- 運送業とはなに?
- 運送業許可を持っていたら産業廃棄物を運んで運賃をもらって良いの?
- 産業廃棄物収集運搬業許可を持ていたら運送業許可なしで産廃を運んで良いの?
周りの運送事業者や産廃収取運搬事業者に聞いてもはっきりした答えが返ってこない、あるいは許可を取った方が良いかどうかわからないという方のために、この記事で専門家が詳しくお答えいたします。
是非読み進めてください。
運送業とは?
運送業とは、簡単に言うと「他人から依頼を受けて、運賃や手数料をもらい貨物や旅客の輸送をする事業」のことを言います。
運送業というと一般的には4t車や大型車を使用する貨物自動車運送事業を連想する方が多いでしょう。
しかし、事業用貨物自動車(トラック)、事業用旅客自動車、鉄道、船、飛行機を使って貨物や旅客を運ぶ事業すべてが運送業に当たります。
もっと広い意味では、荷主と実運送事業者の間に立つ利用運送事業など、モノや人の輸送にかかわり、物流業の一旦を担う事業が含まれます。
物流の中心となる運送業は、国民生活、特に消費活動において不可欠であり、モノの輸送が止まると、国民の生活も止まってしまいます。
実際に新型コロナの影響で貨物船で貨物を輸出入するために用いる「コンテナ」の製造量低下や港湾混雑等で回転率が低下。
その影響で半導体不足になり、家電や自動車の製造など様々なところで消費者の生活に影響を与えています。
貨物自動車運送事業とは?
ここからは運送業として広く認知されているトラック運送業について解説していきます。
トラック運送業は正式には「貨物自動車運送事業」と言い、その定義は、「貨物自動車運送法」という法律で以下のように定められています。
貨物自動車運送事業とは一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業および貨物軽自動車運送事業をいう。
つまり、貨物自動車運送事業は3種類存在するということです。下記で3種類の運送業の違いについて見ていきましょう。
運送業の種類
運送業は貨物自動車運送事業法(以下、貨運法と言います。)で以下の3種類に分けられています。
一般貨物自動車運送事業
不特定多数の者を荷主とする貨物自動車運送事業のことです。貨運法では下記のように定義されています。
一般貨物自動車運送事業とは、他人の需要に応じ、有償で自動車(三輪以上の軽自動車および二輪の自動車を除く。)を使用して貨物を運送する事業であって、特定貨物自動車運送事業以外のものをいう。
特定貨物自動車運送事業
特定の1社のみを荷主とする貨物自動車運送事業のことです。貨運法では下記のように定義されています。
特定貨物自動車運送事業とは、特定の者の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を輸送する事業をいう。
貨物軽自動車運送事業
軽貨物自動車を使って不特定多数の荷主の貨物を運ぶ事業のことです。貨運法では下記のように定義されています。
貨物軽自動車運送事業とは、他人の需要に応じ、有償で、自動車(三輪以上の軽自動車および二輪の自動車に限る)を使用して貨物を運送する事業という。
一般貨物自動車運送事業について
一般的には、一般貨物自動車運送事業のことを指して「運送業」や「緑ナンバー」「青ナンバー」「営業ナンバー」と言いいます。
特定貨物自動車運送事業は、特定の1社(者)の荷主の貨物しか運べないため、許可取得するというお客様は皆無です。
これから運送業を開業したいという方は、一般貨物自動車運送事業の許可を取得しましょう。
一般貨物自動車運送事業の許可を取得するためには、様々な要件をクリアして難しい書類を作成し、6ヵ月、長ければ1年以上かけて運送業を開始します。
特に資金要件は1,500万円~2,500万円(申請者により異なります。)の事業開始資金を有していることを証明しなければいけません。
すぐに金融機関から融資を受けられるという方を除いて、計画的にお金を貯めて許可取得する必要があります。
なお、一般貨物自動車運送事業に使用するトラックの中に、軽自動車やバイク(2輪車)を含むことはできないのでご注意ください。
運送業の業務は?
