。ただし、2026年8月時点では更新制度はまだ施行されていません。

一般貨物自動車運送事業を始めるには、貨物自動車運送事業法に基づき、国土交通大臣の許可を受ける必要があります。
しかし、営業所や車庫、車両、人員、資金などについて細かな基準が定められているため、初めて申請する方にとっては手続きが複雑に感じられることも少なくありません。

また、2025年には貨物自動車運送事業法が改正され、一般貨物自動車運送事業などの許可について5年ごとの更新制度を導入することが決定しました。今後は許可を取得することだけでなく、許可取得後に適正な事業運営を継続していくことも、これまで以上に重要になります。

この記事では、一般貨物自動車運送事業の基本から許可要件、申請の流れ、取得までに必要な期間、資金、今後導入される5年更新制まで詳しく解説します。

 

目次

シフトアップ代表の川合が解説する「運送業許可を取りたいと思ったら何から考えるべき?」

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一般貨物自動車運送事業とは

まずは、一般貨物自動車運送事業とはどのような事業なのか、自家用運送や貨物軽自動車運送事業との違いを含めて整理します。

一般貨物自動車運送事業の定義

貨物自動車運送事業法では、一般貨物自動車運送事業を、原則として「他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業」で、特定貨物自動車運送事業以外のものと定めています。
ここでいう自動車からは、三輪以上の軽自動車と二輪の自動車が除かれます。これらを使用して有償で貨物を運ぶ事業については、後述する貨物軽自動車運送事業に該当します。

一般的には、荷主から依頼を受けてトラックで荷物を運び、その対価として運賃を受け取る事業が一般貨物自動車運送事業に該当します。事業を行うには、原則として一般貨物自動車運送事業の許可を取得し、事業用の緑ナンバーを取得する必要があります。

参考記事:流通業務総合効率化法と貨物自動車運送事業法がよくわかる記事

自家用運送と営業運送の違い

自社の商品や資材などを自社の車両で運ぶ行為は、一般的には自家用運送に該当します。例えば、パン屋が自社で製造した商品を自社店舗へ配送するといったケースです。
一方、他人から運送の依頼を受け、運送そのものの対価として料金を受け取って貨物を運ぶ場合には、貨物自動車運送事業に該当する可能性があります

【注意】単に請求書に「運送料」と記載しているかどうかだけで判断されるわけではない点です。自ら行う販売・製造・修理・建設などの本来業務と運送が密接不可分であり、運送行為に独立性がない場合などには、貨物自動車運送事業の許可が不要となる場合もあります。

許可の要否は契約名称だけでなく、料金体系や契約内容、実際の業務内容などを踏まえて個別に判断されるため、判断が難しい場合は管轄の運輸支局などへ確認することが重要です。

参考記事:白ナンバーで運送業をおこなうのは違法?罰則はある?

軽貨物運送事業との違い

貨物軽自動車運送事業とは、軽自動車や一定の二輪自動車を使用して、他人の需要に応じて有償で貨物を運送する事業です。
貨物軽自動車運送事業一般貨物自動車運送事業とは異なり、許可制ではなく「届出制」となっています。また、1台から事業を始めることができます

以前は主に軽トラックや軽バンが使用されていましたが、2022年10月からは一定の条件のもとで軽乗用車を貨物軽自動車運送事業に使用することも可能になっています。

そのため、「個人なら軽貨物、法人なら一般貨物」という区分ではありません。個人でも一般貨物自動車運送事業の許可を取得できますし、法人が貨物軽自動車運送事業を行うこともできます。使用する車両や事業内容によって必要な手続きが異なります。

参考記事:黒ナンバーとは?取得条件や安全管理者制度、保険や規則など開業方法について解説

 

一般貨物自動車運送事業の許可を取得するための要件

一般貨物自動車運送事業の許可を取得するには、営業所・車両・車庫・休憩睡眠施設・運行管理体制・整備管理体制・資金計画・法令遵守・損害賠償能力など、さまざまな要件を満たす必要があります。

ここでは代表的な要件について解説します。なお、具体的な審査基準は地方運輸局によって確認する必要があります。

個人・法人のどちらでも申請できる

一般貨物自動車運送事業の許可申請に、法人格は必須ではありません。個人事業主でも許可申請を行うことができます。
一方、法人で申請する場合には、会社の目的として運送事業を行える状態にしておくことが必要です。新しく法人を設立する場合は、定款の事業目的に「一般貨物自動車運送事業」「貨物自動車運送事業」など、予定している事業に対応した目的を記載しておくとよいでしょう。

