運送業の起業を失敗しないための重点ポイント

行政書士法人シフトアップ 代表社員 川合智

川合 智

12年間の運送会社勤務経験を持ち、累計相談数は10,000件以上。運行管理者・配車・総務経理など運送事業の現場を知り尽くした圧倒的な業務ノウハウを基に運送業、貸切バス、介護タクシー、産廃収集運搬などの許認可をメインに日本全国対応で力強くサポート。
【保有資格】行政書士【商工会議所】名古屋商工会議所【著書】 トラック運送業の運輸局監査対策行政書士のための運送業許可申請のはじめ方

トラック運送業の許可は、建設業や産廃収集運搬業などの許認可に比べ、開業資金の確保などハードルがかなり高い許可です。

いま運送業許可を取得して勝ち残ることができれば、今後さらに許可要件が厳しくなる可能性の高い運送業許可はお宝となることは容易に想像できます。

事実、2019年の貨物自動車運送事業法の改正で、開業に必要な資金の額が、それまでの2倍以上必要となりました。今後も要件が厳しくなることはあっても、緩くなる可能性は99%ありません。

この記事では、トラック運送業で起業して新規参入される方のために、起業に必要な資金、事務所と駐車場、運行管理者・整備管理者の要件など、重点的に押さえるポイントについて解説します。

トラック運送業で起業をご検討中の方はぜひ参考にしてください。

トラック運送業開業までの流れ

トラック運送業を開業するまでの具体的な流れは以下の通りです。

申請書を提出してから審査が完了するまでは4〜5ヵ月、その後の手続きに2〜3ヵ月程度かかります。

運送会社を起業する方は誰もが通る道なので、しっかり目を通しておきましょう。

12345678開業
申請書の作成

必要書類収集
申請書類を運輸支局へ提出運輸支局・運輸局での審査(4~5ヵ月)運送業許可書の交付式運行管理者・整備管理者選任届提出運輸開始前確認の提出緑ナンバーへの変更運輸開始届・運賃料金設定届の提出
社会保険加入・36協定締結
役員法令試験の受験残高証明書提出(2回目)登録免許税納付

詳しい流れについては、以下の記事をお読みください。

 

トラック運送業起業を考えたらまず準備すべきこと

トラック運送業で起業するには様々なハードルを乗り越える必要があります。とは言え、決して取得できない許可ではありません。慎重な検討を重ねれば取得可能です。

では、まず何から検討していけば良いのか見ていきましょう。

 

運送業起業に必要な資金の確保

トラック運送業を起業する際は、およそ1,500〜2,500万円の開業資金が必要です。

開業資金は、トラック運送会社を開業するための資金(初期費用)+当面の運行を続けていくための資金(運用費用)がかかります。

具体的な費用は以下の通りです。
※個人の状況によって必要資金は変動するため、あくまでも参考程度に留めてください。

初期費用項目料金
登録免許税12万円
車両費600~1,000万円
物件取得費50~600万円
保険料30~50万円
什器・備品代10~20万円
合計700~1,680万円
運用費用項目料金
人件費525万円
燃料費60万円
保険料20~50万円
自動車税6万円
メンテナンス費80~100万円
地代家賃90万円
水道光熱費30万円
広告宣伝費30万円
合計800~900万円

この開業資金は

  • 事務所・駐車場となる土地を購入するのか賃貸なのか
  • すでに所有しているトラックが何台あるか
  • 起業に際してトラックを何台購入するか
  • 購入するトラックは新車か中古車か

などで変わります。

トラックを購入する費用が少なければ開業資金も少なくなります。
また事務所や車庫の賃料などは地域によって変わるため、どの場所で起業するかも重要な要素です。

自己資金が少ない場合でも諦める必要はありません。
弊社は運送業許可専門の行政書士事務所として豊富な経験を有しています。

どうすれば資金調達できるかを、お客様と一緒に検討いたします。
まずはお気軽にご相談ください。

 

運送業に使用する事務所(営業所)と駐車場の確保

開業資金確保の目処がたったら、運送業に使用する事務所と駐車場の確保が2つ目のハードルとなります。
なぜなら、運送業許可の要件に合致する事務所と駐車場がなかなか見つからないからです。

したがって、運送業起業を思い立ち、資金がある程度確保できる目途がたったら、事務所と駐車場の物件探しをおこないましょう。

気に入った物件があったら、まずは仮押さえし、要件に合致する物件か調査をするのが賢いやり方です。
当社シフトアップへのご依頼者様には、要件確認から現地調査、関係自治体への折衝など全ておこないますのでご安心ください。

