運送業許可申請(正式には一般貨物自動車運送事業許可申請)から許可取得して運送業を開業するまでの流れのご説明です。
前半で運送業許可申請をするまでの大まかな流れ、後半で申請受付から運送業開業までの流れをご説明しております。運送業をはじめたいという方は是非ご覧ください。

運送業許可の申請をするまでの流れ
運送業許可申請を行うには、許可取得のための条件をクリアして申請書類を作成しなければいけません。申請書類作成までの大まかな流れは以下の通りです。
- 自己資金の確保(1,500万円~2,500万円ほど。平均1,800万円ほど。)
- 車両の台数に合わせた人数の運転者の確保
- 運行管理者資格を持った者の確保(最低一人)
- 運行管理者資格を持っているか、または運行管理基礎講習を修了している者の確保(最低一人)
- 整備管理者の確保(最低一人)
- 運送業に使用する営業所、休憩室・睡眠施設の確保(睡眠施設は必用な場合のみで構いません)。
- 事業に使用するトラックを駐車する車庫(駐車場)の確保。
- 申請に必要な添付書類の収集
- 運送業許可申請書類の作成
- 地方運輸支局へ運送業許可申請書の提出
ざっくり上記のような流れとなります。
運送業許可申請に必要な添付書類とは
運送業許可申請の添付書類は主に下記のとおりです。
- 申請者が法人の場合は履歴事項全部証明書(原本が必用)と定款
- 申請者が個人の場合は、戸籍抄本および住民票(原本必用)と資産目録
- 法人の場合は役員全員、個人の場合は事業主の履歴書
- 運行管理者資格者証の写し
- 整備士3級以上の資格者証または整備管理者選任前研修の修了証の写し
- 営業所および休憩室・睡眠施設の使用権限がわかる登記簿謄本または賃貸借契約書の写し
- 営業所および休憩室・睡眠施設の位置図、平面図、求積図と写真
- 車庫の使用権限がわかる登記簿謄本または賃貸借契約書の写し
- 車庫の位置図、平面図、求積図と写真
- 事業用自動車の車検証および使用権限を証明するための売買契約書・リース契約書など
- 道路幅員証明書または幅員が車両制限令に抵触しない旨の証明書
など。
運送業許可申請書類の受付窓口
運送業許可申請の受付窓口は、運送業に使用する営業所を管轄する地方運輸支局となります(愛知県に営業所がある場合は「愛知運輸支局」)。なお、地方運輸支局は各都道府県に一つしかありませんのでご注意ください。
運送業許可申請受付から運送業開業までの流れ
①地方運輸支局および地方運輸局での書類審査
運送業許可申請書類の受付をした地方運輸支局で書類の審査が行われます。審査期間は4カ月~5カ月となります。審査が行われている間に②~④までを実施または準備します。
注意
※2019年11月の法改正により、それまで3~4か月だった審査期間が4~5か月に伸びました。また、新型コロナの流行で審査が遅れるケースも見受けられます。
②法令試験の受験とヒアリング
運送業許可申請受付後の最初に来る奇数月に法令試験を受験します。受験者は個人事業主の場合は事業主本人、法人の場合は常勤の役員のうち一人です。
法令試験は2カ月に一回実施され、不合格が2度続くと申請は一旦取消しとなりますので頑張って勉強しましょう。ちなみに試験の合否は中部圏で即日わかりますが、近畿は受験から1週間ほど経過しないと合否がわかりません。
※新型コロナの流行による緊急事態宣言などの影響で法令試験が遅れるケースも見受けられます。
最近の愛知県の合格率は60%、つまり10人受けて6人しか合格できていないということです。法令試験に対する不安を取り除くために、弊社シフトアップでは、法令試験対策問題集をお渡しする事が可能ですのでご安心ください。
法令試験終了の当日、運輸局から簡単なヒアリングが行わる場合があります。弊社シフトアップではヒアリング予想質疑集を無料でお渡ししておりますので心配はいりません。
③2度目の残高証明書の提出
申請受付から約2ヶ月後に2度目の残高証明書提出の通知が地方運輸支局から通知が来ます。
申請者名義の口座に事業開始に必用な資金が確保されていることを証明するため、指定された期間内の残高証明書を金融機関で取得して提出します。
④社会保険・労働保険の加入と36協定の締結
法人の役員や従業員を健康保険・厚生年金、労災保険・雇用保険(法人役員は除く)へ加入させます。許可取得後に提出する書類への添付書類として、これら保険関係に加入した証明書類を提出しないといけません。
一刻も早く緑ナンバーで運送業を開始したい場合は、許可取得前に加入を済ませておきましょう。
36協定書は、従業員に時間外労働(残業や休日出勤など)を行わせるために必用な書類です。労働組合がある場合はその代表、なければ従業員の代表と協定を結び、労働基準監督署へ提出します。
注意!