なお、「従業員を最低5人雇用しなければ申請できない」という一律の許可要件はありません。必要なのは、事業計画を適切に遂行するために必要な人数の運転者などを確保できる体制です。

営業所に関する要件

営業所は、事業の運営や運行管理などを行うための拠点です。単に住所だけを置けばよいわけではなく、事業遂行上適切な規模や設備を備えている必要があります。
また、自社所有または賃貸借契約などによって適法な使用権原があることに加え、農地法、都市計画法、建築基準法などの関係法令に抵触しないことが求められます。

「商業地域や準工業地域でなければ営業所を設置できない」という全国一律のルールではありません。用途地域や建物用途などによって設置の可否が異なるため、契約前に自治体や運輸支局などへ確認することが重要です。

参考記事:運送業の営業所新設|事務所・休憩室・睡眠施設と駐車場の要件

車庫に関する要件

車庫は原則として営業所に併設することが求められます。ただし、営業所に併設できない場合は、国土交通省告示や管轄する地方運輸局の基準に適合する一定距離内に設置することが認められています。

したがって、「営業所から全国一律で10km以内」という基準ではありません。営業所を設置する地域によって距離基準が異なる場合があるため、必ず管轄の運輸支局で確認しましょう。

また、車庫には計画する事業用自動車をすべて収容できる広さが必要です。関東運輸局の許可基準では、車両と車庫の境界および車両相互間について50cm以上の間隔を確保することなどが定められています。

車庫への出入りに支障がないことや、前面道路との関係で車両制限令に抵触しないことも確認されます。申請内容によっては道路幅員証明書などの提出が必要になる場合もあります。

参考記事:運送業許可|駐車場(車庫)の要件の疑問を解消!市街化調整区域etc

車両に関する要件

一般貨物自動車運送事業では、原則として営業所ごとに、貨物自動車運送事業法施行規則で定められた車両種別ごとに5台以上の事業用自動車を配置する必要があります。
車両は自己所有だけでなく、適切な使用権原が確認できるリース車両などでも申請できます。

ただし、霊きゅう運送、一般廃棄物運送、一定の島しょ地域などについては、最低車両台数に関する例外があります。

運行管理者の配置義務

一般貨物自動車運送事業では、安全な運行を確保するため、一定の要件に基づいて運行管理者を選任しなければなりません。
運行管理者は、点呼、運転者の勤務時間や乗務状況の管理、運転者への指導、過労運転の防止など、輸送の安全に関する重要な業務を担当します。

許可申請では、営業所の車両数などに応じて、選任義務がある人数の常勤の運行管理者を確保できる管理計画が必要です。

参考記事:運行管理者とは?試験や基礎講習、役割と業務内容についても解説

整備管理者の配置義務

整備管理者は、事業用自動車の点検や整備、車両管理などを行う責任者です。
事業用のトラックやハイヤーについては、使用の本拠ごとに5台以上使用する場合、原則として整備管理者の選任が必要です。

整備管理者になる方法としては、一定級以上の自動車整備士技能検定に合格している方法のほか、整備管理を行う自動車と同種類の自動車について、点検・整備または整備管理に関する2年以上の実務経験を有し、地方運輸局長が行う整備管理者選任前研修を修了する方法などがあります。

参考記事:運送会社の整備管理者とは?選任の要件や仕事内容を解説

財務基準と資金要件

一般貨物自動車運送事業の許可では、事業を継続して運営できるだけの資金を確保していることも重要な審査項目です。
例えば関東運輸局では、事業開始に必要な「所要資金」として、主に次の費用を計算します。

  • 車両費:購入費または原則1年分のリース料など
  • 建物費:購入費または原則1年分の賃借料・敷金など
  • 土地費:購入費または原則1年分の賃借料・敷金など
  • 保険料:自賠責保険や一定の任意保険などの原則1年分
  • 各種税:租税公課の原則1年分
  • 運転資金:人件費、燃料油脂費、修繕費などの6ヶ月分