運送業許可申請の無料相談は行政書士法人シフトアップへ

 

運送業起業に必要なトラックの確保

運送業許可を取得して運送業で起業するには、最低でも5台の事業用貨物用自動車が必要となります。

多くの方が車両購入の際に新車か中古車かで迷われるため、新車購入と中古車購入のメリット・デメリットを比較しましたので以下をご覧ください。

 

新車と中古車のメリット/デメリット

新車トラック購入の場合

新車トラック購入のメリットは何といっても故障が少ないことでしょう。たとえ故障があったとしても、メーカー保証期間内であれば費用がかからないお得感があります。さらにドライバーのモチベーション維持にも貢献する要素ともなります。

デメリットはお察しのとおり高額であることです。
新車トラックの購入価格は大型トラックで1台おおよそ1,500万円ほど。4tトラックでおおよそ800万円ほどです。
さらに、トラックディーラーはイチゲンさんお断りなので、新規取引のハードルが高いことなどが挙げられます。

中古車購入の場合

中古車購入のメリットは、価格が新車に比べて安いことです。
しかし、年式の新しいトラックになると走行距離に関わらず新車購入と価格に大差はありません。

デメリットは中古車の数が極端に少ないため、探すのに苦労することです。また、年式の古い車両は修理代金がかさむことなどもデメリットでしょう。

 

運行管理者・整備管理者・運転者の確保

開業資金も確保できた。トラック購入の準備もできた。こうなれば運送業起業まであと一息です。

残るは運送業許可取得に必要な人員の確保となります。

必要な人員とは

  • 運行管理者と運行管理補助者
  • 整備管理者と整備管理補助者
  • 運転者(ドライバー)

のことです。

これらの人員を確保する際に、どのような点に注意する必用があるのか見ていきましょう。

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運行管理者と運行管理補助者の確保

運行管理者は、運送業界で1年以上の運行管理に関する実務経験があるか、運行管理者基礎講習を修了している者が、運行管理者試験に合格すれば資格取得できます。

運行管理者の要件は比較的簡単にクリアでき、試験も合格のハードルが低いため容易に確保可能です。

しかし、ここで盲点なのが運行管理補助者の確保です。
なぜかと言うと、運行管理補助者を確保していないと運行管理者が出勤していない場合に車両の運行ができないからです。

運送業は必ず運行管理者または補助者による出庫前、帰庫後の点呼が必要となります。点呼を行う事ができるのは運行管理者かその補助者に限られます。これらの者以外が点呼をおこなうことは違法となります。

運行管理者が従業員の場合、労働基準法の定めで最低でも月4日の休日を与えなければなりません。さらに月40時間以上の残業をさせることはできません。

そのため運行管理者が休みの日や、出勤前・退勤後は点呼をおこなう者がいないためトラックの運行ができないことになります。

運行管理者不在になることがないよう、必ず運行管理補助者を選任してください。補助者を選任すれば、運行管理者が出勤していない日や、勤務時間外の点呼が可能になり毎日の運行が可能になります。

運行管理補助者の要件

運行管理補助者の要件は、毎月各地で行われる運行管理者基礎講習を修了していることです。

この講習は3日間に渡り、最終日の試問に合格すれば修了証がもらえます。試験は決して難しいものではありませんのでご安心ください。

 

整備管理者の確保

整備管理者の確保も運送業起業にとって重要な要素になります。しかしながら運行管理者ほど容易に確保するのが難しく、特に異業種から運送業に参入される企業様は苦労されるところです。

トラックは、現在の業務で使用しているものがある。運行管理者の資格は社長や従業員が取得した。しかし、今まで運送業系の業務を行っていなかったため整備管理者の要件を満たす人員が社内にいない。

こういったご依頼者様がよくいらっしゃいます。しかし、人員要件のクリアまで後一歩です。ここであきらめないでください。

整備管理者の要件

整備管理者となるためには、下記2つの要件のうちどちらかをクリアする必用があります。

  1. 自動車の点検・整備に関する実務経験が2年以上ある者が整備管理者選任前研修を修了していること
  2. 自動車技能整備士3級以上の資格を要していること

運行管理者と違い、思い立って試験を受ければなんとかなるものでないため難しいかもしれません。しかし…

以下は、実際に弊社シフトアップへご依頼いただいたお客様のお話です。

資金もある、運行管理者資格も取得した、しかし、整備管理者がいないという事業者様がいらっしゃいました。

ある日、「川合さん、整備管理者がどうしても見つからない。どうしよう」と相談を受けました。

私は、「今いる従業員さんの履歴書を再確認して、要件を満たす人がいないか確認してください。もし、いない場合は有資格者であるシルバー人材を確保しましょう」と提案しました。

