トラック協会に加入すると、さまざまな補助金や助成金を受けることができます。トラック協会に加入したばかりで、自社ではどの補助金や助成金が活用できるのか、くわしく知りたいという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、そんな疑問を分かりやすく解説していますので、参考にしてください。まずは、もらえる補助金と助成金の種類について解説します。
トラック協会の補助金と助成金の種類
トラック協会に加入する大きなメリットとして、さまざまな補助金や助成金が受けられる点があります。もらえる補助金と助成金の種類は3項目。それでは、令和4年度の助成事業を具体的に見ていきましょう。
安全対策事業の補助金・助成金
まず、安全対策事業に対してもらえる補助金・助成金として発表されている4種類をご紹介します。
安全装置等導入促進助成事業
対象となるのは、下記の装置導入費用です。
機器名 | 条件等 |
後方視野確認支援装置 | 常時、後方視野が確保できる必要あり |
側方視野確認支援装置 | 車両総重量7.5トン以上の車両のみ対象 |
呼気吹込み式アルコールインターロック | 国交省技術指針に適合している機器のみ対象 |
IT機器を活用した遠隔地で行う点呼に使用するアルコール検知器 | Gマーク認定事業所が導入する場合のみ対象 |
トラック運送業の安全確保に直結するものばかりですので、積極的に活用しましょう。特に遠隔点呼で使用するアルコール検知器は高額なので活用したいところです。
ドライバー等安全教育訓練促進助成制度
ドライバー等に対する安全教育訓練で、全国トラック協会が指定する研修が対象です。
トラック運転者の「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」スクリーニング検査助成事業
指定検査・医療機関が実施するSASスクリーニング検査のうち、健康保険適用外である1次検査および2次検査が対象です。
助成額は1次検査費用の半額(一人500円が上限)、2次検査費用の半額(一人2,000円が上限)。
血圧計導入促進助成事業
管理医療機器かつ特定保守管理医療機器である全自動血圧計(業務用)が対象です。
助成額は機器購入費用の2分の1(上限5万円)。
環境対象事業
対象となるのは環境対策に関する下記の事業です。
環境対応車導入促進助成事業
車両総重量2.5トン超えの下記車両のうち、2022年4月1日~2023年3月10日の間に新規登録または構造変更等が完了する車両。
国土交通省が補助金を併用することを条件とするもの(協調補助)
- 天然ガス自動車(新車)
- ハイブリッド車(新車)
- 天然ガス自動車(使用過程にあるディーゼル車からの改造)
国土交通省の補助金を併用することを条件としないもの(新車)
- 大型天然ガス自動車
- 大型ハイブリッド自動車
- 電気自動車
アイドリングストップ支援機器導入促進助成事業
ドライバーが休憩、荷待ち時間等にかかわるエンジン停止時に相当時間連続して使用可能な車載用連暖房機器で、下記のものが対象です。
- エアヒータ
- 車載バッテリー式冷暖房装置
助成額は機器の価格の2分の1(上限6万円)。
経営改善事業
経営改善事業にかかわる下記の8種類が対象となります。
準中型免許取得助成事業
準中型免許取得のために指定教習所で事業者が負担した下記の費用が対象です。
- 準中型免許の取得費用
- 5トン限定準中型免許の限定解除費用
中小企業大学校講座受講促進助成制度
トラック協会会員の経営者・管理者等を対象に、中小企業大学校各校で実施される経営戦略等の講座受講費用が対象です。
自家用燃料供給施設整備支援助成事業
1000リットル以上の軽油専用タンクの設置を伴う自家用燃料供給施設の新設・増設または増設を伴う代替を行い、2022年4月1日~2023年5月28日までに地区消防組合等から危険物取扱所の完了検査済証の交付を受け、設備の支払いを完了するものが対象です。
助成額は軽油タンクの新設(1か所分のみ)100万円。軽油タンク増設または増設を伴う代替は30万円。
インターンシップ導入促進支援事業
トラック協会の「全日本トラック協会インターンシップ専用サイト」から高等学校以上の教育機関より3日間以上のインターンシップを受け入れた事業者が対象です。
経営診断事業