そのうえで、所要資金の全額以上の自己資金を、申請日から許可日まで継続して確保することが求められます。預貯金については、申請時や審査中の適宜の時点で残高証明書などによる確認が行われます。

必要な資金に「最低1,500万円」「最低2,000万円」といった全国一律の金額が設定されているわけではありません。必要額は、車両を購入するかリースするか、営業所・車庫の賃料、従業員数、人件費などによって大きく変わります。

そのため、事業計画によっては1,000万円を大きく超える資金が必要になることもあります。まずは実際の事業計画に基づいて所要資金を計算することが重要です。

欠格事由の確認も必要

貨物自動車運送事業法では、一定の刑事処分を受けた場合や、過去に運送事業の許可取消しに関与した場合などについて、許可を受けられない「欠格事由」が定められています。

欠格事由については、刑の内容、執行が終了してからの期間、許可取消しを受けた法人との関係や役員であった時期など、細かな条件が定められています。「過去5年間にその会社の役員だった人はすべて申請できない」といった単純な基準ではありません。

過去に行政処分や刑事処分などを受けている場合は、申請前に貨物自動車運送事業法第5条などの最新の規定を確認することをおすすめします。

 

許可申請から取得までの流れ

一般貨物自動車運送事業許可申請は、おおむね次の流れで進みます。

  1. 事業計画と許可要件の確認:営業所、車庫、車両、人員、資金などが許可基準を満たせるか確認します。
  2. 申請書類の準備・提出:必要な申請書や添付書類を作成し、営業所所在地を管轄する運輸支局などへ提出します。
  3. 法令試験の受験:対象となる申請では、申請者本人または法人の常勤役員が法令試験を受験します。
  4. 書類審査:地方運輸局で営業所・車庫・車両・運行管理体制・資金計画などの審査が行われます。
  5. 許可:審査基準を満たし、法令試験にも合格すると許可となります。
  6. 許可後の運輸開始手続き:登録免許税の納付、運行管理者・整備管理者の選任届、社会保険等の手続き、車両の事業用登録、緑ナンバーの取得などを行います。
  7. 運輸開始届の提出:必要な手続きを完了し、実際に事業を開始した後、運輸開始届を提出します。

関東運輸局では、2026年7月からの法令試験について、個人の場合は申請者本人、法人の場合は許可後に当該事業へ専従する常勤役員1名が受験者となります。

 

一般貨物自動車運送事業の許可取得までにかかる期間

一般貨物自動車運送事業は、申請を提出してすぐに営業を始められるものではありません。申請前の準備、許可審査、許可後の手続きを含めてスケジュールを考える必要があります。

申請から許可までの標準処理期間

許可申請の標準処理期間は、管轄する地方運輸局によって最新情報を確認する必要があります。
例えば関東運輸局では、2025年8月1日以降に受け付けた一般貨物自動車運送事業の許可申請について、標準処理期間を3~5ヶ月としています。

標準処理期間とは、適法な申請を通常処理するために必要となる期間の目安です。次のような期間は含まれません。

  • 申請書類の不備を補正するために必要な期間
  • 審査途中で申請内容を変更するために必要な期間
  • 法令試験で不合格となり、再試験を受けるまでの期間

そのため、「申請すれば必ず3~5ヶ月で許可が出る」という意味ではありません。

初回相談から許可申請までの準備期間

申請前には、営業所や車庫の選定、車両の確保、運行管理者・整備管理者などの人員計画、所要資金の計算、残高証明書の準備などを進める必要があります。
当所で手続きを進める場合でも、案件の状況によっては申請までに1~2ヶ月程度の準備期間を要することがあります。

ただし、これは法令上定められた期間ではありません。すでに営業所・車庫・車両・管理者などが整っている場合と、一から探す場合では必要な期間が大きく異なります。

初回相談から運輸開始までの期間の目安

例えば、関東運輸局の標準処理期間を前提として考える場合、次のようなスケジュールを想定することができます。

【すでに法人・事業主体があり、許可申請の準備から始める場合】

  • 申請前の準備:1~2ヶ月程度を想定
  • 申請~許可:標準処理期間3~5ヶ月
  • 許可後の運輸開始準備:数週間~1ヶ月程度を想定

スムーズに進んだ場合でも、相談から実際の運輸開始までは5~8ヶ月程度を想定しておくとスケジュールを組みやすくなります。

【新たに法人を設立してから申請する場合】

  • 会社設立手続き
  • 申請前の準備:1~2ヶ月程度を想定
  • 申請~許可:標準処理期間3~5ヶ月
  • 許可後の運輸開始準備:数週間~1ヶ月程度を想定