運送業の業務は貨物や人を運ぶことで、貨物自動車運送事業では貨物自動車を使って貨物を運ぶことがメインとなります。
そのほか、貨物集配場での梱包作業やリフトを使って貨物の積卸をする荷役作業なども行う場合があります。
貨物自動車運送業以外では船舶や航空機を使用して人や貨物を輸送する業務を行います。
船舶はハリウッド映画などで良く貨物船が登場するので貨物輸送のイメージがわくかもしれませんが、航空機も人以外に貨物(航空貨物)を運んでいます。
船舶は、トラックに比べて一度に大量の貨物を運ぶことができ、輸送量が安価なことがメリットです。
航空機はトラックに比べて早く大量の貨物を輸送することが可能です。
運送業で運んでくれるものは?
トラック=貨物自動車の運ぶ貨物は、生活雑貨、生鮮食品、飲料、建築資材、電化製品、ガソリン、輸出入貨物など様々です。高速道路などでたまに見かけますが、競走馬や牛を運んだりもします。
トラックは4t車、大型車、ダンプ、トラクタ・トレーラ、タンク車など運ぶ貨物の種類に応じて使い分けられ、コンビニ配送などでよくみかける冷凍・冷蔵車なども存在します。
船舶や航空機もトラック同様に様々な貨物を運びます。貨物の大きさや重量、輸送費用、輸送距離などを考慮して、どの輸送手段を使うかが決まると考えて良いでしょう。
なお、ガソリンや化学薬品など発火性のあるものや放射性物質は、危険物輸送の許可を得ている者しか運べないなど、特定の事業者しか運べない貨物も存在します。
後ほど詳しく解説しますが、トラックなどを使用して産業廃棄物を運ぶことも可能です。
運送業と配送業の違いとは?
運送業と配送業の違いについては諸説ありますが、一番わかりやすいのはモノを運ぶ距離の違いによる分け方です。「配送」は比較的近距離の配送を指し、「運送」は遠距離の輸送を指します。
「配送業」は近距離の小口輸送を業とすること。「運送業」はトラックを使ってモノを目的地まで運ぶことを業とすることと言えるでしょう。
物流用語的には、配送は二次配送で近距離の小口輸送のことを言い、運送は貨物自動車でモノを運ぶことを言います。
運送業界にいる方であればわかると思いますが、4t車や大型車などの緑ナンバー車両で貨物を運ぶことは配送とは言いません。しかし、黒ナンバーの軽貨物自動車で宅配貨物を運ぶことは配送と言うこともあります。
荷物と貨物の違い
簡単にいうと「荷物」は人が持って運ぶことができるもの、「貨物」は人が持って運べないもののことを言います。
したがって、運送業で運ぶモノは主に「貨物」ということになります。ちなみに人の場合は「旅客」と言います。
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産業廃棄物収集運搬業とは?
産業廃棄物収集運搬業とは、簡単に言うと運賃や手数料をもらって産業廃棄物を運ぶ事業のことを言います。
運送業の根拠となる法律が貨物自動車運送であったのに対し、産業廃棄物収集運搬業は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(通称、廃掃法)」が根拠となります。
廃掃法では、産業廃棄物の中間・最終処分業者と収集運搬業者を併せて「産業廃棄物処理業者」と定義していますが、ここでは産業廃棄物収集運搬業についてご説明します。
収集運搬業は「産業廃棄物収集運搬業」と「特別管理産業廃棄物収集運搬業」の2つに区分され、産業廃棄物収集運搬業の許可では、特別管理産業廃棄物の収集運搬はできません。
いずれも産業廃棄物を運ぶことを目的とし、運送業のように運賃や手数料をもらって「貨物」を運ぶことはできません。
貨物と産業廃棄物の違いとは?