すると、その4日後に「意外と近くにシルバー人材で有資格者がいた」と電話を頂きました。

整備管理者の要件を満たす人が見つからない…そういった事業者様も今一度、周りに整備管理者資格を有している、あるいはトラック運送会社に勤務経験がある人がいないか冷静に見渡してみてください。

上記のお客様のように、身近な知り合いに資格取得者がいるかもしれません。

整備管理補助者に関しては、特に要件はありませんが、万が一、整備管理者さんが辞めた場合にスムーズな引継ぎができるように、整備管理者選任前研修を修了しておくと安心できるでしょう。

 

運転者の確保

トラック運送会社を起業するためには、運転者(ドライバー)を5人以上確保する必要があります。

必要なドライバーの人数は、配置する車両台数によって変動します。
例えば車両が7台ある場合は、7人以上のドライバーを確保していなければなりません。

ただし、トラックの免許を持っていれば誰でもドライバーとして雇用できるわけではありません。以下の項目で、トラックドライバーが満たすべき要件を解説します。

運転者の要件

トラックドライバーとして雇用される者は、2ヶ月以上の雇用契約を結んでいる必要があります。

そのため、30日以内の期間で雇われる日雇い労働者や短時間労働者、使用期間中の方は、ドライバーとして雇い入れることはできません。

ただし、必ず正社員でなければいけないわけではありません。
正社員でなくても2ヶ月を超える雇用契約を結んでいれば、アルバイトや派遣社員でもドライバーとして登録できます。

ドライバーとして雇用可能ドライバーとして雇用不可
・正社員
・派遣社員
・出向社員
・パートタイマー
・アルバイト
・日雇い労働者
・短時間労働者
・使用期間中の者

また上記に加えて、健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険に加入する必要があります。

※派遣社員や個人事業主とその家族など、雇用保険や労災保険に加入できない場合は、加入する必要はありません。

 

運送業を開業するメリット

運送業を開業するメリット

ここからは、運送業を開業する3つのメリットを紹介します。

  • 常に需要があるので仕事がなくならない
  • 社会的信用が得られる
  • 融資が受けやすくなる

それぞれ見ていきましょう。

 

常に需要があるので仕事がなくならない

運送業界は、将来性の高い業界といわれています。

人が消費活動をおこなう限り、物を運ぶ手段は必要です。
たとえ今後ITやAI技術が発達して、ドローンや自動運転ロボットによる運送が実現したとしても、それらがスタンダードになるには相当の時間を要するでしょう。

また、近年のEC市場の急拡大によって、荷物の個数は常に増え続けています。
今後数年は安定して仕事が供給される見込みがあるため、食い逸れる心配はないでしょう。

 

社会的信用を得られる

運送業許可を取得して会社を起業すれば、社会的信用を得られます。

なぜなら、運送業許可は法令で定められた厳しい要件をクリアして、やっと取得できる許認可だからです。

もし仮に自分が荷主だとして、自社の荷物の運送を依頼する場合、運送業許可を持つ事業者かそうでないか、どちらを選ぶかは明白でしょう。

大手企業の中には、許可を持つ事業者とだけ取引をおこなうところもあります。

 

融資が受けやすくなる

前項で、運送業を起業すれば社会的信用度が増すという話をしましたが、社会的信用度が上がることで金融機関からの融資を受けやすくなるメリットもあります。

繰り返しになりますが、運送業許可は法令で定められた厳しい要件をクリアしないと取得できません。
厳しい要件にクリアした運送事業者は、取得していない企業よりも圧倒的に信頼度が上がります。

運送業以外にも将来的に事業展開したいと考えている場合にも有効でしょう。

 

運送業を開業するデメリット

「将来性が高い」「社会的信用度を得られる」など魅力的なメリットが多い運送業開業ですが、以下のようなデメリットも存在します。

  • 管理費用がかかる
  • 重労働になりやすい

一つずつ解説します。

 

管理費用がかかる

事業用トラックは、3ヶ月ごとに点検整備を実施する必要があります。
そのため、自家用よりも管理費用がかかりやすいです。

また、不特定多数のドライバーが運転することや、自家用車に比べて走行距離と乗車頻度が高いことから、自動車保険料も高くなります。

 

重労働になりやすい

運送業は、長距離運送・荷物の積み下ろし・小口配送の再配達などによって、重労働になりやすい業種です。

このことから運送業のトラックドライバーに対して、マイナスなイメージをもつ方も多いです。

そのため人手不足で求人を出しても、よっぽど条件がよくない限り人が集まらないというデメリットもあります。

 

よくある質問

よくある質問

最後に、運送業の開業についてよくある質問に回答します。

 

個人事業主でも運送業を開業できますか?