法人設立から始める場合には、6ヶ月以上かかることも珍しくないため、余裕を持った計画を立てることが重要です。

なお、これらはあくまで実務上の目安です。地域、物件、車両、人員、資金の準備状況などによって大きく変わります。

 

書類不備や法令試験によって期間が延びることがある

申請書の記載漏れや添付書類の不足があると、補正に必要な期間だけ許可までの期間が延びる可能性があります。

また、法令試験に不合格となった場合には再試験が必要になります。関東運輸局では、2026年7月以降の取扱いとして、初回試験で合格基準に達しなかった場合は翌々月に1回に限って再試験を受けることができ、再試験でも合格しなかった場合は原則として申請が却下されます。

法令試験の再受験までの期間は、関東運輸局の標準処理期間には含まれません。

運送業許可を取るまでの期間を理解して事業開始日を逆算する

一般貨物自動車運送事業では、許可が出る前から実際の有償運送を始めることはできません

そのため、荷主との契約開始日、車両購入やリースの開始時期、営業所・車庫の賃貸開始日、ドライバーの採用時期などを許可予定日から逆算して決める必要があります。

特に車両や人員を早く確保しすぎると、許可が出るまで固定費だけが発生する可能性があります。一方で準備が遅すぎると、許可後すぐに運輸開始できないこともあります。

 

一般貨物自動車運送事業の許可取得に必要な費用と資金調達

一般貨物自動車運送事業を始める際には、行政上の手続き費用だけでなく、車両・営業所・車庫・保険・人件費などさまざまな資金が必要です。

登録免許税と行政書士費用

  • 登録免許税一般貨物自動車運送事業の新規許可を受けた場合は12万円
  • 行政書士報酬:依頼する行政書士事務所や業務範囲によって異なります

行政書士報酬には全国一律の金額はありません。許可申請のみを依頼する場合と、会社設立、営業所・車庫の調査、各種変更手続きなどを含めて依頼する場合では料金が異なります。

依頼前に、どこまでの手続きが報酬に含まれているのか確認することが重要です。

その他の初期費用

実際に事業を始めるには、登録免許税以外にも次のような費用が発生します。

  • トラックの購入費またはリース費用
  • 営業所の賃料・敷金など
  • 車庫の賃料・敷金など
  • 自賠責保険・任意保険などの保険料
  • 自動車税などの租税公課
  • ドライバーや管理者などの人件費
  • 燃料費
  • 車両の点検・整備費
  • 備品・通信設備などの費用

事業計画によっては多額の資金が必要になりますが、「一般貨物自動車運送事業なら必ず数千万円必要」と一律に決まっているわけではありません。

車両を購入するかリースするか、営業所や車庫をどの地域で借りるかなどによって必要額は大きく変わります。

資金調達には日本政策金融公庫なども検討する

自己資金だけで事業開始資金を準備できない場合には、金融機関からの融資を検討する方法があります。

例えば日本政策金融公庫では、創業者などを対象とした「新規開業・スタートアップ支援資金」が用意されています。設備資金や運転資金などに利用できる制度ですが、融資には審査があり、必ず利用できるわけではありません。

また、自治体や時期によっては、環境性能の高い車両の導入、設備投資、雇用などに関する補助制度が設けられている場合があります。
許可申請で求められる資金要件と金融機関の融資審査は別の制度であるため、融資を利用する場合は早い段階から資金計画を立てておきましょう。

 

一般貨物自動車運送事業許可の5年更新制について

一般貨物自動車運送事業の許可については、これまで原則として一定期間ごとに更新する制度ではありませんでした。

しかし、2025年6月11日に公布された「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律(令和7年法律第60号)」により、トラック運送事業者の許可について5年ごとの更新制度を導入することが決定しています。
ただし、2026年8月時点では5年更新制はまだ施行されていません