貨物に関しては法令で明確な定義はされていませんが、主にトラックや列車などに積んで輸送する荷物のことを言います。対して、産業廃棄物は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律で下記のように明確に定義されています。
産業廃棄物とは、事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物(輸入された廃棄物並びに本邦に入国する者が携帯する廃棄物を除く)のことを言う。
簡単に言うと、「貨物は我々の生活に必用なもの。廃棄物は我々の生活に不要なもの」とお考えいただくと理解しやすいかと思います。
※わかりやすくするために、細かな法律的解釈は省いています。
したがって、貨物を運ぶのが運送業、廃棄物を運ぶのが産業廃棄物収集運搬業ということになります。
廃棄物を運ぶには収集運搬業許可が必要だが運送業許可は不要
結論から言うと、廃棄物を運ぶのに運送業許可は不要です。数年前に国交省が廃棄物を運ぶのに運送業許可が必要というスタンスを示したこともありました。しかし、2019年現在は廃棄物の運搬には運送業許可は不要です。
ただし、2018年前後の流れとして、元請け業者からの要求あるいは社会的なイメージアップを図るために、産業廃棄物収集運搬業者も運送業許可を取得する事業者が増えている傾向にあります。
弊社シフトアップも、産業廃棄物収集運搬業者様から運送業許可取得のご依頼をいただくことが多くなりました。
運送業許可があっても産業廃棄物は運べない
これまでの流れでお分かりかと思いますが、運送業許可があれば産業廃棄物が運べるかと問われたら、「運べない」というのが正解です。
ですから、例え運送業許可を持っていても産業廃棄物を運ぶ場合は、産業廃棄物収集運搬業許可を必ず取得してください。
もし、産廃収集運搬業の許可を持たずに、産業廃棄物を運んだ場合は大きなペナルティが課されることになります。細かく言えば、たとえ数百メートルでも無許可で産業廃棄物を運搬した場合は罰則が適用されます。
無許可営業などによる主な罰則は下記のとおりですのでご確認ください。
【5年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金または併科】
- 無許可営業:無許可で産業廃棄物の収集運搬業を行った場合
- 無許可変更:無許可で事業範囲の変更をした場合
- 無許可業者への委託:無許可業者へ廃棄物の処理を委託した場合
- 名義貸禁止行為:産業廃棄物収集運搬業者が、自己名義で他人に収取運搬を行わせたとき
【3年以下の懲役または300万円以下の罰金または併科】
- 改善命令違反:業務の改善命令に従わなかった場合
- 不法投棄・不法償却を目的とした収集・運搬:不法投棄・不法償却を行うために廃棄物を収取運搬した場合
まとめ
運送業許可を取得していても産業廃棄物を運搬することはできません。逆に産業廃棄物収集運搬業許可を持っていても貨物を運ぶ運送業を行うことはできません。
同じ貨物自動車を使用する事業ですが、まったく違う許可が必要ということです。2020年開催のオリンピックに向けて建設業が盛んであるため、運送事業者様も産業廃棄物を運搬する機会が増えることが見込まれます。
事実、弊社シフトアップのお客様も運送業許可を取得したあとは、産業廃棄物収集運搬業許可を取るお客様が増えています。
よくある質問
運送業とは何ですか?
簡単に言うと「他人から依頼を受けて、運賃や手数料をもらい貨物や旅客の輸送をする事業」のことを言います。
運送業の許可を取るにはどうすれば良いですか?
運送業許可を取るには、資金、営業所・駐車場、車両、人など様々な要件をクリアして営業所管轄の運輸局へ申請書類を提出します。
運送業を始めるメリットを教えてください
一番のメリットは国から認められた運送事業者として、貨物を運んで運賃をもらうことができるようになることです。
運送業を始めるまでの期間はどれくらいですか?
運送業許可の申請をしてから運輸局の審査を受けて許可を得たあと、車両を緑ナンバーに変更するため、運送業を始めるまでに平均6ヵ月ほどかかります。
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