個人事業主でも、運送業許可を取得して開業することは可能です。
申請内容も法人の場合とほとんど差異はありません。

ただ、法人より社会的信用度が低くなってしまうのと、もし後に法人化する場合は法令試験を再受験しなければならないため注意が必要です。

個人事業主での開業を目指している方は、以下の記事を参考にしてください。

 

白ナンバーのまま運送業を開業できますか?

白ナンバーのまま運送業を開業することはできません。

運送業は、他社の荷物を有償で運ぶ事業です。
運賃の取り引きが発生する場合は、必ず緑ナンバーを取得しなければなりません。

 

自宅を運送業の事務所として使用できますか?

運送業の事務所として使用できる場所は限られています。
たとえ自宅でも、以下の不可地域に該当する場合は事務所として使用できないので注意が必要です。

事務所使用不可事務所使用可能
・市街化調整区域
・第一種低層住居専用地域
・第二種低層住居専用地域
・第一種中高層住居専用地域
・第二種中高層住居専用地域
・第一種住居地域
・第二種住居地域
・準住居地域
・近隣商業地域
・商業地域
・準工業地域
・工業地域
・工業専用地域

ただし、事務所使用不可地域でも、以下2つの条件を満たせば使用できます。

  • 非住居部分の床面積が50㎡以下
  • 自宅の延面積の2分の1未満

延面積が120㎡の自宅を例に挙げましょう。
そのうちの7畳の部屋を事務所、6畳の部屋を休憩室として使用する場合は、以下が成り立つため使用可能となります。

【条件①|非住居部分の床面積が50㎡以下】
7畳 約12.7㎡+6畳 約10.9㎡=合計 約23.6㎡
→非住居部分(=事務所・休憩室部分)の床面積が50㎡以下をクリアしている
【条件②|自宅の延面積の2分の1未満】
事務所部分の床面積=約23.6㎡
→延面積の2分の1未満(120㎡÷2=60㎡)をクリアしている

※市街化調整区域の場合は、上記に該当しても使用不可となるため注意が必要です。

 

運行管理者や整備管理者はドライバーと兼任可能ですか?

運行管理者は整備管理者と兼任できますが、ドライバーとは兼任できません。

整備管理者は運行管理者・ドライバーと兼任できます。
ただし、運行管理者と兼任した場合は、ドライバーの仕事を兼け持つことはできません。

ドライバーは、整備管理者と兼任できます。

運行管理者整備管理者ドライバー
運行管理者×
整備管理者
(この場合はドライバー兼任不可)

(この場合は運行管理者兼任不可)
ドライバー×

 

役員法令試験は必ず受ける必要がありますか?

運送業許可を取得する際は、役員法令試験を必ず受ける必要があります。

法人の場合は役員のいずれか1名、個人事業主なら事業主本人が受験しなければなりません。

まとめ

運送業で起業するには、まず資金の確保、事務所・駐車場の確保、トラック購入の準備、人員確保が絶対条件となります。

本気で運送業参入を検討している方は、全ての要件が揃うまで待つよりも、まずは許可取得に向けて走り出すことをおすすめします。

なぜなら、「何年も前から運送業で起業を検討していたが、要件が揃わなくてあきらめていた」という方が、当社シフトアップへご相談頂き、申請に向けて走りだした途端に人員確保や事務所・駐車場が決まり許可取得ができたという方が多いからです。

一見、不思議に思えますが、実のところ、運送業許可を取得すると決心し、これまで以上に真剣に探した結果だと私は考えています。

許可取得を迷っている方は、お気軽に運送業許可専門の「行政書士法人シフトアップ」へご相談ください。お客様と一緒にベストな選択を決めるお手伝いをさせていただきます。

なお、運送業許可の要件や流れを詳しく知りたい方は「【運送業許可とは】種類/必要不要/要件/流れ/費用/期間すべて解説」の記事もあわせてチェックしてください。

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行政書士法人シフトアップ 代表社員 川合智

川合 智

12年間の運送会社勤務経験を持ち、累計相談数は10,000件以上。運行管理者・配車・総務経理など運送事業の現場を知り尽くした圧倒的な業務ノウハウを基に運送業、貸切バス、介護タクシー、産廃収集運搬などの許認可をメインに日本全国対応で力強くサポート。
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