国土交通省によると、更新制度に関する規定は、法律の公布の日から起算して3年を超えない範囲内で、政令で定める日に施行される予定です。

5年更新制は「検討中」ではなく法律として決定済み

注意したいのは、「5年更新制を導入するかどうかが検討されている段階」ではないことです。

更新制度そのものは法律としてすでに成立しています。ただし、2026年8月時点では施行前であり、具体的な更新手続きや制度運用などについては、今後公表される政省令・通達・国土交通省の案内を確認する必要があります。

更新審査の具体的な基準は最新情報を確認する

許可更新制度の導入後は、一定期間ごとに許可を更新するための手続きが必要になります。

一方、2026年8月時点では、実際の更新手続きについて今後確認すべき事項も残されています。そのため、現段階で「点呼記録に不備があれば必ず更新できない」「事故を起こしたら更新されない」などと断定することは適切ではありません。

ただし、現在でも一般貨物自動車運送事業者には、運行管理、整備管理、点呼、社会保険等への適切な加入、帳簿や記録の保存など、さまざまな法令遵守義務があります。
更新制度の導入にかかわらず、日頃から適切な運営体制を整えておくことが重要です。

更新を行わなかった場合について

5年更新制が施行された後は、許可を継続するために所定の更新手続きが必要になることが予定されています。

ただし、既存事業者への経過措置、最初の更新時期、更新申請期間などについては、実際に制度が施行される際の最新情報を確認する必要があります。

現時点で「すでに5年ごとの更新が必要」と誤解しないよう注意してください。

 

許可取消しにつながる違反と白ナンバー運送のリスク

一般貨物自動車運送事業の許可を取得した後も、貨物自動車運送事業法や輸送安全規則などを遵守しなければなりません。重大な違反や違反の繰り返しなどがあれば、行政処分や許可取消しにつながる可能性があります。

典型的な違反行為

  • 名義貸し:自社の名義を利用して他人に運送事業を経営させる行為
  • 運行管理に関する違反:適切な点呼や運転者管理を行わない、過労運転を防止するための措置を講じないなどの行為
  • 整備管理に関する違反:必要な点検・整備を行わないなどの行為
  • 記録・報告に関する違反:法令で必要とされる記録を作成・保存しない、必要な報告を行わないなどの行為

違反内容によって行政処分の内容は異なります。必ずしも1回の軽微な記録漏れだけで直ちに許可が取り消されるわけではありませんが、日常的な管理体制を整備しておくことが重要です。

許可取消しを防ぐための対策

許可取得後は、運行管理者や整備管理者だけに管理業務を任せきりにせず、経営者も法令遵守状況を定期的に確認することが重要です。
例えば、次のような事項を継続的に確認するとよいでしょう。

  • 点呼が適切に実施・記録されているか
  • 運転者の拘束時間や休息期間が基準に適合しているか
  • 車両の点検・整備が適切に行われているか
  • 必要な帳簿や記録を保存しているか
  • 事業報告書など必要な届出・報告を行っているか
  • 事業計画に変更が生じた場合に必要な手続きを行っているか

白ナンバーで無許可の有償運送を行うリスク

一般貨物自動車運送事業の許可を受けず、他人から有償で貨物の運送を引き受けて事業として行う、いわゆる違法な「白トラ」行為は貨物自動車運送事業法違反となります

無許可で一般貨物自動車運送事業を経営した場合は、貨物自動車運送事業法に基づき、3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、またはこれらの併科となる可能性があります。

なお、2025年6月の法改正を受け、2026年4月1日からは違法な白トラ事業者に貨物運送を委託する荷主等についても新たに規制が強化されています。
違法な白トラであることを認識しながら運送を委託した荷主等については、100万円以下の罰金が科される場合があります。

一方、自社商品の配送など、自ら行う事業と運送が密接不可分であり、運送行為に独立性がない場合などには、白ナンバー車による運送であっても貨物自動車運送事業の許可が不要となる場合があります。
許可の要否は個別の事業形態によって判断されるため、判断に迷う場合は事前に専門家や運輸支局へ確認しましょう。

行政書士に一般貨物自動車運送事業の許可申請を依頼するメリット

一般貨物自動車運送事業許可申請は、自分で行うこともできます。
一方で、営業所や車庫の要件、車両、人員、資金計画などについて細かな確認が必要となるため、初めて申請する場合は準備に時間がかかることがあります。

  • 行政書士への依頼を検討しやすいケース:営業所や車庫の要件判断が難しい、申請書類を作成する時間がない、複数の要件を同時に確認したい場合など。
  • 専門家へ依頼するメリット:許可要件の事前確認、必要書類の整理、申請書作成の負担軽減、運輸支局への確認や手続きのサポートなどが期待できます。

ただし、行政書士へ依頼したからといって許可取得そのものが保証されるわけではありません。最終的には、申請内容が法令や管轄運輸局の許可基準を満たしていることが必要です。

 

よくある質問

Q1. 一般貨物自動車運送事業の許可取得にはどのくらいの期間がかかりますか?