2020年か36協定書の様式が変更されました。トラック運送事業者が作成・提出するのは「様式第9号の4」になります。
⑤運送業許可取得の通知
法令試験に合格し、運輸局での審査が終了したら営業所管轄の地方運輸支局から許可取得の通知が入ります。弊社シフトアップへご依頼頂いた場合は、弊社へ通知が入ることになります。
⑥運送業許可証の交付式と登録免許税納付書類取得
運送業許可証(正しくは運送業許可書)の交付式は、営業所を管轄する運輸支局にて行われます(地域により行われない場合もあります)。交付式は許可取得から1週間以内に行われるのが慣例です。個人事業主の場合は事業主、法人の場合は役員または運行管理者がなるべく出席するようにしてください。
交付式では、運送業許可証と登録免許税納付書が手渡されるほか、約2時間かけて一般貨物自動車運送事業者として守るべき法令や、許可取得後に提出する書類の説明などを受けます。
行政処分などについての話もあるので眠らずにしっかり聞いてください。
⑦登録免許税の納付
登録免許税12万円を金融機関で納めます。登録免許税は許可取得の日から1カ月以内に納めないといけません。コンビニでは納付できないため、銀行か郵便局で納付してください。
⑧運行管理者と整備管理者選任届の提出
運行管理者と整備管理者の「選任届」という書類を運輸支局へ提出します。提出先は、運送業の営業所を管轄する運輸支局の保安課(地域により名称が異なる)です。
⑨運輸開始前確認の提出
下記の書類を添付して「一般貨物自動車運送事業の運輸開始前の確認について(通称、開始前確認)」という書類を営業所管轄の運輸支局へ提出します。
- 運輸支局受付印のある運行管理者と整備管理者の選任届写し
- 法人、役員、従業員(短時間労働者を除く)が健康保険・厚生年金保険、労災保険・雇用保険に加入したことを証明する書類の写し
- 労働基準監督署の受付印のある36協定書の写し
⑩事業用自動車等連絡書の取得
運輸開始前確認を提出すると、「事業用自動車等連絡書」という書類が地方運輸支局で発行されます。これは一般的に「連絡書」と言われている書類です。連絡書は自家用自動車でいう車庫証明に当たります。
⑪緑ナンバー取得
運送業に使用予定として申請書に記載した事業用トラックを営業ナンバー、いわゆる「緑ナンバー」に変更し、新車検証を取得します。
※すでに緑ナンバーの付いている車両は、車検証の変更のみ行います。
緑ナンバーに変更したら、自動車任意保険に加入します。すでに加入している場合は、営業用自動車に対応できるよう補償の内容を変更しましょう。
⑫運輸開始届・運賃料金設定届の提出後に運送業開業
新車検証の写しと営業用ナンバー対応の自動車任意保険の保険証券の写しを添付し、「運輸開始届」を営業所管轄の運輸支局へ提出をします。同時に「運賃料金設定届」を提出すれば晴れて運送業開業となります。
⑬巡回指導
運輸開始届の提出後、3ヵ月~6ヶ月月後を目安に「適正化事業実施機関」による巡回指導が行われます。日程は1ヶ月ほど前に申請者様へ書面で通知されます。
巡回指導は、A~Eの5段階で評価され、DまたはEの場合は行政処分の対象となります。帳票類、特に点呼簿と日報を重点的に見られますので、日々の運送業事務をしっかり行いましょう。
弊社シフトアップでは、帳票類のチェックなど巡回指導対策も承っておりますのでご安心ください。
まとめ
運送業は許可取得後も、様々な書類を提出しないと開業できません。開業後は、定められた帳票類を作成・保管する義務が発生します。しっかり管理するようにしてください。
万が一、巡回指導で行政処分の対象となり、車両停止処分になれば売上がダウンして貴社の経営を圧迫しかねません。
運送業開業に関する疑問や相談は、年間相談件数430件を超える運送業許可のプロ事務所「行政書士法人シフトアップ」へお気軽にご相談ください。
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