トラックの速度抑制装置について「付いていることは知っているけど、目的や効果はくわしくわからない」という方も多いのではないでしょうか。この記事では、トラックの速度制限を遵守するための「速度抑制装置(スピードリミッター)」について、わかりやすく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
まずは、高速道路におけるトラックの速度制限から解説します。
高速道路におけるトラックの速度制限は何km?
高速道路における、大型トラックの法定制限速度は80㎞です。この法定制限速度を遵守させるために取り付けが義務付けられたのが速度抑制装置。
国土交通省により、平成15年9月以降新たに登録される大型トラックへ速度抑制装置を装着することが義務付けられました。また、すでに登録済みのトラックについても、平成15年9月から3年間の経過措置を設けて、速度抑制装置の取り付けが義務となったのです。
大型トラックが付けている速度抑制装置とは
それでは、速度抑制装置とはどんな装置なのでしょうか。簡単にいうと、一定以上の速度が出ないようにするストッパーで、スピードリミッターとも呼ばれます。
具体的には、時速90㎞以上のスピードが出ないようになっており、90㎞から制限がかかります。この速度抑制装置が取り付けられたトラックでは、どれだけアクセルを踏んでも90㎞以上は加速しません。
速度抑制装置の対象車両
続いて、対象となる車両について見ていきましょう。速度抑制装置の対象車両は、車両総重量80キロ以上、もしくは最大積載量が5トン以上の大型トラックです。さらに、大型トラックをけん引するけん引自動車も、対象に入ります。
速度抑制装置の取り付け目的
ここまでの説明で、「そもそも速度抑制装置とは」「速度抑制装置の対象とは」といった基本はご理解いただけたと思います。それでは、速度抑制装置を取り付ける目的は何なのでしょうか。
国土交通省より、取り付けが義務付けられた速度抑制装置。その速度抑制装置の取り付け目的は、主に2つあります。
目的1| 重大事故を未然に防ぐ
1つ目は、速度超過による重大事故を未然に防ぐこと。時速80kmを越えると、死亡事故や重大な追突事故の発生率が高まるため、アクセルを踏んでも90㎞以上の速度が出ないように制限をかけたのです。
目的2| 環境対策
2つ目は、二酸化炭素排出量の増加や燃費の低下などの環境対策をすること。速度を制限することで、二酸化炭素の排出量が減ることはもちろん、燃費の向上にも良い影響があるのです。
速度抑制装置設置による3つの効果
それでは、実際に速度抑制装置をつけることで、どんな効果が見られたのでしょうか。国土交通省から発表されているデータをもとに、3つのポイントに分けて解説します。
効果1|重大事故の低減
まず、高速道路におけるトラックの事故は減っています。平成17年の大型トラックによる死亡事故の件数は、約40%も減少(平成9年〜平成14年の平均件数と比較)していて、速度抑制装置の効果は大きかったと言えます。
効果2|二酸化炭素排出量の削減
そして、速度抑制装置によりスピードが抑えられ、燃費の向上に効果があったこともわかっています。
すべての大型トラックに速度抑制装置が装着されると、高速道路を走行する自動車全体から年間55.5万〜118.5万トンの二酸化炭素排出量が削減されるという試算もあります。環境対策への効果は、徐々に拡大していくでしょう。
効果3|スピード低下による交通流への影響なし
当初は、速度抑制装置を取り付けることで、スピードが落ち、渋滞が発生しやすくなるなど交通への影響が懸念されていました。しかし、スピード低下によって交通に影響を与えたという明確な結果は見られなかったのです。
輸送する時間が長くなる傾向はありましたが、それによりドライバーの勤務体系が大きく変わるといった直接的な影響はありませんでした。
まとめ
トラックの速度抑制装置について解説しましたが、いかがでしたでしょうか。速度抑制装置の取り付けは義務であり、改造は禁止されています。義務付けられた当初は「納品時間に間に合わない」「渋滞などで高速道路が走行しにくくなる」といった懸念の声もありました。
しかし、重大事故の減少や燃費の向上といったドライバーやトラック事業者にとってもメリットが大きいことが証明されています。目的や効果を正しく理解し、安全なトラック運送に取り組んでいきましょう。
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