管轄する地方運輸局によって異なります。例えば関東運輸局では、2025年8月1日以降の一般貨物自動車運送事業の許可について標準処理期間を3~5ヶ月としています。これに申請前の準備期間や許可後の運輸開始手続きを加える必要があるため、相談から実際の事業開始までは5~8ヶ月程度を見込むケースがあります。ただし、これはあくまで目安であり、案件によって異なります。

Q2. 一般貨物自動車運送事業の許可は現在5年ごとに更新する必要がありますか?

2026年8月時点では、まだ5年更新制はまだ施行されていません。ただし、2025年6月に公布された改正貨物自動車運送事業法によって、5年ごとの更新制度を導入すること自体は決定しています。施行日は公布日から3年以内の政令で定める日とされているため、今後の国土交通省の発表を確認する必要があります。

Q3. 運行管理者がいないと申請できませんか?

許可申請では、事業開始時までに必要な人数の運行管理者を確保できる管理計画が必要です。また、許可後は運輸開始前に運行管理者の選任届を行うことが許可条件となっています。申請時点での具体的な人員確保状況については、管轄する運輸支局に事前確認することをおすすめします。

Q4. 白ナンバーで荷物を運ぶと違法になりますか?

単に荷物を運んだだけで直ちに違法になるわけではありません。他人の需要に応じ、運送の対価を受け取って事業として貨物を運送しているかどうかなど、実際の取引内容によって判断されます。継続的に他人の貨物を有償で運送する場合は、一般貨物自動車運送事業貨物軽自動車運送事業などの手続きが必要になる可能性があります。

Q5. 行政書士に依頼した場合の費用はいくらですか?

行政書士報酬には全国一律の料金はありません。一般貨物自動車運送事業許可申請のみを依頼するのか、法人設立、営業所・車庫の確認、各種届出などまで依頼するのかによって費用は異なります。当所の場合も、ご依頼内容を確認したうえで料金をご案内しておりますので、詳しくはお問い合わせください。

 

まとめ

一般貨物自動車運送事業を始めるには、貨物自動車運送事業法に基づく許可が必要です。法人だけでなく個人でも申請できますが、原則として営業所ごとに5台以上の車両を配置することに加え、営業所・車庫・運行管理者・整備管理者・運転者・資金計画など、さまざまな要件を満たす必要があります。

許可取得に必要な期間については、例えば関東運輸局では申請から許可までの標準処理期間を3~5ヶ月としています。ただし、営業所や車庫の選定、資金の準備、申請書類の補正、法令試験、許可後の緑ナンバー取得などを考えると、実際に事業を開始するまでにはさらに時間が必要です。

また、2025年6月に成立・公布された改正法によって、トラック運送事業の許可に5年ごとの更新制度を導入することが決定しました。2026年8月時点ではまだ施行されていませんが、今後は許可取得時だけでなく、許可取得後の法令遵守や適正な事業運営もより重要になると考えられます。

運送業の開業を検討している場合は、事業開始予定日から逆算し、営業所・車庫・車両・人員・資金について早い段階から準備を進めることが重要です。


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【参考文献】

  • この記事を書いた人
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行政書士法人シフトアップ 代表社員 川合智

川合 智

12年間の運送会社勤務経験を持ち、累計相談数は10,000件以上。運行管理者・配車・総務経理など運送事業の現場を知り尽くした圧倒的な業務ノウハウを基に運送業、貸切バス、介護タクシー、産廃収集運搬などの許認可をメインに日本全国対応で力強くサポート。
【保有資格】行政書士【商工会議所】名古屋商工会議所【著書】 トラック運送業の運輸局監査対策行政書士のための運送業許可申請のはじめ方

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