全国トラック協会経営診断システムによる「総合的な経営診断」「経営改善相談」にかかる必要の一部が対象です。
総合的な経営診断にかかる費用が16万円+税、経営改善相談が5万円+税で、助成額は総合的な経営診断が8万円、経営改善相談が2万円です。
中央近代化基金の「補完融資」
物流施設の整備等で、事業規模が1億円以上の大規模プロジェクトが対象です。
中央近代化基金の「燃料費対策特別融資」
ポスト新長期規定適合車または平成28年排出ガス規制適合車で、平成27年度燃費基準を達成した車両の導入および自家用燃料供給施設の設備資金が対象です。
点呼支援機器等の導入促進助成事業
ロボット点呼にかかわる機器導入費用が対象です。具体的には、国土交通省の実証実験で使用されている点呼支援機器(株式会社アブアシストが開発したロボット点呼(通称、ユニボ))にかかわるシステム機器一式が対象となります。
助成額の上限は10万円です。
トラック運送事業者にとって、従業員の定着率を高めるために、スキルアップ支援は重要です。免許取得や講座受講などを福利厚生の一環として活用することもできます。また、忙しい中小事業者にとって嬉しい経営そのものをサポートしてもらえる助成も次々登場しています。こまめにホームページをチェックして、当てはまりそうな制度は有効活用していきましょう。
トラック協会の補助金・助成金を活用したい3項目
このように、トラック協会の補助金・助成金は、安全対策・環境対策・経営改善とさまざまなシーンにおいて支援を受けることができるのです。
ここからは、数ある制度の中でも、多くの事業者が今すぐ活用しやすい3項目にしぼって、具体的な内容を解説していきます。
①大型・準中型免許取得で活用
ドライバーの高齢化が深刻な課題となっているトラック運送業。若手の労働力を確保するため、トラック協会から免許取得に対して助成金が受けられます。ドライバーとして採用した従業員が、大型・準中型免許を取得する際にかかった費用に対して助成金が出るものです。
具体的な申請要件や支給額については、所属する地域のトラック協会によって異なるため、所属先に確認の上、申請手続きを行なってください。
②ドライブレコーダーの導入で活用
事故防止や安全運転へ取り組む事業者への支援も手厚いトラック協会。ドライブレコーダーの普及を協会として推進しており、導入すると助成金が受けられます。
トラックに急ブレーキなどの衝撃が発生した際、その前後の音声や映像、走行データを自動的に記録するドライブレコーダーは、何かあった時にドライバーや事業者の権利を守ることにも繋がります。まだ導入していない場合は、助成金を活用してみてはいかがでしょうか。
③バックカメラの導入で活用
事故や安全運転に対する助成金が豊富にある中で、もう1つオススメなのが、安全運転をサポートするカメラの導入です。具体的には、後方確認をサポートするバックカメラ、側方確認をサポートするサイドビューカメラの導入が該当します。
さらに、飲酒運転を防止するアルコールインターロック装置、IT技術の活用により遠くにいるドライバーの点呼の際に活躍する携帯用アルコール検知器など、安全のための装置を導入すると助成が受けられます。車両1台につき2~4万円と助成額も大きいので、まだ導入していない装置がある場合は、活用するメリットは大きいです。
トラック協会とは
トラック協会とは、貨物自動車運送事業の適正な運営と構成な競争を確保することで、事業の健全な発達を促進することを目的とする公益社団法人です。
公益財団法人全日本トラック協会と一般社団法人都道府県トラック協会で組織されており、トラック運送事業者は、営業所を管轄する都道府県トラック協会に加入することになります。
まとめ
トラック協会に加入している事業者だけが受けることができる各種補助金や助成金。初めて利用する際は、たくさんの種類の中から該当する制度を探し出し、申請手続きをすることに煩雑さを感じるかもしれません。しかし、1度手続きの流れを理解すればそこまで難しい手続きではありませんので、積極的に活用することをオススメします。
従業員やトラックの保有台数が増えるほどに、補助金や助成金の恩恵も大きくなり、事業拡大やサービス向上を後押ししてくれる心強い存在となるでしょう。
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